「 2009年02月16日 」一覧

初期投資型ゼロエネルギー住宅 「持続可能な社会をづくりをすすめる会」の新潟市で講習会(セミナー)

昨日新潟市でNPO法人「持続可能な社会をづくりをすすめる会」(事務局 河辺氏)のセミナーに参加してきました。

内容は、「K邸における二酸化炭素排出の消費量の報告」で、2001年に建築された建物で排出される「CO2の排出量報告2007、2008年版」ということでした。結果から申し上げると、電気会社に払った電気料金は年間たった6千円とのこと。所謂オール電化住宅のなので、光熱費はこれがすべてということです。もうすぐで実質ゼロエネルギー住宅(初期投資型)となります。

確かにK邸の性能は、Q値が1.8w/km2(床下収納を床面積0.6で換算)、で完成C値が0.7cm2/m2で8年前の建物としては高性能(S仕様)。また太陽光発電5KWもあります。がこれではゼロエネルギー住宅(初期投資型)にはなかなかなりません。ではどうしたかというと、今年は実験的にある程度暖房を我慢生活。家の中は15度以下で普段長時間いる場所のみ22度くらい、コタツも使用した・・・との記憶。このように消費エネルギーの1/3を占める暖房費削減はとても有効です。確かに法律上の床面積は50坪くらいでありますが、気積(家の暖房空間の体積)から見ると65~70坪の住宅並み。その全室を暖めるとなるとある程度のエネルギーは必要。例えば厳寒期1.8*20度*65坪*3.3124=7800Wなのでこれをエアコンで一ヶ月暖めると、4万以上の電気代がかかります。これではゼロエネルギー達成不可能。そこで暖房温度を下げ、暖房区画をしエネルギーの削減を行ったといことです。この行動には頭が下がります。少し贅沢をしなければ太陽光発電だけでエネルギー確保できるという実証をされました。これに、現在の「緑の家」の最近のお勧め「コンパクトな家」か「断熱区画」を採用すればS仕様でもたぶんゼロエネルギー住宅(初期投資型)はできます。(当時は断熱区画は考えにありませんでした。)

しかしセミナーでも説明されていたように、お正月や盆などに普段生活していない子供たちが帰ってくると、「寒い!」といって暖房全開モードにするようです。環境に志高くあられる方は、「寒さ我慢」を実施できますが、次の世代や他の人に強要はできません(このせいで古民家が手放されるということは何度も御案内済み)。そこで当「緑の家」SS仕様が必要になります。この仕様と見合った大きさの太陽光発電を付ければ、充分ゼロエネルギー住宅(初期投資型)になります。

これが少なくても今後の100年住宅の基本と思いますが、政府の掲げる200年住宅の当選住宅でさえもそんな性能の家はほとんどありませんね。

・・・ゼロエネルギー住宅(初期投資型)とは、最初に太陽光発電設備等や断熱性能に投資することで、この投資費用を考えなければ、その家で年間の使うエネルギーと生み出すエネルギーが釣合い、差し引き0以下(造るエネルギーが大きい家)になる家と定義する。


新潟の高気密高断熱住まい 設計事務所とは? その2 施工と設計の分離

この写真は、 7年位前のある家の設計と施工が同属会社の工事中の写真。

その2では、設計と施工の分離が完成後とても大事ということをご説明したい。

設計と施工が分かれていると瑕疵があった場合、責任の所在が明確にならないため良くないという不思議な主張がされていることがある。責任が明確にならないのは、しっかりした図面がないからの一言。施工と設計が違う会社だからではない(また付け加えるなら、工事監理者が施工側の人間だとさらに問題)。60枚以上にもなる図面があれば、その記録があるので責任の所在はおのずから明らかになる。なるから公共建築では設計と施工の分離が当たり前である。責任の所在が明らかにならないのは、記録が建て主側にはないということが一番。例えば設計や工事監理が施工と同じ場合の問題点は以前当コラムに載せた。まさにこの会社が設計と施工が同じほうが責任の所在が明らかになるといっているが、その写真の現場をどう説明するのだろう。「昔のことだから、釘の指定の記録がないので仕方ない」といわれた建て主はたまらないだろう。このころからしっかりと、専用釘以外は問題あると住宅金融公庫にも記載があるし、業界では常識。

また、一番感じるのは設計と施工が同じ会社であると、建築後(入居後)問題が起きたときに建て主側に立つ専門家がいないこと。設計者は、建物が図面どおり建築されるだけでその職務が終わることはない。建築後その建物に何か問題があった場合、設計の瑕疵なのか、施工の瑕疵なのかを一番わかる立場である。もし設計に重大な瑕疵があれば、施工中に普通は発覚し施工や建て主から是正を求められる。一方施工の瑕疵があり、それが工事監理中に見つけることのできないもの、例えば木材の品質(造作材や構造材も製品上の欠陥は、工事監理で見つけることは難しい)、設備機器や配管の品質等は専門性が高いので一般的に難しい。このような不具合が見つかったときに、第三者の立場(建て主さん寄りの)できちっと対処してくれる。ところが、設計と施工が同じ会社の場合、どちらの原因であっても経費(修繕費)が発生するので、なるべく両者とも穏便に済ませようとする。これは営利団体である以上仕方のない性である。全くの別会社であればそういうことにはならない。ましてや設計者は建て主に雇われた専門家である。間違いなく分離されたほうが、責任の所在は明らかになりやすいことは、冷静に考えればわかる。

また、設計と施工の分離の場合、コストコントロールが難しいというご指摘もある。これもう不思議な話。設計と施工の分離は、適正な価格がわかる最良の方法。万一、仮にどこに見積もりを出しても予算がオーバーするなら、その建物はその位の資産価値があることを、皆が認めたもの。予算オーバーなら、減額設計を行えば適正価格になるし、資産価値と同様の価格ということ。一方、設計と施工が同じ会社だとコストコントロールできるという主張は、昔の棟梁一括請負と同じ主張。予算があわなければ、建て主の気にしないところ(気づかれないところ)の仕様を削って予算を合わせる(利益を出す)ことになる。それが営利団体。勿論、図面と仕様がしっかりあれば(図面枚数60枚以上)こういうことにならないだろうが、ほとんどが少ない図面数(30枚程度)。

また、入札で建築後施工会社が安く受けたのことで倒産しやすく、その倒産後困る。などというのもおかしな話。しっかりした建物は、仮に造った会社が倒産しても特に大きな問題はない。建築後その施工会社が倒産して困るのと思うのは、無料の不具合修正がなくなるという恐怖感。しっかりとした設計で工事監理を行った建物は、不具合が少ない。先日倒産した大手マンションメーカーの住民は、建物自体では多きな問題はないはず(管理会社の倒産は大変困る)。

色々な言い方や主張がある。それは仕方のないことあるが、裏づけのない事象で「恐怖」をあおる様な説明は、あまり歓迎しない。