「 2008年01月21日 」一覧

見学会にお越し頂きありがとうございます。

昨日、一昨日と完成見学会に遠くから起こしいただいた方、急がしい時間に都合をつけていただいた方、どうもありがとうございます。

今回の見学会は、少々反省すべき点がありました。まず、チラシの折込日が適当でなかった事。本来なら前日におり込む所、印刷会社さんの都合で当日になってしまいました。そして「寒い時期の更にとてもゆきの多いところで見学会となった事」です。本来なら寒い時期だからこそこの家の良さがわかるのでしょうが、大学センター試験とも重なり今回の見学会はどの他もいらっしゃらない時間が結構ありました。

また、今回の見学会で感じた複雑な気持ちは、事務所設立当時から10年「緑の家」の仕様は変わっていない事が誇れる事なのに、初めて来て頂いた方は、以前とは違いその仕様にびっくりされないことです。このような「緑の家」仕様が世の中に浸透し、今では無垢材を沢山の皆さんが使っているし、壁も自然素材が多くなったことがあげられるのでしょう。(無塗装はまだまだ少数ですが、オイル仕上げとの違いが靴下を履いている一般の方ではなかなかわからない)10年間で標準となった仕様という事は、10年先を見据えた仕様である事です。となるとこの施工と設計・工事監理を分離するスタイルも10年後にはあたりまえになるのでしょう。最近は一年で仕様が変わるメーカーが多い中、10年も同じ仕様を薦めることは誇れる事ではありますが、感動が与えにくくなった事に複雑な思いです。

さて話が変わりますが、お越し頂いた方で「こんな大きいコーナーサッシがあって地震に弱くないの?」とのご質問があり、戸惑いました。というのは、私どもとしては、今回の家は地震に対しそう対処の難しくない家(柏崎 T邸の古民家の方がもっと難しいのに、今回の地震でもほとんど被害がない)なのです。だけれど、ほとんどの工務店が造る家は構造計算していないため、このようなコーナーのサッシは造らないように建て主に言っているようです。本当に戸惑います。もしコーナーサッシがだめであったら、世の中のガラスで囲まれたビルは姿を消さなくてはなりません。つまり構造計算をしっかり行えば、どんな計画も可能だと言う意識がなくなってしまっているのです。自分の技術力を否定している建設会社が多いのだと思いました。周りより10年先に進むとなかなか認知してもらうまで大変です。最初の無塗装の家を造ったあの10年前の時のように。


ありがたい先送り 壁量(耐震)チェック

ありがたいことです。また真面目に設計している人にお仕事が集まってくるのではないかと思います。

2007年12月19日の国土交通省(の元の制度部会)の発表によると、2008年(今年)予定されていた、木造住宅の行政による壁量(耐震)チェックが来年度以降に先送りされた。↓リンクは2008/02に加筆

http://sumai.nikkei.co.jp/news/latestnews/index.cfm?i=2008021209851p2

そもそもこの壁量チェックは、今から20年ほど前に行われていた行政による耐震チェックである。それが建築の資格がある人が設計すれば、行政は壁量チェックしないというきまりが20年前に出来たのだ。それ以後木造2階建の建築物は設計者にその耐震計画の全てゆだねることになった。ところが3年前に起きた、所謂耐震偽装事件で、木造住宅大手でも壁量チェックにミスや偽装が多数見つかり(当ブログでも紹介)、20年前に行われていた行政による壁量チェックが今年再び復活する事になるはずだった。

しかし昨年の確認申請の改正で、住宅の着工数が減り建築業界が大混乱となった。私の独断ではあるが、こと木造住宅においては確認申請が改正されてもほとんど変わった事はない。改正によって手間隙がかかるようになったのは、非木造や3階建て以上の住宅である。だから普通の住宅が確認申請の改正の影響で着工数が落ちたとは到底思えない。事実当事務所が提出する確認申請は、いつもどおり期間でいつもどおりOKとなる。何も変わっていない。そもそも確認申請が変わったのは、根拠を表す書類が多く必要になったことと、決められた日数に申請書にOKを出さなくても良い理由が多くなったこと。以前の法律のおいて行政は問題なければ木造住宅では7日以内、非木造では21日以内に確認にOKを出さなければならなかった。ところが改正された法律では、それが倍ほどの期間になったり、軽びんなミス以外は確認申請提出直しが必要となった。だから今までいい加減に書類を作成(設計)していた人は、大変な遅れになる。

もう一度言うが、木造住宅2階建では、何も変わっていない。確認申請のせいで着工数が少なくなったのではなく、大手を除く地方企業の景気が不安定だから家が建たなくなったのではないかと思う。建て主の立場に立てば壁量チェックは是非必要な事で、これで耐震性の安心感が得られる。なぜそんな仕組みを先送りするのか?やはり今の行政は消費者の安全よりも企業優先と言う事だろうか?