結構古い査読論文から学ぶこと。

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2006年、14年前の査定論文。タグが見えたので開くと・・・

先日事務所内で捜し物をしていたら、タグの貼られた2006年の査読論文集があったので懐かしいと思って開くと・・・

床下暖房実測の査読論文であった。

「緑の家」で床下暖房を全棟標準でおこなったのが2008年の設計からであり、この3年前に査読論文が既に書かれており、実測も行っていることから床下暖房行った建物は少なくとも2年前の2002年になる。しかも実測地は九州とある。

建築の世界は新たな事に対する試みが浸透するまでとても時間がかかる。当然浸透せずに終わる事がほとんど。一方数年立つとある程度その状況がわかり、20年かけてようやく標準化される事もある。高断熱高気密も同様であり、高断熱高気密で建てた拙宅でも既に30年経つ(1992年竣工)。その20年経た頃2011年頃から突然世の中にその技術が推進され、今や誰もが当たり前に高断熱高気密の作り方が普通となっている。

実はこのようなスパンは仕方ないことである。建物は一年や二年ではその良さや問題が見つからないから。十年以上経たないとわからない耐久性に関する事もある。

床下を基礎断熱化して床下内を暖める方法も、新潟県以南に取り入れられるようになってから早10年は経過している。これでようやく床下エアコン暖房が本当によかったのか、それともこの方式は欠陥が有り廃れていくのかの分岐点になると思われる。私はもう忘れたがタグが貼ってあることから、このような論文を見て様々なことを判断し、今の「緑の家」の床下暖房の仕様や暮らし方を決定しているのだろう。論文を正しく読み込め事が出来れば未来の仕様が間違いなく決められる。

折角なので12年以上前の床下暖房について研究した論文を掲載する。まずは参考文献の日付と内容をみてほしい。

1)、2)の題名と発表日時を見て驚くだろう。梅雨時における基礎断熱床下空間の温湿度特性が既に調査報告されている。このような論文を確かな技術的目線で読み込むことで、10年先の技術を間違いもなく取り入れられるのである。

さて本論文では・・・

2000年前後では床下暖房方式の試行錯誤時期であり、下の表1のとおり5件の家でそれぞれ違う床下暖房を行っている。

特にダクトで温風を送ったり、温水パイプで暖房したりしている。

このように様々な方式で行われる床下暖房についてその報告を行っている。また長期的に実測を行い、建築初年度の床下多湿原因や梅雨時の高湿原因にも言及している。

梅雨時の床下内の高湿化がわかるがこの時はカビに対する評価ではない。今はカビに対する評価が重要となっている。

まとめでは今もその課題は未解決のものが多い。1は床下熱損失量は今でも明確に評価できたとは言えないくらい複雑だとおもわれる。3は外気と連続性をもたないほうが温熱環境は優れているとなっている。私も今の床下暖房方式が20年後、30年後はどのようななっているかの調査結果が気になる。

以上この論文に興味がある方のためにダウンロードを下に置く↓。

https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/wp-content/uploads/2020/06/CCE20200616_0004.pdf

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