その1では、国のマニュアルを紹介して、環境系と構造系が融合できていない曖昧な事、つまり温暖地において断熱材はべた基礎スラブ下に無い事を説明しました。
お読み頂いた皆さん・・・どう思われましたか?
その2では
その2では実務者のバイブルである「住宅金融支援機構」の「木造住宅工事仕様書」がどのようにべた基礎下の断熱材を考えているか・・・解説します。
まず私が驚きました・・・。
最新版の28年度「住宅金融支援機構」の「木造住宅工事仕様書」という実務書から下の記載部分を見つけました。
実は私は事務所設立依頼基礎断熱をかれこれ20年近く行っておりますが、数件を除き大部分が基礎内断熱工法です。しかもこの16年は基礎外断熱を行っていないので、基礎外断熱工法時の注意点が書かれているこの文章を見逃しておりました。
まずこの「住宅金融支援機構」の「木造住宅工事仕様書」は、国内では一番信頼のおける木造住宅の仕様書であることに反論を唱える人はいないと思います。もしこの仕様書に反論がある場合には、しかるべき論文や研究書などの裏付けが無い限り、自分の思い込みやも妄想になることと思います。
この赤アンダーライン部分・・・
温暖地で止む得なく基礎外断熱を行う時に守る点として
- 使用する断熱材は防蟻性能がある断熱材を隙間無く設置し、
- 1と同時にベイト工法と呼ばれる維持管理型しろあり防除工法を併用する。
となっており、防蟻性能がある断熱材だけではお勧め出来ない・・・というより、2つでワンセットとして基礎外断熱を許可できる・・・
と書かれているではありませんか。
無論この仕様書は法規とは違い、義務規定はありませんが、この仕様書の歴史上大きな間違いを起こした記載は少なく、殆どの内容が今もって国内木造住宅の大元の仕様となっております。
さて・・・この内容を建て主さんはどうとらえるか?
つまり実質国が定めたこの仕様書より、1個人または1法人が定めた仕様・言い分のどちらを信じるのか?
因みに・・・維持管理型しろあり防除工法であるベイト工法は、年間の維持費が5万~10万円もする白アリ予防システムで、その管理は住宅がある限りしなければならないような維持管理です。そこまでして外断熱の基礎をつくるメリットがあるのか?はたまた・・・推奨のベイト工法を無視して断熱材の防蟻だけに頼るのか・・・。無視した場合は、一般より更に重いその責任を設計者が負うことになるといえます。
さて・・・
防蟻剤入り断熱材は守るけれど、ベイトまでは必要ないとのか?
この事(ベイト工法が必要不可欠か)を判断するにはまずこの「住宅金融支援機構」の「木造住宅工事仕様書」の歴史を知ることが必要です。
その3に続きます。