熊本の家 防水検査

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18日19時ごろの熊本空港上にある積乱雲(機内窓より撮影)。

一昨夜の件でJALの朝一番便を昨夜中に抑えていたが、その朝5時過ぎに施工会社であるヤスダホームさんから連絡があり、時間の有効利用として空港まで迎えに来ていただけるとのこと。それならばさらに35分早く飛び立つANAのほうが良いと思い・・・

6時にANAで7時10分発を予約し、JALはウエブでキャンセルできないチケットなので、空港窓口にて行うため出発40分前(6時30分)には伊丹空港に。しかし予想以上の窓口の人の多さで、折角10分ほど並んだ列から離脱して保安検査前のJAL職員さんに聞くと、明日でもよいとのことで、素直にANAに乗って熊本空港に向かった。

熊本市のハザードマップで見ると今回の建設地は(ピンクの矢印)数少ない丘上で水害の縁がない優れた土地で、地盤調査の結果も地盤改良なしで建築できた優良の土地

防水検査の話の前に・・・

熊本市の市街地のほとんどが水害時に浸水2m前後の厳しい低地(窪地)である。しかも熊本県といえば梅雨時の集中豪雨も多い地域。しかし今回の建設地は、数少ない丘上の住宅地でしかも地盤改良も必要ないほどしっかりした条件である。また繁華街へもなんとか歩いても行けるほど利便性もよい。私は最も繁華街の中心である桜町バスセンターから10~15分バスに乗り、その停留所から歩いて30秒で現地に着くので公共機関も充実した場所といえる。その丘から降りるとすぐに浸水5mを超える地域。この差から宅地選びはほんとに大事であると思わされる。

丘を降りるとすぐに浸水5.4m地域。(グーグルアースから)
浸水5.4mとは電柱の上のほうで一般の目線から外され意識できない位置。(グーグルアースから)

住宅建築において地震は個人で対策できるが、水害のうち洪水被害は個人対策はできにくい・・・というより根本的には行政にしかできないので、もし水害の被害を受けたくない場合は、このようにハザードマップでしっかり把握したい。

「緑の家」のAグレード基礎。イエシロアリ対策対応の外断熱打ち放し基礎。

次に熊本の家は長期優良住宅なので耐久性のランクは最も高い。何度か申し上げている外壁周りの防蟻防腐措置は、地面から1m以内の木材ほぼすべてに行わなければならない。ほぼすべてのうち通気層の通気胴縁も含まれるというのが今の解釈である。よってヒノキやヒバ材を使わない限りは、通気胴縁を防腐防蟻剤塗布する必要があり、その時に使用する防腐防蟻剤のほぼすべてにおいて、界面活性剤が含まれている。この界面活性剤がタイベックをはじめ、市販されているほぼすべての透湿防水シートに悪さを及ぼす。ただ一部の透湿防水シートはこの界面活性剤に対しある程度抵抗がある。その一つがこのタイベックシルバーである。そこで通常ご希望がなければ「緑の家」Aグレードの場合、外壁を下げて建築するのでタイベックシルバーにプラスして通気胴縁に対しホウ酸系薬剤を塗布する。しかしできれば防腐防蟻剤塗布しないほうがよいと判断であれば、こちらの写真のとおり外壁は下げないでBグレードと同じように1m以上地面から離す。今回は離して一切の防腐防蟻剤をおこなっていないが、タイベックシルバーを使う(通常はAグレードであっても白のタイベック)計画となった。

さて・・・

防水検査を現地で見るほどに「緑の家」のAグレードはやはり素晴らしい。

すべての窓上に庇がつくのであるが、Bグレードの付属物の庇とは違い上のようにAグレードの庇は完全に屋根納まり(一階屋根と同じように防水シートを外壁の透湿防水シートに納める方法)となる。何が良いのかというと、外壁からの雨漏りの心配がほぼなくなるということ。外壁の雨漏りで最も多いのが外壁とサッシの接触部分である。つまりサッシの周囲からの雨漏れが最も多い。

そのうち最も侵入が多いのがサッシの横手と上部分である。上部は意外と気をつかって施工する場合が多いので一番雨水が集まりやすいがそれでも横手と同じくらいの事故率(体験値)。雨水は重力で下に行くのであるが、風があると水平にも移動する。築年数が20年を超えると、一次防水を担保する窓周囲のシーリングが切れ2次防水が機能しないと壁内に雨水は侵入する。その時上部に屋根納まりの庇があると上部はほぼ完ぺきに、横手も台風以外はほぼ完ぺきに雨漏りを抑える。だからアルミサッシのないころの日本の家屋は、窓上庇が必須であり逆を言えば木でできた隙間が多い窓であっても雨漏れを防ぐことができた。

こちらは2010年の当ブログから。蔵を再囲いした木の外壁だが、この当時で30~40年経過している。
「緑の家」Aグレード。サッシ横へサッシより150mm幅広にしてサッシ横手を雨から守る。

「緑の家」の外観の特徴として何か奇抜だったり、とても高価な素材を使用することはないが、純粋に家としてまずは優先される機能(耐震と耐久性)にコストをかける。取り外し枠と庇すべてをやめればあの高価な外部電動ブラインドを主要な窓すべてにつけることも可能なことでわかるとおり、この思考は地味な外観になるため一般受けは悪いが、「緑の家」の「無難」という目的に合致する仕様である。

すべての窓に屋根納まりの正当な庇を持つAグレードの家

防水検査の本題であるが、まずは先回とても防水納まりが難しいバルコニーのところ。

上に屋根がないバルコニー壁の通気抜きの難易度が高い。

バルコニーの手すり壁にスリーブ(穴が空いている不思議な仕様。これは先回のブログで紹介した湿気の滞留を防ぐための仕様である。

ピンク矢印の湿気抜き穴を設けるためにつけるスリーブ穴
上の写真のピンク矢印が今回の部分。

そのスリーブを設けて出来上がった写真は上の通りである。この換気フードの一般部品で通気すると雨漏りの確率は少なくなる。しかし注意が必要なところもある。それがこのスリーブの水勾配。

見た目でわからないほどの水勾配は、iPhoneの計測機能で測る。2度の下がり勾配なので合格。これが逆の勾配だと、雨水や結露水が壁体内に入ることになる。

次はキッチンのレンジフードの排気ダクト。こちらはフレキシブルダクトをそのまま外壁貫通にしている。パイプファン等直接この部分に機器があるとブレの原因となるのでNGだが、私はキッチンのような独立で固定されるファンの時は、外壁まで出しても良いと考えている。防水性もこれだけ丁寧にはれば先ず心配はない。

熊本市ではアルミダクトは消防法でNGのようであり皮膜したスチール製である。

防水検査は無事に終わり特に指摘はなく完璧に近かった。

帰りの飛行機は行きと違い穏やかであり新潟県上空では、稲刈り前の黄金に染まる前の淡い黄色の区画が美しい・・・。

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