「 2008年01月29日 」一覧

暖房と省エネを考える。③ エアコン暖房の使い方。

まず最初に・・・先週ある現場に向かって車の運転中の事。信号で止まった前の車が青になっても発進が数秒遅れ、更に50km/h制限のところ20km/hとかなり遅い。雪道とはいえなぜそんなにと思いつつ、2車線だったので左の車線からやむ無しに追い抜きざまチラッと見ると、なんと左手に持った携帯でメイルしているではないか?前はほとんど見ていない。もう信じられない行為!イヤー本当にこんな車の後ろで事故に巻き込まれなくて良かった。(せめてメイルは止まって打ってよ!広い道なのに・・・)

さて、題目のエアコンの使い方である。今のほとんどのエアコンは、インバーターという能力可変方式である。その可変巾も広く、6帖用エアコンで0.6kW~6kwという10倍の暖房能力が可変できる機種を当事務所で標準的に使う。では、22度で家中暖房するために5KWの熱が必要な家があるとき、このエアコン1台で良いかというと、「良くない」。まず6kwの能力が出せるといってもこれは外気温が7度の時。通常暖房が最も必要な時とは、外気温が下がっているとき。例えば外気2度の時の最大能力は、4.4kwとなる(必ずカタログに低温時の暖房能力の記載がある)。更に外気温が-2度くらいに下がれば、3.0~3.5kwになると予想される。従ってこの数値からでも2台は必要。6帖エアコンではなく20用エアコンだったら大丈夫でしょう。という突っ込みがあると思うが、通常エアコンは小さな部屋の機種の方がCOPが随分高い。興味のある人は財団法人省エネルギーセンターで調べるとよい。次に1階がワンルームでもない限り、各部屋の扉や壁で仕切られた部屋区画がある。暖かい空気は2階に伝わりやすく、吹き抜けでもあれば、2階は部屋区画で仕切られていっても、戸を開けさえすればそう問題はない。しかし1階が部屋区画仕切られていると、温度ムラが出来、快適性は薄れるばかりか寒く感じる場所まで出来てしまう。そこで暖房能力的に必要も無くても1階にエアコン2台設置し、温度ムラをなるべく造らないようにする。次に、可変能力があるといっても最大能力で使うと2つの問題が生じる。ひとつはその音。能力最大時はエアコンも風量も最大となり音や気流感が不快。だから最大運転をさせないようにする事が重要。2つ目に今のエアコンは定格出力の大体半分程度が一番COPが良い。一番COPが悪くなるのは、最大運転を行っている時。つまり1台で無理にエアコンを運転させるとCOPが下がり、電気代が高くなるのである。この2つの理由でたとえエアコン一台で暖房できる家であっても当事務所はそのように説明しない。家に3台エアコンが設置されていれば、1月2月の厳寒期は、3台とも運転させる方が1台、又は2台で運転するよりも電気代が掛からない。

図は今年度建築学会で発表した時の資料の図で、この機種は赤丸の1がエアコンの定格時を示し、6帖用エアコンなので2.8kwの出力を示す。するとCOPが最も高いのが0.4の表示で2.8×0.4=1.1 kw。つまり1.1kwの暖房出力時(=定格時の約半分)に最も良いCOPを示す実測結果が得られた。 定格時よりも大きくなるにつれてCOPが悪くなるのがわかる。このエアコンを効率よく運転させるには、1~1.5kw付近を使うようにする。具体的は先ほどの家であったら3台運転がベスト。この論文の原本はここにあるので、ご興味のある方はどうぞ。この研究は今後暖房の主流となるエアコン暖房の省エネ選定(運転)方法基礎資料となると自負している。(*^o^*) と手前味噌。

2.5kw→2.8kw 30日に数値を修正しました。