換気の圧力損失による選定 4 新鮮空気の入れ方

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この換気の圧力損失による選定4は下の続きなのでその話題を見ていない方は先に下のリンク先を見てほしい。

換気の圧力 site:http://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/
ブロックされる方は↓
https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2024/04/30/post-56452/

繰り返しになるが・・・

断熱等級7やG3など超高断熱高気密性能の住宅の場合、換気方式は第一種熱交換換気システムが現在の主流となっている。当然第三種ダクト換気もあるだろうが、家中の空気の質(温度と湿度および新鮮空気の清浄度)を考えれば、給気側に高性能フィルターと湿気のコントロールができる第一種熱交換型が優位だろう。つまりこの給気側の空気がポイントとなるわけである。

「緑の家」では新鮮空気の入る場所にこだわっている。そのため先回のその3(2024/4/30)で示した通り、遠くの給気口でより多くの風量が必要になることもあり、通常の換気機器の決定方法では間違えることになる。

考えれば当たり前であり、上のマニュアルの設計例では同じ20m3/hが吐出されているが、実際はダクトの長さが違うので各給気口で何らかの風量調整装置がある。風量調整装置は実際は可変圧力損失装置のことだから、実際の各経路の圧力損失は可変した風量調節後の圧損が選択されなければならないはずだが、目にするマニュアルのすべてでそのような書き方がされていないのが不思議である。またグリルは可変前の全開時の圧損で、しかも機器カタログにも可変時の圧損表記がないのが当たり前である。つまりダクトの圧損やグリルの圧損なりに風量が出ていれば問題ないが、風量を気にしたとたんそのダクトにかかる圧損を変化させることになる。

一昨日雑談で取り上げたように、空気各成分の拡散は意外と遅い。湿気に至っては気流で運ばれる湿気の拡散が桁違いに大きいから、気流がほとんどなく湿気(水蒸気圧)だけの濃度拡散では住宅程度の気積であっても、ある程度の差ができることが下のように実測で確認されている。

2016年実測 ある「緑の家」の夏の除湿状況

上のグラフはある「緑の家」の9月におけるエアコンの稼働と室内の露点温度の推移である。一階に設置された床下用エアコンと二階に設置したエアコンを運転し、各階の露点温度がどのように変化するかを実測している。露点温度とは絶対湿度と同じであるから、室温に影響を受けずに単純に空気中の湿気量を表す。

二階に設置されたエアコンの運転が開始されると一階と二階の露点温度が差がなくなり、二階のエアコンがOFFになると明らかに露点温度が上がることから、空気中の湿気の移動は遅く、住宅内で均一になることは難しく、一定の湿気量の差があることがわかる。

測定した住宅は上写真のような吹き抜けが大きく、一階と二階の空気が大きくつながっているのに、このような状況になる。つまり湿気においては気流の移動がない限り緩やかな挙動で移動している。このように新鮮空気(SA)をどのように入れるかにについては、CO2濃度も大事であるが、冬期の湿気防止から早めに湿気を拡散する必要があるため、最も人密度が高く長時間人が滞在する「寝室」に直接新鮮空気(乾燥空気)を入れる計画がやはり理にかなっていることになる。

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