最近特によく使われる単語に「エビデンス」という言葉がある。
日本語では証拠とか根拠になるが、何でも横文字にしたい人達にはうけている。
実はこの「根拠」を示さないまま第一線で営業をするHM(ハウスメーカー)が多い。
実際建て主さんから聞いた事であるが、
「ある欧州HM(ハウスメーカー)が・・・『グラスウールは16Kだと建築後10年もすると震動などで垂れ下がる。よって弊社は24Kを採用している』と言っているが本当か?」
とのこと。
さてこの事に根拠があるのか?
国のマニュアルにも記載がないし、査読論文でも見たことがない。
高気密高断熱施工をGW16Kで29年前からおこなっているが、関わった家で一度もそんな状況を見たことがないし、自宅も27年経過するが小屋裏に上がって壁断熱材を気密シート越しに見ても隙間があいている事は見たことがない。30年以上前の気密シートがない高気密高断熱の家でグラスウールが湿って垂れ下がったことは聞いた事があるが、気密シート施工して且つ横胴縁をいれた壁内では、グラスウールをひっぱても簡単には下がらない。これは自分で施工したことがあれば簡単に察すること。確か2×6?工法では横胴縁は入らなかったかな?
断熱性能をアップさせるため24Kを入れているといえば良いのだけれど、16Kはまるで不良品のような言い方はNGだと思う。
仮に・・・もしそれが本当だと信じている会社ならHPで写真付で解説すれば良いと思う。
カタログ(紙に書いたもの)に記載できないことや、世界発信で証拠の残るHPに記載出来ないことは、殆ど「エビデンス」がないと言ってもよい。
最近はこれに拍車掛けるように同じ業界の専門家が
「誰々が言っていた」
とか
「誰々のブログに記載されていた」
とか
更に井戸端会議のような
「SNSで紹介されていた」
といっている。
これはもう専門家ではなく建築評論家であり、建築の技術者ではない。
技術者でないところに世界で唯一の「注文住宅」を依頼できるのだろうか?
「緑の家」はこの根拠(エビデンス)をとても大事にする(あたりまえだが)。
多くの根拠(エビデンス)は国の法律・告示(マニュアル)が第一で、次に業界の査読論文であり、次に実測結果となる。
実測結果が最後になるのは、
実測とは必ずある条件下の事象で、特に測定者の経験が浅いと、影響を与える因子の拾い出しに間違いがあったりするし、何しろ一つの結果(少ない結果)でほぼ全てを結論付けるようなことは、高いレベルの知見があっても難しいから。
自分でも気を付けていることであるが・・・
一番恐ろしいのは騙そうと思って営業トークしているのはまだ良いのだが、間違いに気が付かず信じ切って話す技術者もどきが一番怖い。自分で信じ切っているのでそれが人にも伝染する。国の法律になく、論文もないような事は「自身の仮説」と呼んで、間違って伝染しないように心がけている。