2階はミリ単位で構造体(梁)位置を決めた。
そのため上棟時はホントに間違っていなかったか設計者はドキドキしながら見守った。上棟時の複雑な木の架構。
こちらは日之出町の家の2階の写真です。
南の壁際の1.7mから始まる低い天井です。普通、南側には優先して窓をもうけるのが設計のセオリーですが、この日之出町の家は、2階の南側に窓は一切無く、隣家の迫る北側に集中しております。
その理由は・・・
直接ご覧頂くと、写真以上にとても2階建とは思えない印象。
建て主さんの住宅への「想いから」です。
建て主さんのご希望は無論「超高断熱」が最優先ですが、次が建物の意匠であり、
「外観が綺麗でまとまりのある一枚の大屋根」
だったのです。
ですので2階の居住部分を南に寄せると、建物の優先方位からみて大屋根にはなりません。
大屋根と言うことは屋根が大きく見える事であり、屋根を道路から見せるには、低い位置から屋根が始まらないと屋根が見えない家になります。
そこで、南側の屋根を出来るだけ下げて低くし、そこから2階の屋根につながるように2階の位置を決め、そこにご要望の部屋を配置して、とれるところで窓を取る・・・というように、何時のも行うその敷地の一番よい箇所に窓をもうける手法とは全く正反対の計画になりました。
北側から見ると建物形状がよくわかりますが、こちら側はメインではないので特に配慮せずに計画しましたが、道路側は低い軒高なので通行人への圧迫感は少なくなっております。
建物は道路に迫っているので、長屋にありがちな門と建物が一体するアプローチ方法を採用。この開口部の先に玄関はある。
左の低い開口部が玄関につながるアプローチで、右が自転車などの置き場です。
真ん中に吹き抜けに繋がる開口部がある。
2階の部屋からはこのように南側に天井が落ち込んでいきます。
南側は窓がない代わりに吹き抜けとつながっており、風の流れる道は確保しておりますが、建て主さん曰く
「きっとほぼ窓はあけないので通風はあまり気にしていない」
とのこと。
この建て主さんの妹さんは10年以上前から超高断熱(24時間空調)住宅に住んでいらっしゃるので、超高断熱住宅がどんな住み心地が良く理解されており、真夏の暑い日に新潟の平野部の市街地では窓開け通風が殆ど意味がない(快適性は低いという意味)と事を実体験されていますから、こちらでその説明が不要でした。ありがたい事です。