誤解される床下暖房のエアコンの位置

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「緑の家」の床下エアコンの標準設置位置はユーティリティーである。音や気流感の問題全て解決出来る。洗濯物も乾くし、風呂上がりの濡れた床もあっという間に乾く最適な設置位置。(写真はエアコン前に前板を取外して撮影)

どうも誤解があるようなので改めて説明したい。

「緑の家」の床下暖房に使うエアコンの位置を勘違いしている方が多い。

現在の「緑の家」で行う床下エアコン暖房は、1階床上に設置されることが標準である。床下内にエアコンの設置はしていない。

この間違いはHP内の多分この写真からか?

2010年設計の片貝の家の床下内へ設置された蓄熱専用エアコン

2009年設計の鳥屋野の家での床下内に設置された蓄熱主体の床下エアコン。

この写真は2009年と2010年に設計し2010年と2012年の2月完成した「緑の家」である。

確かにこの時は床下内エアコンがある。しかし今の設計には採用される事はない。何が設置位置を変えたか?それは2011年の東日本大震災である。

・・・

全棟床下エアコン暖房は2009年から行っているが、当時は確かに床下内にエアコンが設置されている。これは電気料金体系がその決めてであった。

東日本大震災が起こる前の日本は、原発が電気の1/3を発電しており、原発の特性状夜間も発電してしまうことで深夜の電気が大巾に余った。このため全国の電気事業者は深夜電力を格安販売したので現在の深夜電力の半分くらいの金額で買えた。

当時「緑の家」の床下エアコン暖房では、その高基礎の大きなコンクリート熱容量を活かして、深夜電力で無理矢理エアコンをフル稼働させて基礎に熱を蓄熱させていた。この時にエアコンの位置が1階床上であると家全体が夜間暑くなりすぎる欠点があった。そのため床下内に蓄熱専用のエアコンを設置してコンクリートに蓄熱をさせた。床下内設置でエアコンの吸い込み温度が多少温かくて熱交換率が落ちても、またフル稼働によるエアコンのCOPが下がっても、当時の深夜電力が日中の1/3以下になることで、暖房費が安くなったのである。

2009年から2013年までは格安の深夜電力を使って蓄熱させて電気料金を2から4割カットした。

このため2012年までは蓄熱用の床下エアコンと1階床上のエアコン2台で床下暖房を行っていた。時には写真のように基礎コンクリートの蓄熱だけではなく、ペットボトルの水を1トン以上使用して蓄熱を行った。

ところが原発が可動できない事が長期化し2013年から電気料金体系が大巾に見直され、深夜電力が2011年当時の金額の実質2倍ちかくになった(基本料金の割引も含め)。そのため深夜電力重視のエアコン配置を止め、現在では床下内にエアコンは設置されていない。

「緑の家」は、エコとかCo2排出が少ないからという(偽善的?)な理由よりも、経済性を重視する。

つまり「緑の家」では中長期的視野からみた世の中の経済情勢(電気料金体系など)に合わせて空調設備の設計をしている。

現在では下のように数年毎の交換リスクを考えてメンテナンス最重視で配置する。

こんな簡単な設置でも1階の床は床下内静圧を高めることで床全てまんべんなく温かいのが「緑の家」の床下エアコン暖房である。

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