
昨日新潟県から1000㎞も離れた広島市で、「緑の家」の上棟が行われてた。以前から請負会社さんである永本建設さんにお願いしていたタイムリーな写真が昨日は162枚送られてきており、その全てに目を通す。



「緑の家」が採用する日本の木造住宅の主流である「木造軸組工法」は、柱と梁で骨格をつくる工法であり、雨が多い気候で育まれてきた工法なので、基礎があれば木造部分は一日で屋根まで造る事ができる。屋根まで造ることができれば、次の日に雨が降ってもしのぐことができるので、木等の傷みが低減される。この一日で屋根まで一気にできる特徴が世界基準の2×4工法(枠組み工法)と異なる点である。

直ぐに屋根までできることは良いことなのだが、そのため各工程でタイムリーなチェックが必要で、特に今回の「緑の家」では大きな吹き抜けを要しているため、水平面剛性(いわゆる床や屋根剛性)を高めるために、桁上に厚さ28mmの合板を全面に敷きこんでいる。この28mmある合板の釘のピッチと打つ場所が肝心で、ここにミスがあると折角作った屋根を壊してもう一度釘を打つことになる。そこで合板が施工終わった段階で「工事監理者」である私はタイムリーにチェックをする。このチェックがタイムリーに行われないと、上棟のため折角集まった大工さん集団を待たせてしまうことになるので、迅速なチェックが求められる。当然現場に付きっきりでいればよいが、通常県内であっても現場で確認することはまれで、いつもこのように現場から写真をタイムリーに頂き、間違いが無いかをチェックするのである。今回は建て主さんの意向もあり膨大な写真が送られてきた。それが上であり、この後屋根をつくり屋根合板を敷こみ屋根ルーフィングを敷いて昨日は予定通りのおしまいとなる。

前述で「「工事監理者」としてチェックする」とあるが、実はこの写真が送られてくる前に、当然現地で「現場管理者または現場監督」さんがチェックしており、つまりダブルチェックが行われる仕組みになる。ココが設計事務所が監理する工事監理の良いところだと常々感じるところ。施工が設計図通り行われていないと、当然施工者は直す必要があるが、法的に指定される工事監理者も善良な管理者としてその責任の一端をもつことはあまり知られていない。一方第三者管理というシステムは、通常法的にその縛りがないので、個々の契約によるところの違いが大きい。もし施工と設計会社の分離がなく設計と施工が一体のシステム(いわゆる工務店さんとの一括契約)だと、現場管理者=工事監理者となる事が多く、実質ダブルチェックは行われないことは容易にわかるだろう・・・と我田引水であるが、法律が工事監理者を強制していることから事実である。

162枚の画像から是正する内容はなく、釘のめり込み、縁からの距離、ピッチともに問題はなかったことはこちらの永本建設(株)さんの施工の素晴らしさだろう。熊本の家と同様に見事な施工であり、実際に指揮を執った監督さんと棟梁さんには感謝である。

昨夜建て主さんからも上の写真が送られてきて、無事上棟が終わった。