通常、一般の建て主さんが住宅の建設にあたる契約は2つの方法があり1.設計は建築士事務所、工事は施工業者に分ける方法と、2.設計と工事を住宅メーカーや施工業者に依頼する方法です。大事な事は、どちらでも設計契約と施工契約は別々に行う事です。
設計の契約は、建築士法のに規定があり、ほとんどの住宅では、建築士が設計し、その建築士は設計事務所に所属する必要があります(業として報酬をもらう場合)。つまり設計の契約は通常省略できません。くわしくは、宮崎県(県庁)のホームページがわかりやすいです。この12月からは、契約時には、建築士の免許を提示する必要があります。
http://www.yutori-net.jp/contract/index.html
よく2.の「一括設計と工事請負だから設計や工事監理における契約はしなくてよい」と言っていらっしゃる方がおりますが、これは本来×です。「業」としないボランティアで設計や監理を行う場合は、必要ありませんが、そんなことはほとんど無いと思います。(但しボランティアと言っても、その管理や設計の責任は負いますから、進んで大きな責任があるのに無償で行う個人はいないでしょうから)
さて、2.の実態はどうか?というと、設計工事監理と施工を別に契約している事例は非常に稀で、さらに設計工事監理の契約をしていない事例がほとんどです。
ではどうして守られないのでしょうか?実は、これらの違反をしても、今現在刑事罰はありません。行政罰のみで(訂正2008.08.12)罰金20万以下です。またその罰金以外の所謂行政罰(事務所の業務停止等)も県知事が定めておりますので、身内保護といいますか、甘い取締りの社会システムが実態です。(行政の天下りもあり、何といっても選挙では、建設業界の力は影響力があるので・・・)今まで契約方法違反で行政罰を受けた事務所は聞いた事がありません。
姉歯事件以降、建築士や設計事務所のモラルアップを受けこの12月、建築士法が改正されます。しかし罰則を少し厳しくした事と、罰則を受ける該当者が、事務所開設者から管理建築士に代わっただけで、社会システムが変らない限り、この方法では実態は変わりないでしょう。逆にそれが狙いなのかもしれません。法律としては良い法律なのに、取締りが無ければ全く意味がありません。確認申請時に、設計委託の契約書のコピーを添付するになればそれ相応の効果があるかもしれません。姉歯の構造計算に騙されマンションを購入した人の多くは、罰則と取り締まりの強化と言ってますが、この実態を評価するのは、建て主さんがやはり中心でしょうか。