その6は基礎断熱した住宅によく採用される地中内に埋設された板状断熱が、水分によって断熱性能が1/6程度になる事(性能劣化)を推測させる研究内容として取り上げる。
こちらも選抜論文である。「通気層を備えた防水層の通気時の熱性能の実測」とあり、冒頭のタイトルでは無い。しかし通気をしていない防水層の下にあるXPSとの実測比較があり、通気していないXPSの環境はベタ基礎の下に敷き込まれた外周部分のXPSと近い状況であることから興味がわいた。
板状断熱材のなかでも最も湿潤状態でも含水率が低くなるXPSであるが、それでも含水すると断熱性能が低くなることは知られている。その実測のデータを見たことがなかったので参考になる。
実測結果は、含水量によってかわるが下の通りである。
乾燥しているこのXPSの断熱性能は0.028w/mkであり、対して湿ったXPSは0.16w/mkとなり大凡1/6になって6倍も熱を通しやすくなっている。この0.16w/mkは乾燥した砂や一般的な土と同じくらいの性能である。つまり雨や土壌の湿気などにより常時XPSが湿潤状態になると、断熱性能は1/6に低下する。これだけを見れば土の中に断熱材を入れなくても良いのかと思うが、それは短絡的。もし断熱材がなければ、湿った土の断熱性能は更にわるく0.4~6w/mkと桁が更に増えるほど悪い。つまり水がかりとなる部分には断熱材は必要であり、もし断熱材を省略するなら、基礎断熱を行う外周部分においては雨または水が地面に溜まることがないように屋根などを大きくするか、コンクリートなどで覆う後に断熱材XPSを敷き込む又は貼り付ける事が良いと思われる。となると温暖な積雪地ではスカート断熱工法(外部)はおすすめ出来ないことがわかるし、実際も少ない。一方冬期乾いていている地域及び凍結深度が設定されるような地域は液体の水ではないので含水もし難いのでスカート断熱が効果的となり採用例も多いのだろう。
本論文は基礎ではなく屋上防水層下に敷き込まれたXPSが含水し難いように、通気層を設けた場合の実測を行っており下にその「まとめ」をおく。