otomo vie centには「蔵っぽい」棟がある。っぽいとは以前は「蔵」だったのであろうが、数十年前に曳家をする際に蔵の土を全部落とし、それを同じように再建することなく土をおとしたまま木軸のみの倉となっているから、俗に言う「蔵」ではなく「倉」（倉庫）に近い。それでも倉には過去の品物が保管されているが先月その戸が突然開けられなくなるというハプニングが起きた。
otomo vie centの先代の主が突然亡くなったため、諸事情で2年前に現在の管理人親族が譲り受けたのがこのotomo vie cent。4棟有る建物の敷地の一番奥に倉がある。譲り受けの簡単な説明ではその倉は鍵がかからないとのことで、実は鍵がある事は知らないで2年間も数回開け閉めしていた。ところがある日突然その倉の格子戸が開かなくなった。そこで私が呼び出されたがどうやっても何かに押さえつけられているようにびくともしない。これは戸の後ろで何かが倒れてつっかえ棒のような事になっているのかと思って、僅かな隙間から目を細めてのぞいても何もない。戸をバールで力任せに持ち上げて開けようとするが、少し持ち上がるが外れる気配が全くない。
おかしいと思い写真の恵比寿様を触っていると、これが動く事に気がついた。それをスライドさせるとただの四角い穴があり、倉の中が見える。穴だから錠ではないと思っていたが、スライドする恵比寿様からみてどうやらこれが開ける手段と確信した。でも誰が何時鍵をかけたのだろう・・・。その穴に指を突っ込んで探るが特に変わった事がない。30分間試行錯誤して開けようとしていたが何も変わらず途方にくれていた。ふと格子戸の横の薄暗い空間にある棚が目に入り、棚の上に空き缶や鎌など農作業用の道具が置いてあったので、その中に開けるための道具か鍵はないかと見てみると・・・
古いが黒光りする大きなドライバーのような、でも大事そうな木板がついた金物が他の物に埋もれていた。写真の下に写っている金物は如何にも鍵であるが、四角い鍵穴には小さすぎるので違う鍵だと直ぐにわかる。上の大きなドライバーみたいな物が怪しいので、これを格子戸に突っ込んでみるがちょうど入るではないか。
突っ込むことはできたが、奥はただの空穴・・・まるっきり手応えがない。そこでもう一度ドライバー先端の形状を確認して・・・あぁそうか！と思ってそれを想像通りに使うと・・・
開いたのである。たったこれだけの事であるが、開いた倉の中からみて旨く細工してある格子戸錠だと感心した。閉まった原因はその鍵がされないように固定してあった物が戸の開け閉めする衝撃または触ったせいで外れてしまって下に落ちており、戸を閉めたとたんに錠が勝手に閉まったのである。まるでホテルの自動施錠のように閉めると鍵がかかるのである。運が良かったのはその鍵を外に持ち出して有ったこと。当然窓も施錠してあるため倉の中にその鍵があったら、戸を完全に壊して開けるほか無かったのでラッキーである。念のため鍵は戸の横に常時置くことにした（鍵の意味がないが）。
そういえば・・・otomo vie centでは家守を多くみる。この戸を開ける前の晩に、ガレージのシャッターに3匹の家守がくっついていた。家守は日本トカゲと違って頭がとても大きいところがかわいいので、ペットショップで売られているくらい人気がある。
うーーん 確かにかわいい。家守は縁起のよい昆虫であるとされるので、この子を見たから倉の戸を壊さずに開けることができたのかもしれない。
otomo vie centでは再び母屋のリノベを再開しはじめているが、同時に夏野菜も育てていて現在次々収穫中。
無農薬、無肥料がモットーのotomo vie centの畑。時折モグラの穴で苦慮するが、なんとか秋まで収穫が続くことを願いたい。
