「 2008年01月 」一覧

暖房と省エネを考える。④ 私流エアコン暖房の使い方。

2010年にエアコンの特性などから台数の設置方法も書きました。こちらをどうぞ

世間広くお勧めにくいのですが、左写真のような「緑の家」のような吹き抜けが大きかったり、窓が広々していたりするプランが多い家では、エアコンの使い方はちょっと違います。どこが違うかというと、

①自動運転モードにはしない

②風量を自動風にはしない。下に加筆あり)

③風向き羽をスイングさせない

④風向きを人にあたらないように固定

です。

①は、エアコンの使い方を見ると運転モードは「自動」「冷房」「暖房」があることがわかりますよね。カタログには「自動」運転を推奨することが多いですね。この自動運転とは、エアコンが外気と室内温度を測定し、暖房運転するか、冷房(除湿)運転するか、またどのくらいの能力でを勝手に判断して運転するモードです。またこの時の設定温度も表示されない機種もあります。高気密高断熱の家中暖房(高気密高断熱でも家中暖房しなければ意味がない)する家では、普通の家の暖房温度より低い温度で快適感が得られます。(理由は4月ブログをご覧ください)自動運転では暖房時高すぎたり、冷房時には低すぎたりするので、「暖房」運転モードにし、温度設定を住人が行います。大体暖房時22度くらいが多いでしょうか?そして就寝する時に20度くらいに設定温度を低くしたりします。住人が時分で温度管理を行う事を基本としているからです。こうする事で無駄な温度上昇を防ぎ、温度が安定し、結果省エネにもなります。

②は、ほとんどエアコンでは、暖房出力(エアコンが発生させる暖かさ)に応じて一番相応しい風を送風するように設定されています。この設定が風量の「自動」モードです。高気密高断熱の家中暖房(高気密高断熱でも家中暖房しなければ意味がない)する家では、一度暖まると小さな暖房出力でOKです。すると「自動風」を選んだエアコンは、風量が微風状態となります。たとえばこの状態で吹き抜け部分に設置されているエアコンが運転していると、窓からのコールドドラフトを微風では撹拌する事が出来ずに、温度ムラが出来やすくなります。一方風量を「中」で固定した場合は、小さな暖房出力となっても、風量は「中」のままなので温風が床付近まで行き届きコールドドラフトを撹拌し、温度ムラをなくします。もし皆さんの家でエアコン暖房されていて、温度ムラを感じる方は、この風量設定を「強」もしくは「中」とし、「自動」としないことを試みてください。温度ムラが改善されますよ。こうする事で無駄な温度上昇をせずに良くなり、結果省エネにもなります。但し最近のエアコンは、強風にしても強風にならないように制御されている機種がほとんど。結果自動風と同じ風量になる!なら強風モードなんてなくせよと言いたい。・・・2009年1月加筆

①から④までは、あくまでも緑の家のような高気密高断熱だけど窓が大きい家や、吹き抜けが大きく取られている家のばあいです。

③はこの次に!


暖房と省エネを考える。③ エアコン暖房の使い方。

まず最初に・・・先週ある現場に向かって車の運転中の事。信号で止まった前の車が青になっても発進が数秒遅れ、更に50km/h制限のところ20km/hとかなり遅い。雪道とはいえなぜそんなにと思いつつ、2車線だったので左の車線からやむ無しに追い抜きざまチラッと見ると、なんと左手に持った携帯でメイルしているではないか?前はほとんど見ていない。もう信じられない行為!イヤー本当にこんな車の後ろで事故に巻き込まれなくて良かった。(せめてメイルは止まって打ってよ!広い道なのに・・・)

さて、題目のエアコンの使い方である。今のほとんどのエアコンは、インバーターという能力可変方式である。その可変巾も広く、6帖用エアコンで0.6kW~6kwという10倍の暖房能力が可変できる機種を当事務所で標準的に使う。では、22度で家中暖房するために5KWの熱が必要な家があるとき、このエアコン1台で良いかというと、「良くない」。まず6kwの能力が出せるといってもこれは外気温が7度の時。通常暖房が最も必要な時とは、外気温が下がっているとき。例えば外気2度の時の最大能力は、4.4kwとなる(必ずカタログに低温時の暖房能力の記載がある)。更に外気温が-2度くらいに下がれば、3.0~3.5kwになると予想される。従ってこの数値からでも2台は必要。6帖エアコンではなく20用エアコンだったら大丈夫でしょう。という突っ込みがあると思うが、通常エアコンは小さな部屋の機種の方がCOPが随分高い。興味のある人は財団法人省エネルギーセンターで調べるとよい。次に1階がワンルームでもない限り、各部屋の扉や壁で仕切られた部屋区画がある。暖かい空気は2階に伝わりやすく、吹き抜けでもあれば、2階は部屋区画で仕切られていっても、戸を開けさえすればそう問題はない。しかし1階が部屋区画仕切られていると、温度ムラが出来、快適性は薄れるばかりか寒く感じる場所まで出来てしまう。そこで暖房能力的に必要も無くても1階にエアコン2台設置し、温度ムラをなるべく造らないようにする。次に、可変能力があるといっても最大能力で使うと2つの問題が生じる。ひとつはその音。能力最大時はエアコンも風量も最大となり音や気流感が不快。だから最大運転をさせないようにする事が重要。2つ目に今のエアコンは定格出力の大体半分程度が一番COPが良い。一番COPが悪くなるのは、最大運転を行っている時。つまり1台で無理にエアコンを運転させるとCOPが下がり、電気代が高くなるのである。この2つの理由でたとえエアコン一台で暖房できる家であっても当事務所はそのように説明しない。家に3台エアコンが設置されていれば、1月2月の厳寒期は、3台とも運転させる方が1台、又は2台で運転するよりも電気代が掛からない。

図は今年度建築学会で発表した時の資料の図で、この機種は赤丸の1がエアコンの定格時を示し、6帖用エアコンなので2.8kwの出力を示す。するとCOPが最も高いのが0.4の表示で2.8×0.4=1.1 kw。つまり1.1kwの暖房出力時(=定格時の約半分)に最も良いCOPを示す実測結果が得られた。 定格時よりも大きくなるにつれてCOPが悪くなるのがわかる。このエアコンを効率よく運転させるには、1~1.5kw付近を使うようにする。具体的は先ほどの家であったら3台運転がベスト。この論文の原本はここにあるので、ご興味のある方はどうぞ。この研究は今後暖房の主流となるエアコン暖房の省エネ選定(運転)方法基礎資料となると自負している。(*^o^*) と手前味噌。

2.5kw→2.8kw 30日に数値を修正しました。


暖房と省エネを考える。②

①から

昨日東北電力さんがお見えになり、「まだ内輪の話として聞いてください。実は来年からヒートポンプ式エアコンに力を入れる事が決まったのです。従来は蓄熱暖房機に重きをおいていたのですが、国の施策です

そうです。とうとう東北地域でもエアコンが暖房機の主流となりそうです。エアコンについては、このブログや当HP上でしつこくその省エネの優位性をあげてきました。勿論当事務所の設立以来10年間エアコン暖房を推奨してきました。CO2を減らす事や原油を効率よく使おうと考えれば、人間の生活に必要なくらいの温度域エネルギーは(100度まで)、ヒートポンプがとても都合が良いのです。結果、家庭の経済性もよく、快適を維持しながらCO2を減らせますし、ランニングコストも現時点で一番低いです。暖房を迷っている人は是非、エアコンで検討してみてください。

蓄熱暖房機は深夜使われていない電力使うため考えられた暖房機です。しかし、2010年に深夜の電力を多く消費する物が普及する可能性があり、その役目は今後必要無いとされそうです。その普及するものとは、「プラグインハイブリッド車」です。プラグインハイブリッド車は、家庭用コンセントで充電し、10km以上をこの電力だけで走る事が出来そうです。すると、ハイブリッド車が深夜に家で一斉に充電すると相当の電力量となり、深夜の電力は余らない事になります。電力会社にとっても非常に都合が良いですね。今まで深夜電力は叩き売り状態で通常の1/4くらいの売価で売ってましたが、今度は通常価格で売れる電力になる可能性があります。そうなると今までの蓄暖を使っていた人はどうなるでしょうか?今までの4倍の支払いをしなければいけなくなります。(まあその分蓄暖はCO2を多く出す暖房機ですので環境に良くなさそうですが・・・)勿論電力会社社員にも多く蓄暖を使っている人ががいるので救済措置はありそうですが。。。

現代の科学を使い快適性は同じようにして省エネする。これが重要です。おっと、重要なことを!!エアコン暖房は、その構造上、「家中暖房」と「24時間暖房」でその効果発揮します。理由が知りたいひとは、2007年4月のブログをご覧ください。

左写真は、雪が深いところでのエアコン室外機設置風景です。雪に埋もれないように、またなるべく屋根の下になるようにすると効率が落ちにくいです。


暖房と省エネを考える。①

家の掃除はどのくらいのペースですか?私の子供時代(今から35年前)は、真冬でも朝一度居間の掃除をしてました。(勿論ほうきで)雪が多少降っていたとしても窓をあけて掃除しますから寒~~い。でもそもそも家の台所では、布巾が凍っている事も多々有る位家は冷えるので我慢できました。家の中でも水道を少し出して凍結防止をしていた事も数回以上あったと思います。凍結し水栓が破裂したところも家の中でみました。今では考えられない事です。こんな寒い中で最も我慢できなかったことは、小学校に行くときにパジャマからジーンズに履き替える時です。ジーンズの冷たさは、冷水に足を入れるような感じで、絶対と言っていいほどコタツで温めました。(年頃になるとモモヒキははけないので)また寝る時には、足元に「電気アンカ」をセットして寝てました。そうでないと布団に入れないくらい足が冷たい~~。このように昔は暖房をしていない家だったのです。勿論コタツはありましたが。。。(コタツは採暖)。当然暖房費はほとんど掛かっていなかったのではないでしょうか?コタツの中は「炭と豆炭」ですから、寝る前に灰を炭に掛けて次のの朝の火種としているところは、現在の薪ストーブの寝る前に木を入れるような感覚です。このような「採暖」生活は省エネと呼べるでしょうか?省エネとは無駄なくエネルギーを使い、快適性を犠牲にせずエネルギーを省ける方法を省エネと呼びたいと私は考えます。「我慢生活」=「省エネ生活」ではありません。ですので心の平和を造る暖房(寒さは死を感じる)は今後も行っていきたいと考えます。

さて、エネルギー削減を突き詰めればこのように我慢生活にならざるを得ないと思いますが、エネルギーの無駄を無くすことは我慢生活でなくともできます。例えば電気ポットを止めましょう。電気ポット多くは、断熱性能のない容器ですから、沸かしたあとからどんどん熱が空気中に逃げます。昔ながらの魔法瓶(電気のないポット)にお湯を入れるのが良いでしょう。次に道にある自動販売機もできる限り利用することを止めたいものです。自動販売機も断熱性能は無いですので無理やり暖めたり冷やしたりしているので、エネルギーの無駄使いです。次に開放型ファンヒーターもできれば購入を止めたですね。(リフェース)この器具は室内の空気を使って燃焼しますから、一時間に一回は5分間は最低空気の入れ替えが必須です。このとき温まった空気も逃げますので無駄です(この開放型ストーブを居室で使うのは、先進国では日本だけらしい)。空気の入れ替えをしない方がいらっしゃいますが、 これは大変危険です。また結露をおこすので建物や寝具衣類などをだめにします。これも無駄です。②に続く・・・

写真は数年前の冬。この年は雪が多く降った。


見学会にお越し頂きありがとうございます。

昨日、一昨日と完成見学会に遠くから起こしいただいた方、急がしい時間に都合をつけていただいた方、どうもありがとうございます。

今回の見学会は、少々反省すべき点がありました。まず、チラシの折込日が適当でなかった事。本来なら前日におり込む所、印刷会社さんの都合で当日になってしまいました。そして「寒い時期の更にとてもゆきの多いところで見学会となった事」です。本来なら寒い時期だからこそこの家の良さがわかるのでしょうが、大学センター試験とも重なり今回の見学会はどの他もいらっしゃらない時間が結構ありました。

また、今回の見学会で感じた複雑な気持ちは、事務所設立当時から10年「緑の家」の仕様は変わっていない事が誇れる事なのに、初めて来て頂いた方は、以前とは違いその仕様にびっくりされないことです。このような「緑の家」仕様が世の中に浸透し、今では無垢材を沢山の皆さんが使っているし、壁も自然素材が多くなったことがあげられるのでしょう。(無塗装はまだまだ少数ですが、オイル仕上げとの違いが靴下を履いている一般の方ではなかなかわからない)10年間で標準となった仕様という事は、10年先を見据えた仕様である事です。となるとこの施工と設計・工事監理を分離するスタイルも10年後にはあたりまえになるのでしょう。最近は一年で仕様が変わるメーカーが多い中、10年も同じ仕様を薦めることは誇れる事ではありますが、感動が与えにくくなった事に複雑な思いです。

さて話が変わりますが、お越し頂いた方で「こんな大きいコーナーサッシがあって地震に弱くないの?」とのご質問があり、戸惑いました。というのは、私どもとしては、今回の家は地震に対しそう対処の難しくない家(柏崎 T邸の古民家の方がもっと難しいのに、今回の地震でもほとんど被害がない)なのです。だけれど、ほとんどの工務店が造る家は構造計算していないため、このようなコーナーのサッシは造らないように建て主に言っているようです。本当に戸惑います。もしコーナーサッシがだめであったら、世の中のガラスで囲まれたビルは姿を消さなくてはなりません。つまり構造計算をしっかり行えば、どんな計画も可能だと言う意識がなくなってしまっているのです。自分の技術力を否定している建設会社が多いのだと思いました。周りより10年先に進むとなかなか認知してもらうまで大変です。最初の無塗装の家を造ったあの10年前の時のように。


ありがたい先送り 壁量(耐震)チェック

ありがたいことです。また真面目に設計している人にお仕事が集まってくるのではないかと思います。

2007年12月19日の国土交通省(の元の制度部会)の発表によると、2008年(今年)予定されていた、木造住宅の行政による壁量(耐震)チェックが来年度以降に先送りされた。↓リンクは2008/02に加筆

http://sumai.nikkei.co.jp/news/latestnews/index.cfm?i=2008021209851p2

そもそもこの壁量チェックは、今から20年ほど前に行われていた行政による耐震チェックである。それが建築の資格がある人が設計すれば、行政は壁量チェックしないというきまりが20年前に出来たのだ。それ以後木造2階建の建築物は設計者にその耐震計画の全てゆだねることになった。ところが3年前に起きた、所謂耐震偽装事件で、木造住宅大手でも壁量チェックにミスや偽装が多数見つかり(当ブログでも紹介)、20年前に行われていた行政による壁量チェックが今年再び復活する事になるはずだった。

しかし昨年の確認申請の改正で、住宅の着工数が減り建築業界が大混乱となった。私の独断ではあるが、こと木造住宅においては確認申請が改正されてもほとんど変わった事はない。改正によって手間隙がかかるようになったのは、非木造や3階建て以上の住宅である。だから普通の住宅が確認申請の改正の影響で着工数が落ちたとは到底思えない。事実当事務所が提出する確認申請は、いつもどおり期間でいつもどおりOKとなる。何も変わっていない。そもそも確認申請が変わったのは、根拠を表す書類が多く必要になったことと、決められた日数に申請書にOKを出さなくても良い理由が多くなったこと。以前の法律のおいて行政は問題なければ木造住宅では7日以内、非木造では21日以内に確認にOKを出さなければならなかった。ところが改正された法律では、それが倍ほどの期間になったり、軽びんなミス以外は確認申請提出直しが必要となった。だから今までいい加減に書類を作成(設計)していた人は、大変な遅れになる。

もう一度言うが、木造住宅2階建では、何も変わっていない。確認申請のせいで着工数が少なくなったのではなく、大手を除く地方企業の景気が不安定だから家が建たなくなったのではないかと思う。建て主の立場に立てば壁量チェックは是非必要な事で、これで耐震性の安心感が得られる。なぜそんな仕組みを先送りするのか?やはり今の行政は消費者の安全よりも企業優先と言う事だろうか?


阪神淡路大震災で学ぶもの。

昨日阪神淡路大震災から13年を経った。NHKでは何度となく現地の模様が報道されていた。その中でインタビューに答える多くの人が、「忘れない。風化させない。」と応えていた。この「忘れない」という主語は何であろう?また風化しては困るのは何だろう?その部分はカットされているのか、それとも応えた方があえて言っていないのかわからない。皆さんは何だとお思うだろうか?夜の10時からNHKで放送された「命のセーフティーネット・・・」ではそんな「主語」をしっかりと報道した。これには国営放送の大切さを感じる。(製作はNHK大阪であった。)

思い返すと阪神淡路大震災で亡くなった5千人以上の方は、圧死である。朝早く起きた地震は、住民を守るはずの家なのに容赦なく就寝中の人への凶器となった。昭和56年以前の基準で建てられた住宅は、震度7クラスの地震で倒壊する。また昭和56年以降の建築であっても、正しく建てられていない建物(大部分の木造住宅が該当)は倒壊又は補修不可能な被害を受ける。どうしてそんな現実があるのにインタビューでは主語が消えてしまうのか?もっと厳しく地震がいつでも起こるという現実を受け止めなければならない。キッチンやお風呂を新しくする前に、耐震補強をする事がとっても重要であるし、我々プロはそれを薦める任務がある。

一週間程前に家を計画している人から、現在相談している工務店は「行政の完成検査が終わってから小屋裏を造ろう」と言っているが問題ないのか?と聞かれた。問題外の工務店だ。小屋裏は法律で禁止はされていない。正々堂々と建てればよいではないか?つまり法律沿わない基準の小屋裏を造ろうとしているのだ。無論こんな家を造る人は、耐震性の計算なんて全く考えないのだろう。建築のプロが違法を薦めるという信じられない現実がこの数年で2回も大きな地震に見舞われた県内でさえも日常的にある。それをおかしいと思わない建築主も問題であるが、建築主の多くは、違法建築でも地震には倒れない家を造ってくれるだろうという「暖かい」?気持ちがあるのと解釈したい。

NHKの放送した「命のセーフティーネット・・・」の中で面白い地震対策を見た。防災ベットというスチールの天蓋で囲われたベットだ。この中で寝ていれば、木造住宅がつぶれても命は助かるという。http://www.houei-k.co.jp/

また耐震補強が充分でなくても補助金を認めると言う自治体もある。これは賛成であるが、あえて一言!!もし低い基準で耐震補強をおこなったら、その旨を玄関の見える部分に掲げてほしい。そうでなければ税金を投入したのに、その家に遊びに来た人や、譲り受けた人にちょっと危険だよと言う事が伝わらない。中越沖地震でよいと感じたことは、被災地建物の玄関に「要注意」と か「危険」とか貼り出された。確かにこういった建物には人は安易に近づかない。だから何とかしようとする。乱暴に見えるがこれが耐震補強をするきっかけとなるはず。法律改正でこんなプレートの義務付けが、耐震改修を加速させるひとつの方法であり、結果として人命を守ることになる。(相当抵抗があるだろうなーー(^_^;   )右は法律で定められた積雪プレート。これを見てその家の屋根に3mの雪があったら中に入ることはしないだろう。


寺泊でも30cmの降雪

昨日のから今朝にかけて寺泊でも30cmの降雪(積雪)があった。特に拙宅は海岸部なので雪は積もらないことが多い。これは海水温が10度以上あるので陸地にふく風より温度が高めで、風があると雪がかんたんに消えるためである。今から12年前に寺泊で一晩で40cm積もった事があった。ことしはそうならなければありがたい。

私は冬生まれなので雪が降るとわくわくするが、家から車で出れなくなるのはちょっと困るし、工事している家の雪が降ってほしくない時に降られるのも困る。(これを自分勝手と呼ぶ (^_^;   )今週の気温は低めと気象庁が発表したそんな中、見学会を行いますのでご興味のある方は是非お越しください。


家の断熱性能を表すQ値の利用法

家を建てようとしている方は、「この家のQ値=2.0W/℃m2」ですよ。とか「断熱性能は次世代基準値ですよ」と聞いた事があると思う。勿論Q値が低いほど良い性能だという事はわかるが、現実味がない数値であると思うだろう。しかしQ値は、我々設計者にはとても実用的な数値である。では皆さんにもわかる使いかたを!!

高気密高断熱住宅は、家中を暖房するための技術(ランニングコストを下げる技術)です。家中暖房でどのくらいの暖房設備が必要かを考える時(所謂設備設計)にこの数値が役立ちます。

例えばQ値2.0W/℃m2で述べ床30坪の家の暖房設備は、次のように考えられます。

30坪(=100m2) 外気2℃ 室内温度22度の時の必要暖房機は

床面積×Q値×温度差=100m2×2.0W/℃m2×(22-2)=4000W=4KW

つまり暖房出力4KWの機器が家に一台あれば22度で家中暖房できることになります。4KWの機器は11帖用のファンヒータークラスです。またエアコンでは6帖用エアコンでも外気温2度の時に4.2KWの出力があるので、一番小さなエアコン1台で家中暖房できる事になります。(実際は最大温度差24度(外気-2度)で計算しますので、4.8KWとなります。)このQ値がわかるから設備機器をオーブルデザイン内で設計できるです。しかし「緑の家」ではあえてエアコン一台で暖房できる家とは宣伝しません。それは普通の家では、ある程度空間が区切られるのでエアコン一台では温度ムラができるので実用的ではないからです。

さてではQ値が次世代省エネルギーⅣ地区クラスをクリヤーする(新潟市)2.7W/℃m2で計算すると、同じ30坪の家でも5.4KW必要となります。この差はランニングコストの差になります。如何ですか?このQ値がいかに重要であるかわかりましたか?皆さんが家をお考えの時には、必ずご自分の家のQ値を設計者に聞いてください。このQ値がわかって家の大きさがわかれば、皆さんも簡単に暖房費が計算できます。

例えば先ほどの4KWの設備機器を必要とする家(Q値2.0)の一日の暖房費は、暖房を高性能エアコン(COP6.7)で行うと、外気2度の時のCOPは大体4くらいですから、4KWh÷4=1KW/hとなり、電気代1KWh=25円ですので24時間で600円。つまり今の時期(1月)の一日あたりの暖房費用は600円となります。すると仮に1ヶ月間同じ条件であると600円×30日=18000円となります。一月の平均気温が2度なら誤差はほとんどありません。これがQ値が2.7では、5.4÷4×25×24×30=24300円となりその差はひと月当たり6300円です。このようにQ値は大変使える数値です。