伊達の家の外観はシンプルで無難であるとその1でお伝えした。実は内部も同様である。
南半分は温室、北半分は居住部となって分離することで冬期の日射熱を貯めつつバッファーにもなっている。また床は黒くしてその直下にある厚いコンクリートに蓄熱させ・・・更に熱を移動させる仕組みをコンクリートに埋め込んである。
「緑の家」の定番・・・東南に大きく開いたコーナーサッシによって可能な限り日射を内部に導く。そのため玄関ポーチの屋根も限りなく薄く仕上がるようにパラペットなどに工夫をする。
建て主さんが最も最後まで拘ったのが・・・
建物の方位に対する角度であった。
この地域はどのような理由でそうなっているか今だわからないが、集落に建つ建物は東南を向いている。下は最終基本案時のスケッチであるが、敷地も東南に切り取られているのがわかる。他の家もほぼこのような敷地の向きである。
理由を建て主さんと考えたが・・・南を流れている川・道路に沿った軸線と思われるが確定はわない。確かに1km四方のみこの軸線になっているだけでその周囲は南北に軸線がある。多分想像であるが・・・この区域のみ昔の道や用水路に沿った古い土地の区画割を残しているのではないかと思う。
明確な理由がなければ建物の向きを真南に向けたほうが冬期の日射取得に有利になるが、敷地内に建っている他の建物とのバランスが崩れことになる。そこでおのおのの建物の寿命から割り切って整理して考え、最終的に配置を南向き(軸線では真南から15度東に振れる)にした。
これは暖房負荷計算ソフト2つを使用してシミュレーションして、真南に向けた時を基準としたときに、14度振れた時には4%前後の暖房負荷アップにしかならないが、敷地と同じ向きにした45度振った場合は、18%近くアップするとの結果も大きかった。一方真南に建物を向けるとアプローチからの建物の見え方が良くない・・・。
そこで・・・真南から14度東に振る軸線で配置決定した(地縄時にも全体の配置を確認した)。
温室となる床は黒い素材を検討し、タイルか天然石を候補として考え最終的に素材感がある天然石とした。ただ国産材を使うと面積が75m2(45帖)あり相当金額が高いので、海外産の天然石としてコストを抑えている。一方海外産は安価であるが直角や厚さが国産材のように揃っていない。それを気にしなければ大変魅力的である。
国産タイルでもわざわざ手作り感のある種類もあり、過去には下のような使い方もしている。