最初にこの論文から・・・。
これは、昨年の精査された建築学会の論文文集から松鵜、石松、龍氏らの論文からの抜粋である。この論文は「省エネルギーを目的とした地中熱利用ピットや自然換気装置が採用されている建物の微生物による空気汚染を調査したものである。結果は、戸外と比べ室内環境が高濃度になりやすく、維持管理基準をクリヤーできなかったとされている。地中熱利用ピットとは、少し半地下のような住宅の床下のようなところで、その空間に屋外空気を流して室内に取り入れ、地中熱を利用しようというシステム。結果の図のとおり、確かに室内のほうが微生物の出現数が数倍高い。確か当ブログでは、微生物濃度は、森のほうが大きいときがあったと報告した論文をご紹介した。そこから考えるとこの程度あればそう問題ないが、この建物はまだ築3年程度であり、塵や汚れがピットに多くあると考えにくく、15~20年後はどうなっているか今後の調査が待たれる。
話題を題名に戻すと、事務所設立当時から、一戸建て住宅で床下から暖を取る「床下暖房」については2つの問題があると指摘してきた。この4~5年間で当事務所も2棟ほど採用し、巷でも最近多くの住宅で採用されているがもう一度問題点を整理して見ると・・・、
①ある特殊工法(屋根で空気を暖めそれを強制的に床下に入れる)では、外壁の中や土台付近には、シロアリ防蟻予防材や、防腐材が塗布、注入されている。その中を循環してくる空気は綺麗とはいえない。
②床下を暖める床下暖房は、床裏から直接伝熱してくる熱だけでは不足なので、床下の温まった空気を1階居室に入れ、空気対流で暖める。この時、床下の空気が清潔とはいえない。
である。①は、新潟県では採用事例が少ない。仮に採用例があったときでも現在は防腐剤を使わなくてもよい通気工法を採用している会社が多い。そのため防腐防蟻剤の点では問題はなくなりつつある。但し、壁内は薬による害はなくても、10年くらいたつとごみや虫の屍骸がたまり衛生的とはいえない点は未解決。
②は、解決できる問題もある。②の最大の問題は、壁の中と同じように床下がゴミや虫の屍骸で衛生的とはいえないことである。新築時は確かに綺麗である。しかし掃除ができない床下はいつかはゴミ、虫の屍骸、もしかしたらねずみやゴキブリの屍骸があるかも知れない。そんなところの空気を居室に取り入れ暖房に使っていて平気か?私は抵抗がある。
「でも御社でも採用しているのはどうしてですか?」という問い合わせを頂く事もある。その時は、「当社の「緑の家」は床下内に人が簡単に入ることができ、自由自在に活動できる最低の高さを確保してある(基礎高1m)。勿論床下を掃除することも可能。だから建て主さんがそれを了解して床下暖房望めば、床下暖房にしている。」という返答になる。また基礎から発せられるコンクリート臭は、積極的に空気が入れ替わる床下暖房ではそう問題ではないことがわかった。確かに集合住宅ではコンクリート住宅が多い。コンクリート特有の「灰汁臭」が強烈だったらすめないであろう。積極的な床下利用で空気が換気されれば、灰汁臭は問題にならない可能性が高い。
よい点は床暖房のような快適性が最低レベルのランニングコストで可能ということ。これに尽きます。またイニシャルコストもエアコンと基礎高アップだけなので経済的。
そこでこれからオーブルデザインの勧める家は「床下暖房+床高1.4m」が多くなるであろう。勿論その熱源は以前と変わらず「エアコン」である。最近のエアコンはフィルター掃除が10年間いらないため、益々便利に使える。エアコンによる床下暖房万歳!!になるはず。 下写真は1.4mの床下内に設置されたエアコン。床は綺麗に塗装されている。