「緑の家」の窓について 2 
標準ガラスは全て遮熱型(新潟以南)

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Ⅴ地区新潟以南の超高断熱住宅は全て遮熱ガラスがよいかも その2 女性に優しく
エクセルシャノンさんのカタログから 先回の続きである。私のポリシーは住宅の定説を疑って考えることであるた...
2023年9月にこのブログを公開

丁度一年前に、上のブログを書いた。この反響は大きくこちらのブログを読まれた建て主さんは全員紫外線カットを最も重要視された。

日射熱取得型ガラスは省エネが趣味の人向け

30年以上高気密高断熱住宅に住んでいると、冬の日射でも屋内に直射が降り注ぐところでは暑くて悲鳴を上げる。つまり、ただでさえ冬季でも暖かい部屋となり、それ以上日射を体が受けることで体が火照ることを直感的に拒否する。想像してほしい。部屋が適温時(22度から25度)にガラス越しであっても直射日光に当たることができるのか・・・。「緑の家」で超高断熱仕様が標準する15年以上前なら私も遮熱ガラスを選ぶのは北側の窓だけだったかもしれないが、今は全方位遮熱型を勧める。

私は真冬の2月に南西側から入る強烈な直射日光を心地よいと思ったことがない※。できれば真冬でも直射日光の当たらない席に避難する(高断熱住宅の場合)。これは多くの人がそう思うだろう。また多くの住宅は、リビングが南向きで大きな窓のある空間を欲すると思うが、家でリラックスしようと思った時に直射日光が当たって気持ち良いとは思えないが、その南にあるリビング以外にリラックスできる空間がないのでリビングのカーテンを閉めることになる。だから「緑の家」ではカーテンを閉めて視界と日射を遮るくらいなら最初から遮熱型ガラスを選ぶ。また折角見晴らしのよい南側であれば尚のことカーテンで遮りたくない。であれば日射に当たっても気にならないくらいの遮熱型ガラス(日射侵入率0.25以下)を選んでカーテン開け外部を眺めていたほうが気持ちよい・・・と感じる。
※冬季東京での南垂直面のm2あたりの日射は最大で約600W/m2にもなり、一日の平均でも300W/m2にもなる。ちなみに夏の南垂直面は最大でも300W/m2と意外と低く半分程度になる。

確かに日射侵入型ガラスを使えば無暖房も可能なくらいになるが、暖房費の節約より「快適さ」を選ぶことが家に求める本来の性能であるはず。よって体に日射が当たることで多少不快でも、暖房費を少なくするほうが気持ち良いという「省エネが最も関心ごと(趣味)」な人が日射熱取得型のガラスを選べばよいと思う。

紫外線を気になる人なら遮熱型ガラスの一択

男性は日傘をさすことは少ない。女性は日傘をさすか化粧に入っている紫外線防止剤を期待して日中屋外にでる。つまり男性の目線だけで家を作るとその感性の違いで失敗する可能性がある。男性は多少紫外線で顔が日焼けしようと全く気にならない人が多いが、女性の多くは日焼けは厳禁だと考えている。

本日のUVインデックスを気象庁は毎日公開している。

さて、簡単に申し上げると室内の紫外線量は意外と多くなること知っているだろうか。まず紫外線の特徴だが、紫外線は可視光線と違いより散乱光での割合が多くなる。上下の図は気象庁HPからの転載である。

つまり紫外線は窓辺の直射日光に当たっていなくとも全方向で6割だから、凡そその半分の2~3割弱の紫外線が窓から侵入しようとする。当然直射日光が入るようになると5~8割弱の紫外線が入ろうとする。そこでガラスやカーテンによってそれを防ぐのであるが、ガラスでは種類によって紫外線を阻害する量が大きく異なる。日射侵入型のペアガラスでは、紫外線のカット率は54%であり(エクセルシャノンESクリアーのペアガラス)、46%の紫外線がガラスをとおして入ってくる。一方遮熱型ガラスを選ぶと紫外線のカット率は95.3%で(エクセルシャノンのグリーンタイプトリプルガラス)、わずか4.7%しかガラスを通して入ってこない。

問題はここから。室内では屋外と違って化粧もなく無防備なまま長時間リビングに滞在する場合が多い。この時窓ガラスが日射侵入型の条件では、屋外に出ていてお化粧をして30分間浴びる紫外線量と、屋内で化粧無しで2時間直射日光の入るリビングにいることを同じ時期として単純に計算すると、屋内にいるほうが単純に2倍弱ほどのUVを受けることになる(化粧での紫外線カット率を50%としたとき)。一方ガラスを遮熱型ガラスとすると、屋外に対して1/2に下がるのである。これが建物がある間続くのである。当然カーテンを閉めれば屋内に入り込む紫外線は激減するが、それでは折角の窓越しの景色を見ることができない。

自邸の寺泊では西側の大きな開口部。省エネよりできる限りカーテンなしで屋外を見ていたい。また連れ合いも直接日射が嫌い・・・だから遮熱ガラスを選ぶ。

周囲の環境で一概には言えないが、私は自邸でこんな景色をいつも眺められるほうが快適であるし、連れ合いも真冬でも直接日射が顔に当たることを嫌うし暑いと思えば躊躇なく窓を開ける。そのため景色を眺める窓ならなおさら遮熱型ガラスを選ぶ。

このことは一年前に下で詳しく紹介しているので興味があればご一読願いたい。

https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2023/09/17/

最後に・・・直射日光がある程度家に入らないと人は不健康になるといわれることもある。しかし35年前に高気密高断熱住宅で全室暖房を勧めた時も同じ反論があった。当時は全室暖房にした住まいで暮らすと寒さに耐性が無くなり風邪をひきやすいといわれた。私は当時から「体をあえて家の中で鍛える必要はなく、寒い屋外にでた時に鍛えればそれで済む」といっていた。今は当然そんなことをいう人はいなくなった。同じように紫外線だけを見れば、ほとんどの人が必ず毎日何らしか屋外に出ているわけだが、その時に意識して紫外線に当たればよいだろう。意識しないで紫外線を浴びることが嫌なだけである。紫外線と健康問題を考えた時に、カーテンを閉めることで遮熱ガラスとほぼ同じくらいの紫外線量なら私は遮熱ガラスを選ぶだけ。当然家に同居する住人とよく話し合って決めればよいだけのことである。

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