先週末行われた見学会に起こしいただけた皆様、大変暑い中ありがとうございました。この場にてお礼申し上げます。
見学会の中でよく質問される事があります。それは「集成木材はだめなんじゃないの?」ということです。これについては当HPで何度かご説明しておりおりますが、再びコラムにてご案内しようと思います。
結論からいえば、「現在の木造住宅は集成材無しには成り立ちません。だから日本の国もJASという基準で厳しく管理しております。だから、良くない事はありません。」となります。
☆ここでいう集成材とは木と木を何らかの方法で接着した木。☆
我々のいたるところで集成材はつかわれています。この集成材の良い所は、「小さな木からでも大きな材料が簡単にとれ、木の性質はそのままで製品品質は安定していること」です。だから大きい材料を使う時は、接着していない木より安価で、逆に小さい木を使う時は、集成材の方が高くなりがちです。その価格を見ながら使うところを決めております。また集成材は現在全ての木造住宅のどこか一部に使われていており、逆に集成材を使わない家はほとんどないくらい普及してます。
ところがこの集成材を悪者扱いするメーカーがおり、そのメーカーによって誤解してしまうような情報が発信されております。私どもプロの建築士から見ると、その集成材を悪者扱いする会社のHP上には、。「集成材は構造材に使うと接着剤が剥がれるし、化学物質も発生してよくない」とありますが、その会社の家には合板をしっかりと壁に使って、自社オリジナル工法としてアピールしてます。この合板はれっきとした集成材の一番の親分で、且つれっきとした重要な構造材です。だからとても滑稽に見えるのですが、一般の消費者にはこれがわかるはずがありません。「集成材は構造材に使うと接着剤が剥がれるし、化学物質もでてよくないのでは」というご質問頂く事になるわけです。とても残念です。日本の確固たるJAS基準の集成材は、しっかりした品質です。建築基準法でも、無垢材の最大1.5倍の許容応力度を取る事が出来ます。このような裏ら付けのある材料を「剥がれやすい」と言って過去に起きた生産本数の0.02%以下程度の剥離事故(しかし構造上問題ないと国交省が発表)を声高らかに宣伝する不思議さ。(因みにあるメーカーの新車自動車販売台数に対するリコール数は100%。「自動車 リコール率」で検索すればわかりあます)。こういう少ない事故例を大きく取り上げてチラシや広告宣伝するのは、脅迫営業みたいな物。それより自社の無垢材をアピールすれば良いのにと思います。私も無垢材使用は賛成です。私の場合は積極的に無垢材の構造材を最初薦めないのは、その品質の不安定さからです。無垢材の構造材もJAS基準はありますが、そのJAS基準のスタンプやシールが貼られた無垢構造材を現場で見たことはほとんどありません。つまりほとんどが「JAS基準ではない」木が流通しており、JAS材使用が高価になってしまうので、標準ではお勧めしないのです。JAS材ではない木は不安定な材料です。しかし我々はその宣伝を大々的には今のところしません。同じように脅迫まがいになるからです。それより自社構造の良さをしっかりと伝いたいものです。
下の図は集成材を悪者扱いする会社にある壁の断面図を、私が手書きした物です。ここで示される合板はれっきとした構造材で集成材だと思うのですが、それともこの集成材(合板)には接着剤が使用されていないノーベル賞的製法の合板なのでしょうか?