「 2008年12月 」一覧

新潟市で完成見学会 1月17日、18日 (高気密 高断熱 高耐震 高耐久)

前続きで写真は、80年以上前の鉄で造られた水門のアップです。機械的な楽しいデザインがお気に入りで、実際の物を見た時は、その美しさに震えました。本当の色はオレンジ色で非常に深く派手です。このデザインが気に入って、濃い色黒に変換してノートパソコンの壁紙として使ってます。

さて、完成見学会を1月17日18日と行います。場所は新潟市小新で黒崎ICから車で5分くらいのところです。後日HP上でご案内します。
特徴は、建て主さんのたっての希望で太陽光発電を3KW屋根に設置していることと、住宅性能表示の設計建設評価住宅です。無論その耐震等級は2という数百年に一回の大地震の1.25倍の力でも倒壊、修繕不可能な被害が起きない性能ということを、法律によって認められた家です。簡単にいうと地震の際の避難所となる体育館、公共の施設と同じくらいの丈夫な建物性能ということです。○×工法だから地震に強いとか、壁倍率3.5だから強いとかいう、ほとんど偽りのような広告の家とは違います。壁がいくら強くても、建物全体のバランスや強度がなかったら意味はありませんから・・・。特に注文住宅では一個一個プランが違いますから、それぞれ耐震強度が違うことは当たり前です。また劣化等級も最高ランクを取得。これらを通常の「緑の家」の標準仕様で満足するのですからいかに優れているかおわかり頂けると思います。


職人魂のデザイン


この橋のデザインはたのしい。それはだだ機能だけのデザインではなく、遊び心も持ち合わせているため。詳しく調べてはいないが、築造年は70年前以上と思われれる。機能だけでデザインすれば、現在造られる橋の多くがそうであるように、すっきりとシンプルの機能と効率を最優先した橋となる。それはそれで美しいが、この写真のように遊び心をもった昔の職人気質の技術者(設計者)がつくると、シンメトリーをわざと崩すようなデザインや部材の使い方になる。橋の上部をつなぐ梁部分のデザインがそれぞれ違う。そしてアーチ部分も微妙に変形している。無駄な部材はないのだけれど、必要な部材でデザインすることを楽しんでいる。こういう職人魂は私も見習いたいし、心がけている。楽しいということは心が軽くなる。機能美が美しい古い木造建築でさえも実は遊びが顕著に現れるところがある。それは「建具」と言われる扉(雨戸、障子、ふすま)。必要な部材だけで楽しく、時には凛として造られている。その細い木が一本がないと建具が成り立たないそんな必要な部材で造られるから、昨今のような「うわべ」だけを繕った安易なデザインとは違う。そこにとても魅力を感じる。

PS

少しこの橋を調べてみたら、やっぱり異色橋梁設計者「増田淳」という技術者だった。通常は政府が設計する橋梁を個人事務所で委託設計をしていたという紹介があった。なるほど。


暖房器具が必要ない生活。という、うらやましいご質問。

今日、この夏に家が完成した建て主さんからエアコンの使い方のお問い合わせがあった。その中で「今の季節でも晴れると暖かすぎて2階では半袖です。」との事。本当にうらやましいですね。このお宅は2階にリビングダイニングがある逆転プランの家。だから2階の南には大きな窓があり、そこから冬至の低い高度の太陽でもきっちり暖かさが入り込む。これが1階リビングだったらこうは行かない。今の太陽高度は30度弱。単純計算でも南隣地と11mぐらい離れていなければ、1階には光は入らない。だから市街地ではほとんど難しい。しかし2階リビングであると、この距離が半分になる。5m南側隣地離れていれば太陽光が入る。太陽光が入れば、そこは高断熱の家。暖房OFFでも室温はどんどん上がり24度を簡単に超えてしまう。これは2階がリビングだから価値がある。昼間使わない寝室ではカーテンが閉められ、こううまくは行かない。そもそも昼間いないのでせっかくあったかいのに活用できない。このお宅では夏、風が通り庇もあるのでほとんどエアコンなしですごしたとの事。もし2階リビングをお考えなら、明るさだけではなく、冬晴れれば昼間暖房器具が要らない生活ができる。2階リビングでなくとも吹き抜け窓をうまく活用すれば、同じように暖房が必要ない冬の時が過ごせる。すごいです!!


高断熱高気密住宅の湿度 本当に湿度が低いか?

高断熱高気密住宅は過乾燥になりやすいと言われる。その通りであり、時には間違っている。

上のグラフは、高断熱高気密住宅の湿度の日中変化と、同じ日の事務所内の湿度変化を測定したもの。

すると事務所のほうが湿度40%前後に対して、住宅のほうは、湿度、高断熱高気密住宅の湿度は50%前後になっている。これは当たり前の結果がである。住宅は高断熱高気密のため、換気量がしっかりと調整されている。換気量がある一定に調整されれば、そこは「気密住宅=防湿層がしっかりある」ので湿気の壁内流失や天井から流失も非常に少ない。一方事務所は中気密低断熱のオフィス(当事務所)。換気もいい加減で防湿層もない。すると部屋の空気はどんどん室外の絶対湿度の低い空気に近づく。だから住宅より乾燥する。勿論水蒸気発生源が住宅のほうが多いことも主要因。水蒸気発生源のトップは人。続いて洗濯物、炊事、風呂等。事務所ではこれらの水蒸気発生源のうち、人が主となるためたとえ高気密高断熱構造でも乾燥しやすい。だから高断熱高気密住宅より事務所のほうが圧倒的に乾燥感があるはずであるが、事務所ではいつも発汗が促される仕事が多いので ( ̄Д ̄;; 感じにくいかも知れない。

さて、ではどうして高断熱高気密住宅の湿度 は低いと言われるのだろう。(但し、赤ちゃんを始め、高齢者、病気療養中の方は、湿度60%位が体にやさしいと言われているので湿度50%でも注意が必要)

1.住宅では湿度計を良く見る機会が多い。(湿度計表示がいい加減)

2.家の大きさが住人に対し大きい。

3.すぐ洗濯物が乾くことを見て、心理的に思い込む。

4.発汗作用の低い時間が多い(就寝、休養時など)ので乾燥感を感じる。

ではないかとおもう。特に2の「家の大きさが住人に対し大きい。」は大きい理由。それは7年ほど前に始まったシックハウス法により、家の換気が義務付けられほとんどの場合換気回数(住宅内の容積に対し時間当たり何回空気が変わるか)が0.5回以上と定められたたため。私みたいに高断熱高気密住宅を20年作っていると、家の大きさが住人に対し大きいときの冬は、換気回数が0.30くらいあればよしと判断できる。この判断は、寝室にある給気量で決める。一人当たり一時間に25m3の空気が必要。すると4人家族で100m3となる。家の大きさが40坪であれば、家の容積は約360m3。この360m3の1/3は120m3となりほぼ一致する。ただし、当事務所ののような換気システムでないとだめ。当事務所は必ず寝室に強制給気扇を設置しているから。穴が開いているだけの給気口では、安定して空気を必要量供給できない。またセントラル換気のように家中で給気量を平均的に確保するタイプも厳しい。なぜか?はまた次の機会に。


見学会にお越しいただいてありがとうございます。

昨日一昨日と新潟市粟山で完成見学会を行いました。新聞広告チラシ1万9千枚と当Webのそう多くないご案内でしたが、土曜日はご近所さん、同業他社さんを含め約60人様、日曜日は約20人様も悪天候の中、お越しいただき感謝しております。また完成会場を快くお貸し頂いた建て主様はじめ、施工会社さんには本当にありがとうございました。
事務所開設からはや10年以上たちましたが、「緑の家」のコンセプトはほとんど変化しておりません。これはとても事務所の自慢なのです。がしかし、10年前は「緑の家」の仕様は非常にインパクトがあり、同じチラシを入れさせて頂いても、来場者さまは今の倍近くいつもいらっしゃっておりました。ところが昨今は自然素材ブームや高気密高断熱が当たり前、また奇抜なデザインの住宅会社もあって、ご来場される方は昔ほどそう多くありません。少ないことが逆に濃くしっかりとした説明ができることで、貴重な時間を割いてお越しいただいた皆様に還元できることがよい良いと思っております。自然素材ブームでも間違った木の使い方や、構造を無視した奇抜なデザイン、耐久性を無視した外部への木の露出は、再び自然素材を封印する方向になる危機感を覚えます。だからこそ・・・
これからも無塗装の木の良さや、構造計算の大切さ、高基礎がもたらす様々な恩恵奇抜でない美しい外観を建て主様に広くお伝えしたいと改めて決意しました。長く愛せる良い家をローコストでご提供できるようにこれからも精進して参りたいとおもいます。

PS
最近は玄関にタイルを貼ることがとても少なくなりました。というのは、どんなにきれいなタイルを貼っても、日本のような雨の多い気候は、10年以上経過すると「藻」が生え緑色になります。その時に感じがよいのは自然石やざっくりしたレンガ、モルタルのような無機質素材と感じたからです。
次回の見学会は1月中旬ごろ、新潟市の小新で行います。ぜひご参加いただければと思ってます。


NEDOの補助金 20年度2回目公募募集に申し込みました。

まず最初に、今週末完成見学会を新潟市で行うので是非足をお運びください。詳しくはここです。

NEDOの補助金は金額が非常に大きい。実質今日が締め切りになるが、本日ヤマト宅配便午前中着便で申し込んだ。予定補助金額は100万/件を超える。今まで行われた太陽光発電パネルの補助金でさえも通常30万がMAXなのに、それに比べNEDOの補助金は3倍以上にもなる。だから申し込みが多いかと思うと確かに今年は多かったが、申し込み絶対数は少ない。新潟県ではほとんどが大手ハウスメーカーとなる。

なぜか?それは補助金の申請が「設計的」にとても難しい。まず新築の補助金の絶対条件が住宅設計性能表示取得だからである。この取得で温熱環境の等級4(所謂、次世代断熱基準)は、高気密高断熱の技術者なら比較的簡単。問題は住宅設計性能表示申請はすべての10項目の申請が必要であるため、他の性能もあからさまになってしまうからいやがられる。しかしこの言い分はユーザーを無視している。この住宅設計性能表示の法律の趣旨は、ユーザー(建て主)に家の性能を客観的にオープン評価にしようといいうものであるからだ。つまり各業者の表示はいい加減と言うこと。

たとえば耐震性と言う項目があるが、地震に強い家と言ったら、性能表示の等級2、3だろう。等級1は、建築基準法のぎりぎりレベル。つまり最低限の耐震性でこれ以下はない。だから「うちは地震に強い家です。」と言って営業して取得できた耐震性の表示が等級1だったらほとんど「詐欺」である。これ以下はない基準しか取得できないで地震に強い家はないから。通常等級1も計算していない自由設計と言っている建設会社は、この性能表示を申請することを嫌うのである(口では何とでも言えると言うこと)。また自由設計(注文住宅)は、基本設計の段階から耐震性をチェックしなければ等級2、3は取得しにくい。営業職がプランを行う会社は、チェックできないのでこれも嫌われる原因である。しかし、すべて建て主側から見ればまったくおかしい理由となる。

「緑の家」の耐震基準は「等級2」である。等級2とは、大きな地震がきたときに避難する公共の体育館や学校、市役所などの建築設計基準と同じ。自分の家より体育館が安心というのは、住宅設計者として恥ずかしいこと。自分の家が避難所とおなじくらい安心という家が私のポリシー。


新潟での高気密高断熱の冬の温度、湿度 その2

早速測定しました。

まず最初に行ったのが、新潟の冬の空気は乾いていることの証明。

グラフは昨日の夕方雨が降り始めてからの、外の湿度と事務所内の湿度を比べたもの。

相対湿度と言われる天気予報で紹介される屋外湿度は、夕方からどんどん上がり60%から明け方には95%になった。一方事務所内は、45%くらいで安定。これを見ると「やっぱり新潟の冬は湿っぽい」と言われそうだが、黄色の線と茶色の線があらわす絶対湿度(空気中の湿気の重量)はいつも事務所内が多い。特に人が働いている夕方は多く、人がいなくなる明け方には外部の絶対湿度に近づく。このように空気中の湿気は、雨が降っていても外の方がないのだ。新潟の冬の空気も外のほうが室内より乾いているのだ。

この乾いている空気が室内に入ると(所謂換気)もっと乾き、相対湿度が40%くらいで安定することになる。換気が多すぎたり、低気密の建物であると、壁を通して室内から室外に湿気が逃げ相対湿度が下がり、乾燥感を感じるのである。


新潟での高気密高断熱の冬の温度、湿度

今までは空気の温度と湿度を測ることはそう簡単ではなかった。温度はともかく湿度がなかなか正確に測れない。また、長期データを録ろうとすると計器が4万/台等、「高価」だったりしていた。今までオーブルデザインでは、新潟大学の自然科学研究科に測定して頂いたり、研究室の測定データを使わせて頂いたりした。ところが最近は安価(2万/台)にある程度の精度で測定できる機器が多くなったので2台購入した。写真の機器が30分最長半年間は連続測定可能な機器であり、10秒間隔でも5日も測れる。露点温度が表示できグラフも簡単に表示できエクセルへの取り込みも簡単である。写真のグラフは、10秒間隔で取り込んだデータ。瞬間的に数値が高くなるのは、手で持ったときのデータ部分のため。非常に敏感な機器でありながら、屋外使用可。これで同時に屋内外のデータを抽出可能。色々と楽しみな使い方ができるし、科学的解析も多少できる 。

大きさの比較をするためSDメモリーを置いてみた。グラフは事務所内の温湿度。低気密低断熱建物であるが、湿度は40%以上をキープ。(低気密ほど乾燥するので普通の事務所では湿度30%台となる)


新潟、海、家、冬、自然

新潟の冬はご存じのとおり厚い雲と台風並みの季節風が3日に1度はふきあれる。太平洋側の地域から移り住んできた人は、この天候をとても憂鬱に思う人が多い。確かに曇りや雨は「陰」の気配で「陽」ではないが、時には地球の歩みを垣間見させてくれる。
拙宅は日本海に面して建っている。よく「夏はいいでしょう・・・。」と言われ冬の事はあまりほめられたことがない。しかしここに住んでいると夏も冬も素晴らしい。(勿論秋も春もよいのであるが・・・。)写真は冬の嵐が通り過ぎた日の日本海。遠く(佐渡手前)で雨が降っているんのだけれど、東から朝日があたるので(つまり遮るものがないので)、海と空の接点で虹となる。まるくないけれど虹である。ちょうど夏に水撒きしているときに、虹を見るように・・・。
そして風が完全に納まると、今の季節は海面から水蒸気があがる。この水蒸気が沢山集まり新潟平野に雪を降らせる。そんな自然がバランスをとりながら時を刻んできたことを実感できる。
こんな風に感じることができるのは、拙宅が高気密高断熱で寒さを全く感じずに窓の風景を楽しむ事ができるためである。家中22度という環境では、外が氷点下ということを忘れさせてくれる。18年前は、高気密高断熱なんてすぐ腐るとか、そこまで必要ないとかで、大手ハウスメーカーから大工さんまでほとんど否定していた。それが今ではほとんどが高気密高断熱が基本となった(今度は緑の家の高基礎や無塗装仕様が標準となるだろう)。築18年となった拙宅。嵐にも負けずに頑張ってきた家。すごく愛しい。これからもよろしく。そして皆様の住んでいる「緑の家」も住人の熱い思いを受けていると願いたい。思いは家を長生きさせる力があるから・・・。


過去の掲示板の内容 その他色々

HP更新ののため、同じフォルダーに入っている過去掲示板をよみ返した。すると・・・何年経っても「ぶれ」ていない書込みがされており感心した(自画自賛)。2002年の集成材の話や、ファンヒーター廃止運動などなど・・・。今でももっともだと言う話。

家は他の家電製品や車などの最先端科学搭載の機器と同じように変化するものではない。時代に左右されない構造や性能が求められる。設備は入れ替え可能だから最先端でも問題ないが、基礎や柱、暖かさの性能などは50年(暖かさは30年)以上現役でいなければならない。だから毎年チラシを見るたびに変わるメーカーや建築会社の家には抵抗がある。・・・そういうおもいで「緑の家」は造られている。だから10年前に建てた家と今建てている家に違いはなく、今でも感じが良い「緑の家」だ。

8年前の緑の家の内部。今と変わりなくヒノキの無塗装の床


無塗装の木の外壁

先日、木の外壁をこのブログでお勧めしたとき紹介した「ターシャの家」の本の写真をアップします。いいですね。この雰囲気。一般にこのような外観から受ける印象は、冬寒そうな感じを受けますが、そこは高気密高断熱構造、厳寒期でも家全部が温かいです。上の写真で外壁がシルバーグレー色になっていないところは、まだ10年くらいの部分でしょう。グレー色は35年です。
無論、日本では軒の出のない木の外壁は、避けたほうが良いですが、もう少し軒を出せばの日本でも耐久性は十分です。

最近は法律が変わり、よくログハウスが町中に建てられますが、このように木や緑があふれていないと何か重要な物が足りないと感じます。せめてシンボルツリーでもあればと思います。ちなみにターシャのこの家は多分2×4工法であってログハウスではありません。