先回ご紹介した新潟市の海抜ゼロ地帯の一目でわかる地図のコラムをアップしましたのでご興味ある方はご覧下さい。
さて、先回の「東日本大震災から学ぶ家造り②」では耐震性を書きましたが再び地盤のことに戻りたいと思います。
耐震性の基本を決定すると言っても過言ではない「地面」について少しふれます。
東日本大震災から学ぶ家造り①で申し上げたとおり、地震対策は先ずは地盤の良い所」に尽きる申し上げました。
これは中越地震、中越沖地震から学びました。新潟県は他県より人口に対し平野が多くある地域です。しかしその平野は信濃川が運んだ土砂でできており、地層としては歴史の浅い沖積層に属します。元々は海であった(氷河期)ところに川によって土砂が運ばれた緩い地盤です。ですので大きな地震が来ると「液状化」する地域でもあります。
液状化は海に近い所だけで起こる現象ではありません。実際海から遠く離れた長岡市でも中越地震のときは液状化して建物が傾き住めなくなりました。また今回の大震災でも海とは縁のない埼玉県で液状化が起こっております。
液状化が激しく起こった地域の家は、直すことより引っ越す方が多いです。つまり家を強固に修繕しても余り意味が無いからです。地盤を強くすれば良いのでは・・・とおっしゃるご意見もありますが、液状化に対し補償してくれる補強、施工方法は今だ聞いたことがありません。つまり液状化対策はやっと始まったばかりの学問であるため、その対処がまだ確立されておりません。そこにお金を使って修繕し住む事を望まないのです。
さて、大きな地震を体験された方は、現在の地震に強い家の評価である耐震等級2、3を求められます。更にその上の等級を国に求めたいとのご意見もありますが、私は今現在そこまで法律で規定する必要があるとはと思いません(それより先に4号特例の廃止です)。
無論、個人で行うというのなら賛成です。そして建物変形防止を優先に考えるならまず地盤の良い土地を先ず選び、その上に免震構造の方がよいと感じます。ただ軟弱地盤では免震構造は使えませんので、新潟県の多くの地域は免震構造が難しいですが・・・。
因みに超軟弱地盤地で耐震等級3という建物は、標準せん断係数をC0値を1.5倍しますからそれだけで、一般地域の等級3の1.5倍の耐力を持つ建物です。更に雪の荷重(1mまでの)低減をしなければ更に高い耐力を求められます。つまり構造を強くするのは等級ではなく、設計者と建て主の想い(思想)で簡単に可能です。あえて等級3以上の等級表示を法律で規定する必要無いと感じます。
最後にもう一度。地盤(地形)の良い所を選ぶことが耐震性UPと災害防止の王道です。