やっぱり浅間は天邪鬼だなと言われそうな本日のテーマ。「緑の家」は「将来」S造の住宅も目指す。
オーブルデザインの事務所だから当然木造の超高断熱高気密だろうと想像する方が多いと思うが、全く別方向で主要構造が鉄骨造(いわゆるS造)の中に超高断熱高気密の内装を施す。
なぜ鉄骨造のなかに事務所をつくるのかを絡めて「緑の家」の将来像を少しだけ語らせてほしい。
「緑の家」は将来鉄骨造もお勧めする。これには十分な理由がある。
その理由の前に世の情勢からみると、現在の国内は二酸化炭素削減や持続可能な世界を目標に、住宅は当然で中規模のビルまで木造でつくりはじめ、また政府も後押ししている。しかしこれには賛同できない。私は真逆で木造よりS造の住宅を将来お勧めしたいと考えている。
わたくしは過去に何度か提言をしているが、その中でも仮説として下のとおり9年前の2015年に「カビが家の寿命を決める」とした説を発信した。
これは今も変わりなく逆にさらにそのように思うようになった。
特に住み替えや住宅購入ではなく下のとおり建て替えの理由はカビだと強く考えている。
カビは有機素材に生えやすく特に湿気の吸放出が盛んな素材が好き・・・よって木材付近に生えるので、カビだけを見ると木はできる限り避けたい。しかし木造住宅である以上、木材排除することは建て替えのほかならない。
もし構造がスチールとコンクリートであれば、建物をスケルトンにした時にカビ臭や汚れた木材は全て取替えることが可能で、
ここが大事だが・・・
①構造及び外皮と内部性能がキッチリ分かれるのでメンテナンスや時代に合わせた維新が簡単になる。
②法的に大規模改修にならず確認申請が必要になることもない。
のである。
私は人生の半分を木造で過ごし半分をS造で過ごしてきたといってもよい。そして深く考えるほどS造の住宅のほうが木造より生物劣化の点では無難でよいのではないかと、「て・こあ」に関わり始めた10年前の2014年から真剣に思うようになった。
S造とはご存じのとおり鉄骨とコンクリートで構造を作る建て方である。鉄骨とはスチールである。スチールやコンクリートをつくるためにはとても大きなエネルギーが必要であり、ここが今の風潮にあっていないとされる。しかし科学的に考えると、より大きなエネルギーを掛けて作った素材はそのエネルギーに見合った寿命となることが多い。例えばコンクリートは雨ざらしでも100年は大丈夫といわれる。これはコンクリートの材料の石灰石等を自然状態から熱によって変化(還元)しているので、再び自然の石灰石状態になるためには掛けたエネルギーを放出する時間(酸化などの変化)が必要と考えることができる。もしこれが木材ならどうだろう。雨ざらしなら通常の木は10年で形が無くなる。確かに木材も太陽光のエネルギーを備蓄しているだろうが、その材料が持つエネルギーの量が全く違う。一例だが古代行われた「たたら製鉄」でさえ、1トンの製鉄するために、約4トンの木炭を必要としその木炭を得るには約15トンの生木を必要とするといわれる。材料のもつ自然状態に戻りにくいポテンシャルは15倍といってもよい。これだけエネルギーを使った鉄は、湿気を吸放出することは一切ない自然界にはない人工素材となりカビの原因になることはないし、虫の心配もない。このように生物には全く侵されないのだが、その一方雨がかりには弱く錆びやすい欠点がある。しかし屋根下で正しい使い方をすれば写真が示すようにほぼ50年経ても劣化はみられない。木材に比べれば普遍的とも思える柱梁である。
ではなぜ今までS造を勧めてこなかったかといえば、それは「コストが高いから見合わない」に他ならない・・・続きはその2で。