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エコキュートの環境、経済性の評価は・・・ 新潟の住まい 「緑の家」

赤字加筆 2010.05.23

給湯機器と言えば今はエコキュート。名前からして環境によさそうなこの給湯器の実際はどうか?

9年前から普及し始めたエコキュートの評価は最近ようやく論文として出始めている。私が最初に検討した9年前は、その機器の信頼性が不透明(ヒートポンプの寿命)だったので、見送り、その4年後始めて設置した気がする。

さて、最近のエコキュートのカタログでのCOPは5にもなり、年間平均でも3.5(地域Ⅳ)くらい。・・・と思っていた・・・。ところがこれは、給湯器自体のCOPではないという。エコキュートに設置されているヒートポンプだけのCOP(HPCOP)ということ。むずかしいようだが、エコキュートは夜に沸かし、昼間はそのお湯を使う。だから放熱ロスが相当あり、実質のCOP(SCOP)にすると2以下の機種もある。エコキュートがすばらしいのは、発電ロス+送電ロスを引いた0.4くらいのエネルギーをCOPが3のヒートポンプで0.4×3=1.2まで高められることにある。SCOPが2くらいでは0.4×2=0.8で、ガス給湯器より効率が悪い(環境にも負担が大きい)。やはりSCOPは3くらい無ければならない。どうも9年前からここ数年前までは、SCOPは2くらいの機種が多かったのではないだろうか?積極的にお勧めしなくて正解だった。

ではなぜ、使用していた人は問題点としてあげないのだろうか?それは深夜電力で沸かすので、元々の電気代が1/3のところに、SCOPが2のエコキュートでも、従来の電気温水器の半分で済むからだ。つまりSCOPが2のエコキュートでも他の給湯器より随分安くお湯が沸かせる。このようにランニングコストは優秀であるが、環境へのインパクトは特に優秀ではなかったといえる。最新機種はSCOPも3程度の機種も出てきているので、環境、経済性も高い評価となる。後は耐久性が10年か20年かがわかれば今後の給湯器はすべてエコキュートになるか、高効率ガス給湯機になるかはっきりする。・・・かな?

ちなみに拙宅は、都市ガスが無い地域かつ、海のまん前なので屋内設置の石油給湯器(普通効率)である。一応17年くらい使い続けこの度取替えた。高効率タイプは商品がまだ相当高い(10万以上)。しかも10年で中和剤の添加をしなければならないので選択しなかった。

画像は、「実使用を考慮した貯湯式給湯器の性能に関する研究」濱田靖弘、村川三郎ら  空気調和・衛生工学会論文集143号から

冬の場合のSCOPとHPCOPと損失熱量を示す。夏の場合はSCOPが概ね3割くらいアップする。