Ⅴ地区新潟以南の超高断熱住宅は全て遮熱ガラスがよいかも その2 女性に優しく

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
エクセルシャノンさんのカタログから

先回の続きである。私のポリシーは住宅の定説を疑って考えることであるため、10年前の提言である風呂CFと同様に、省エネを推奨する方面の方々から猛反発されそうな内容である今回の話題・・・何故遮熱ガラスが良いのか・・・の理由の2番目である。

超高断熱住宅は冬期に暖房費を安価にする事を考えて日射侵入型のガラスを選んでいる事が主流の考えである。しかしその1で書いたとおり遮熱型のガラスの方がトータル的に考えた場合、良いところが多い。その一つが直達日射をできる限り和らげることで、日射にあたっても快適に過ごせることである・・・とした。その2ではさらに付け加える理由を挙げる。

日射遮蔽型と日射取得型のガラス

高性能サッシのカタログには、冒頭の図のように様々なガラスがあることがわかる。当事務所での標準サッシのエクセルシャノンさんではペアガラス、トリプルガラスの2系統で12種類のガラスを選べる。ガラスの重要な性能として、強度と耐久性を除く機能だけに絞ると、熱貫流率、日射熱取得率、可視光線透過率、紫外線カット率が表示してある。これぐらいは最低限明記しないとガラスを正しく選べない。その中で今回の話題である日射熱取得率について改めて説明すると・・・

遮熱系ガラスの代表
日射取得系ガラスの代表

上の二つは日本板硝子のトリプルガラスの中で代表的な遮熱系ガラスと断熱系ガラスである。当然遮熱系は日射熱取得率32%と低く7割の熱をカットする。一方断熱系ガラスは日射取得率58%なので4割しか熱をカットしないので60%の熱が室内に入りそれが冬期には暖房として利用できる。

次はペアガラスで代表的な遮熱系ガラスと断熱系ガラスである。遮熱系は日射取得率37%と低く6割の熱をカットする。一方断熱系ガラスは日射取得率68%なので3割しか熱をカットしないので70%の熱が暖房として利用できる。

よってこのガラスの中では冬期晴れが多い太平洋側の超高断熱住宅の南面ガラスはペアガラスのESクリアがよいかなとなる。但しシミュレーションしてガラスの熱貫流率との比較をしないと正しく評価できないが、一般的な条件ではこのESクリアとなる事が多い。一方南側以外は遮熱ガラスはトリプルガラスならグリーンタイプで、ペアガラスでもグリーンタイプが一般的ではないかと思う。

紫外線カット率は?

遮熱系トリプルガラスの代表
日射取得系トリプルガラスの代表

紫外線はあらゆる物を劣化させる。屋外で使用する製品は、この紫外線劣化剤が添加してあるため樹脂製品でも意外と劣化が少ないものが多い。その一つが樹脂サッシや雨樋である。しかし屋内で使う前提のものは、この紫外線劣化防止を積極的に考えていないので、窓際においてあるものは直ぐに劣化する。

例えばカーテンやスクリーン、床や家具など色あせたり破れやすくなったり、表面の劣化で粉が飛ぶ事さえある。無垢の床も例外ではない。「て・こあ」の日射があたる廊下の劣化は酷いの一言。そこでガラスの紫外線カット率は大変重要と考えている。

トリプルガラスの紫外線カット率はグリーンタイプは95%とほぼ紫外線を通さない。一方ESクリアは68%と30%の紫外線をとおす。

遮熱系ペアガラスの代表。Bブレードの標準ガラス。
日射取得系ペアガラスの代表。可視光線透過は良いがほとんど使わない。

ペアガラスの紫外線カット率はグリーンタイプは83%と高い紫外線カット率。一方ESクリアは54%と約半分の紫外線をとおす。

女性の肌に優しいガラスがこれからの決め手

気象庁 オゾン層観測報告2008より。地図に星印を入れドイツと日本の紫外線の違いを載せた。ドイツより日本の最大最大1.5倍ほど紫外線が強いので日本では紫外線カットが重要なガラス性能になる。

「SPF50+」、「PA++++」は女性はよくわかる単語だとおもうし、とても気にしていると思う。これらは化粧品で紫外線のカット率を示す表示。現在では多くの化粧品に表示されている。それほど女性は紫外線を気にしているのに、自宅のリビングで日射にあたることを望んでするのか?ってことにになる。屋外にいるより長時間座っていたり、キッチンに立っていたりするのに、日射取得率が70%と高いESクリアのペアガラスなら紫外線は半分以上室内に入るのである。直達日射なら無論のこと室内で紫外線は反射するので、窓際で直接あたっていなくともその近くでは紫外線にさらされる。特に家の中では化粧を落としている時間が多い。その点男性は無頓着なかたが多く、日射がはいって暖房費が削減されればOKと言ってカーテンを全開で紫外線を半分もいれるガラスを選び・・・満足している。特に冬期は横からの直達日射なのでそれは顔に当たりやすい。確かに冬期の方が紫外線は少ないが、ご存じとおりスキーでも真冬でも晴天なら雪焼する事は多くの人が体験している。このことをしっかり捉えてもっと女性に優しい選択をするべきだと感じる。最近は女性の設計者も増え、女性の視点でのガラス選びが行われるようになった。当事務所でも女性スタッフMからの意見で、紫外線カット率は最も高いガラス選択ポイントになった。

長い時間が経たないと特にこの問題は気がつかない。私も自宅が日射熱取得率が70%前後の日射熱侵入が高いペアガラスだったので、直達日射時には簾、カーテンをしていた。それでもその窓近くの家具は全て色あせているばかりか、痛みがでている。31年間高断熱住宅に住んだ経験から私は、多少の暖房費より紫外線をカットし、大好きな家具や床、そして人(特に女性)の皮膚の健全な方を間違いなく選ぶ。

自然素材=無垢木材こそ紫外線劣化する

使い方住まい方で多少違うと思うが、紫外線は自然素材でも当然劣化させる。

紫外線カットが20%程度の単板ガラスの室内の床。傷んでいるところは窓から60cm以内に集中。

上は35年経た東面シングルガラスの窓下のフロアーである。表面はカサカサになりもう手で触ることができないくらい痛んでいる。

築100年の古民家の縁側廊下に貼られている床。ヒノキの縁甲板で痛みがひどい。当然スリッパも使っていない生活部分である。まるで屋外にある木のようである。

こちらは築100年を超えた古民家であるがこの床は50年ほど経っている部分の廊下である。シングルガラスのため紫外線カットは20%程度。床は紫外線でひどい状態である。

通常紫外線があたらずスリッパも使わない床は下のようにつやが出ることは、以前からご案内している。

建て主さん宅から切り取って頂いた55年使ったヒノキの床。スリッパ無しの生活の時は梅雨がでて美しい。

同じこの古民家の建物でも奥に貼っている紫外線があたりにくい床は・・・

築100年の古民家に貼られていた床。松であるが艶が綺麗。痛んでいる縁側廊下と違い奥の間に貼ってある。

と艶がのった素晴らしい肌ざわりである。
このように様々な事例を見るとこの痛みは紫外線が原因といえるだろう。

超高断熱住宅は日射熱遮蔽型で紫外線高遮蔽が無難

日射熱取得率が高いガラスは紫外線を通しやすい傾向がある。一方遮熱型の日射熱取得率が低いガラスは紫外線をほとんどカットするように造られている傾向が高い。これらを考えると・・・

海からの反射光も含めた強い直達日射でも、高遮熱タイプ(日射侵入率32%)紫外線ほぼ100%カットならこの風景を見ながら夏でも長い時間くつろげることが可能。
以前の日射取得型のガラスの場合、簾などをして直達日射を防がないと冬期でもレースのカーテンが必要だったし、顔がいたくなるくらい紫外線が入った。

直達日射下で長い時間くつろげないが、窓を単なる暖房費削減装置と思うなら日射熱取得型がよいだろうし、多少の暖房費より景観重視、快適性、紫外線対策なら遮熱型のガラスが良いだろう。オーバーヒートの心配も少なくなり、顔の火照りもなくなることで、過度な日射遮蔽を必要せず、直達日射下でも風景を長い時間楽しむことが可能である。しかも紫外線劣化もない。

迷ったら日射熱取得型でも紫外線カット率が高い選択を

日射取得系ガラスだが紫外線カットも可視光線透過も大きいバランスがとれたトリプルガラス。
日射取得系ガラス。可視光線透過は大きいがバ紫外線カットが少ないトリプルガラス。

上はトリプルガラスで日射取得率は46%のクリアタイプと58%のESクリアーである。ESクリアは日射熱取得率は12%も高いが、紫外線のカット率が68%と低いのに対しクリアは90%もカットする。よって迷ったらクリアを当事務所は10年前から選択している。

ペアガラスも同様の理由でも迷ったら日射熱取得率より優先的に紫外線カットを選び、クリアタイプを選択している。但しご要望があれば紫外線カットより日射熱取得を優先することもある。このような選定思考も家の(性能)デザインといえる。

このように絶対このガラスがよい!ということはないが、寒さからの恐怖が全くない超高断熱住宅は、窓からの直達日射が邪魔に感じる時が多い。確かに日射進入型ガラスを使えば暖房費が下がるが、それだけで楽しく豊かな暮らしとはいえないような気がする。これは車でも同じ体験をした。たしか2000年から初代プリウスで10年ほど乗ったときに、確かに最初は燃費が素晴らしく省エネ走行に価値を感じていたが、連れ合いの一言で、私にとってはとってもつまらない事に気がついた。その後からあまり燃費を意識して車を購入したことがなく、いま車の運転はとても楽しいし、きっと車を乗っている間はそのように選ぶと思うのである。

今回は控えめにⅤ地域以南としているが、今年の北海道の暑さを考えた場合、Ⅲ地区以南でも真北を除く全ての方位のガラスは基本高遮熱で高紫外線カットガラスの方が豊かに暮らせる気がする。当然伊達の家のように温室として使える空間がある場合は例外である。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする