ZEHの功罪で太陽光発電パネルの重さ

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記事とは関係ないZEHのイメージ写真。

ZEHとはについては幅広く知られているので省くが、簡単には太陽光発電パネルを載せた僅かに断熱性能が良い家のこと。太陽光発電パネルを載せないとZEHにはならないが、この度国交省がようやく太陽光発電パネルと断熱材等の重さによる地震に対しての影響を検討しているとのこと。・・・遅いだろうと思う読者が殆どだろう。

現在の太陽光発電パネルの重さは15kg/m2とすれば殆どの設置方法で網羅できる重さ。単位をNにすると147N/m2となる。これを屋根の半分程度載せると30m2くらいになるから全体では4410Nとなる。ZEHには更に断熱性能が僅かに良くなるための断熱材と窓サッシ等の重さが加わる。日経XTECHによると、これが現在の建築基準法で定めた仕様規定の壁量で満足するかという検討を国交省が行なっているとのこと。

ZEHの認定は一次エネルギー消費量(発電含)と断熱性の審査だけで取得出来る。つまり耐震性の評価は義務でないため、太陽光発電パネルの重さを考慮した建物でなくとも新築できる。ただZEHの過半の建物が、同時に長期優良住宅認定や性能評価を取得しているはずなので、この場合は耐震性もある程度考慮されている。※。

問題は長期優良住宅の認定取得や性能表をを受けていないZEH。この場合は耐震性に問題が生じる可能性が高い。これは10年前のブログ(2012年~)から最近まで再三再四お伝えしてきた。

※長期優良住宅や性能評価の耐震性は、建築基準法より強化された壁量計算となるので概ね2~5割多く耐力壁が求められる。しかしそれとて太陽光発電パネルの重量は加味されていない。これは許容応力度計算も同様で、屋根に割り増し荷重が追加されていなければ、太陽光発電パネルの重さを考えていない事になる。

ZEHが始まってもう8年、国は当初多額の補助金まで用意し散々推進してきたのにいまさら太陽光発電パネルの重さを建築基準法で見ておりませんでした・・・等と言ってよいのだろうか?この問題は私がいつも申し上げているとおり、環境系の議論と構造系の議論の共同歩調がなされていないからである。近年専門分野は極細分化するが、実務社会では同じ家の技術である。多分このような事が数年後ベタ基礎下の全面断熱材敷き込みでも起きると思われる。

さてこの記事元の日経XTECHは、独自で太陽光発電パネルを載せた場合、どのくらいの耐力壁の割り増しが必要かというシミュレーションを行なった。その条件は軽い屋根(ガルバやシングル葺き)で建築基準法より1.5倍から1.7倍程度としているとあるが、個数が少ないのでそれが妥当との結論は当然ない。しかし現在の建築基準法だけの壁量ではまず壁量不足は否めないだろう。

このことを読んでいる読者さんで気づいた人もいるだろう。そう近年流行の勾配天井であるが、登り梁と水平梁の単位荷重(重量)の違いはすくないだろうが、屋根通気のために野地板が2重になることは、やはり重さとして加算しておかなければならない。単純には合板12mmと30mmの通気胴縁で120N/m2の追加となる。さて太陽光発電パネル150N/m2/2+120N/m2で約200N/m2の割り増し重量が加味して無ければ、太陽光発電パネルと勾配天井で素敵な家ができたが、そのため耐震性が15%落ちてしまったってことになるかもしれない。

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