「 2009年10月 」一覧

ショッキングな映像と実験

2009.11.02、12.24緑字加筆
今日、構造見学会にお越し頂いた皆様、大変ありがとうございした。引き続き明日も行いますので、よろしくお願いします。

さて、本日お越しいただいたE様からのご質問で、
「全く同じ耐震等級2の建物を2棟作って、そのうち1棟はわざと手抜きした施工を表現するため1階の柱根元を基礎とくっつけないようにして、阪神淡路大震災級の地震波を与えて実験したというニュースがあった。結果は、何と施工不良のほうが倒れなくて、正しい施工の耐震等級2が倒壊した。これをどう評価しますか?」

非常に高度でショッキングな内容です。私は始めて聞いたので
「調べてみます」
とお返事しました。

そしてこの手の件は直ぐに調べないと気がすまない人間なので早速調べました。
するとおっしゃるとおりの内容の映像と記事を見つけました。実験している内容もしっかりしており内容は事実のようです。

上のプランの図は下のサイトから

一般に配布されている資料でプランと耐力壁を確認し、当事務所の構造ソフトに入力。確かに若干の差はあるものの現法律の耐震等級2の最低チェック事項クリヤーします。しかしプランを見ると、普通では考えられない構造計画(耐力壁の入れ方)があるのに気がつきます。一番重要な外周の耐力壁が倍率2程度で、その少ない分を内部の耐力壁で補っているようです。これは構造を知っている建築士は行いません。住宅等の小規模建物は外周の耐力壁が一番重要と認識しているからです。多分わざとこの部分を少なくして計画したのでしょう。「今法律で定められている構造方法に問題はないのか?」を確かめるために・・・2009年11月2日に主催者の説明ウェブを見つけ「想定通り」とのことで、やはりわざと弱い構造計画としたとのことです。
日経ホームビルダー2010.1によると、実験の委員長を務めた大橋教授へのインタビューがありました。
それには、「今回の地震波は建築基準法の1.8倍の力を与えた。この建物は建築基準法の1.25倍で造られているので、これで1.25倍(耐震等級2)が否定された事にはならないが、想定より10%くらい耐力が不足している事は、今後の解析課題である」と言う事です。ですのでやはり余力と基本的な構造解釈は必要とかと思います。

更に当事務所では全ての建物を最低基準の構造計算(ルート1)では済ましません。当事務所が行う構造計算ソフトは2次設計(ルート2 層間変形角等)も可能で必ずこれもチェックします。すると、完全にエラーが出ます。1階にいたっては充足率0.78です。これでは壊れても仕方ないでしょう。層間変形角とは、力を受けたとき柱がどのくらい傾くかを計算することです。木造では弾性の範囲1/150(外壁落下損傷を含めた)を超えないようにしております(。つまり柱の長さが2.8mでしたら、上部の横の動きは2.8/150=0.0188で1.9cm以内です。ところがこの実験棟の計算結果は最大で2.46cmとなります。これでは弾性の範囲を超え変形が残り大変形する問題があります。でもこの2次設計は通常の3階建では行わなくてもよいことになってます。ここに設計者の建築思想があるのでしょう?つまり構造の安全はその設計者の思想も重要ということです。また構造計画上問題がある建物は、柱の根元をきっちりと固めないで、力を受け流すほうがよい場合があるともいえます。しかしこれはあくまでもイレギュラーで、基本は構造計画を正しく行い、正しく施工することです。この映像を理由に金物施工不良を「正しい施工」とは思わないようにと願うばかりです。

さて、映像とわかりやすい説明は↓のサイトで確認できます。

http://mokutai-jc.seesaa.net/article/131652975.html

そのサイトのコメントも全くそのとおりだと思います。
興味ある方はご覧ください。
貴重な情報を頂きましたE様にはお礼申し上げます。


ナチュラルガーデン完成間近

イロハモミジ、山帽子、アトラスシーダー、レッドサンセット、白樫、どうだんつつじ、青ダモ、桂、ミルキーウェイ・・・

普通の庭には植えないような里山のイメージでグランドデザインした庭がようや一次工事完成します。一次工事は主木を植え込む工事で、来春マント族などで生垣になるように2次工事が行われます。
建て主さんがチョイスした木々で今回の樹種の中で知らないものが半分くらいあり、これはとても勉強になります。
私の中のナチュラルガーデンは、ある本がお手本です。その本は書店には置いてありません。長岡を中心とした森を愛する会が自費出版した本で「生命の森」というタイトルで新潟県山野草を尋ねる会が出版した本です。その中には森の本来の姿がわかりやすく対話形式で書かれてます。
畳と障子にイロハモミジの陰が映りこみます。本来畳は地面より1.1mくらい上がったところにありますが、それを感じさせないように、庭の土を盛り上げました。
アプローチを横から見ます。まだモミジの姿が馴染んでませんが、その完成風景が想像できますね。アプローチにある柱の柱脚の石も、オリジナルデザインで、すっきりと見せる設計としました。入り口から少しずつ高くなるデザインと質感のコラボレーション。設計で重要な部分です。
石垣と塀、そして屋根が重なり合うアプローチは美しいですね。決して和風ではないのですが、日本人に建築美を感じさせるのは、この重なりですね。
苔むした 石は造園屋さんのお勧め。名前は・・・わすれました。また聞いておきます。
家は木々の緑があって初めて映えます。

緑と共に・・・当事務所の「緑の家」はそれが由来です。


お手本です。綺麗な長期優良住宅の施工。

新潟県で一番多く長期優良住宅を施工されている会社さんの施工現場をご好意で見せていただきました。最初に感じたのは、
「凄く綺麗な現場」だったことです。なぜかなと、ふと見ると足場の下にはブルーシートがきっちり敷きこめられていました。こうすれば落ちた釘や木屑など簡単に掃除可能です。見事です。当事務所は施工はしないのでここまで指示できるかわかりませんが、さすがです、すばらしいです。お手本です。
次に
「通気層に防虫フィルターが施工」されていたことです。この施工は初めてみました。他の会社さんもいらしたので、その方に伺ってみたら、「カメムシやこうもりが入らないため」とおっしゃってました。そうか地域によっていろいろ配慮があるなーと感じました。
設計の計画は当事務所もプロなので負ける気がしませんが、常設展示場などで建て主さんが目で見てわかる物を拝見させて頂くととても勉強になります。同業者に見せることは勇気のいることと思いますが、気にせず公開される気さくな社長さん(もう会長さん?)には大変感謝申し上げます。ありがとうございます。


新潟の家 Q値0.98w/m2kのQ1住宅 見学会 明後日

明後日行われる現場見学会はQ1仕様(Q値が0.98w/m2k)ですので、 半端じゃない断熱材(高性能フェノールフォーム)の量が現場に来てます。
通常の「緑の家」の2倍ですから室内は至る所に断熱材が置かれてます。一枚の厚さは60mmと45mmで、合わせて105mmです。一般的に使われるグラスウールという断熱材に置き換えると、約30cm!!に相当します。このグラスウールで外壁を作ったとすると、約40cmになり現実的ではありません。ですので断熱材を高性能フェノールフォームにすることで外壁厚を10cm減らし30cmにしてます(それでも30cm・・・)。
このように60mmある断熱材です。凄いですね。

これを気密シートが貼られた上に105mm重ねる事で外壁を作ります(気密シートは地震時の揺れを考えた場合大事な部材で、省略しているメーカーが多い中、当事務所では開設以来ずーと入ってます)。
現在この105mmの厚さで外貼り断熱の防火構造認定はIGサイディングくらいしか取れていませんね。新潟でこの厚さの外貼り断熱だけでQ1するのは多分当事務所だけです。
これは、将来断熱材を増やせることができる計画をしているためです。
将来20~30年後のQ値は0.7w/m2kを予想してます。
なぜこんな超断熱性能が必要かについてはこの前のブログにさらっと書いてありますし、この一年のブログ集に細かく載せてあります。ご覧ください。


CO2削減を推進するのはいいけれど・・・。飛行機編

CO2の削減目標を25%と国連で宣言した日本ですが、さてどこまで目標に近づけるのか?・・・今日は家とは直接関係ないですがエコについて先週少し取り上げましたが、エコ=CO2削減であるので飛行機について少し考えたいとおもいます。

 最近海外旅行が如何にCO2を一挙に排出しているかを知りました。拙者14年間くらい海外へは行っておりません。最後に行ったのが、当時の会社の研修でカナダのケベックです。確かに世界の裏側まで13時間くらいで行ってしまうそのエネルギーは凄いものです。
 仮に今、ハワイのホノルルまで飛行機で往復すると1300kg/人のCO2を排出します。これは日本で家庭から排出される一人当たりのCO2に匹敵します。わずか数時間で一年分のCO2を排出する事実に驚きました。
 レジ袋を少なくする等の日常の中の小さな小さなCO2削減よりも、また暖房エネルギーを減らすべく超断熱住宅で暮らすより、一回海外旅行を取りやめたほうがCO2は一気の削減できるこの事実。

日本は現在海外との輸出入で経済が成り立ってますので、今すぐ海外へ行く回数を減らせといわれてもそれは難しいでしょう。しかし、もしCO2による温暖化がとても深刻なら(小学校ではそのように教えていたらしい)、レジャーで海外旅行をする人は温暖化防止に貢献できる他の行動で飛行機分の貢献をする仕組みを義務化(カーボンパスが良いかは不明)するのがよいと思います。
 まっさらな心で真剣に先生から「地球温暖化」について学んでくるのに、その後何も知らないで夏休みに海外家族旅行したなら
「何だ、大人の言っていることは本当ではないんだ。最もらしいことを言っても努力しなくていいんだ」
と感じることになります。
 25%削減という高い目標なら、特に飛行機利用は一番短時間でCO2が排出される行為ですので、真っ先に手を打つという行動があってもよい気がします。飛行機業界が大変だからできないとなれば、経済最優先の以前の米国と同じスタンスですね。
実は拙者は、何となく温暖化というものに名を借りて、石油枯渇の問題を解決しようということが見えかくれするような気がします。いろいろな企業、政府が何とか日本にエネルギーと稀少金属資源を供給できるように日夜努力していると思います。それには大変感謝したいとおもいます。そして近未来には、持続可能な社会になるように皆が同じ意識で目標にむかい努力することを願います。

超断熱をなぜ今行う(薦める)か?はいつも申し上げているとおり、将来の石油等エネルギー枯渇に対し充分対応できる性能の家を造る事が、長寿命住宅の性能だと考えているからです。


新潟の家 超断熱 Q1 自然素材の「緑の家」 来週見学会


来週、超断熱Q値0.98w/m2Kの構造見学会です。出来上がりを考えるとわくわくしますね。
今回の構造見学会は予約制ですが、あと少し空いてますので是非ご予約をどうぞ。こちらです。
arbre@cocoa.ocn.ne.jp
詳しい内容は左バーの見学会にリンクがあります。

現在は外側全てに構造用合板を貼り付け終わって、高性能サッシをほぼ取り付け終わったところです。

内部はこんな感じです。ほぼ木でだけで囲まれておりますが、最終的には漆喰の壁になります。

現場では床下の感じがわかります。排水熱回収タンクも仮設置され何となく地下室のような雰囲気です。


エコ?エコは数値で表そう! 新潟の家 超断熱Q1

最近とにかく「エコ」って文字が多いですね。一番エネルギーを使いそうな車から食品、洋服までとにかく「エコ」。住宅もエコというPRが多いですね。
そんな「エコ」って何?と最近思います。多分CO2排出の事でしょうが・・・。

通常、CO2排出=エネルギー使用量です。
まず新潟県の住宅で一番エネルギーを消費する行為は、何と言っても暖房です。次に給湯。
仮に家がコンクリートで造られていても、鉄でも、木でも建設自体に掛かるエネルギーは、住んでいて使われるエネルギーと比べ凄く小さいものです。数値で示すと、建設、廃棄、修繕で掛かるエネルギーは13%。住んでいて掛かるエネルギーは87%です。これは30年くらいの周期の家のことですから、長期優良住宅みたいに50年以上を考える場合はもっと比率が下がります。
ですので構造材等使用材料でエコを比較するのは合理的または正確性に欠けます。

となると、やはり住んでいてこの家はどのくらい暖房にエネルギーを使う家なのか?または給湯に使うエネルギーをどのくらい削減しているのかが一番重要です。
暖房に使うエネルギーは、その暖房設備方法より断熱性(日射利用を含めた)で決まります。この事に異論を唱える人はいないでしょう?特に冬に太陽がなかなかでない新潟県は、純粋に断熱性で決まります。その断熱性は数値で必ず表せます。それがQ値といわれるものです。

不思議と「エコ」を前面に出している建設会社ほどそのQ値が出ていません。とーーーっても不思議です。そしもっと不思議なのが、それで納得してしまう建て主さんです。今や住宅の性能はほとんどが数値で表せますし、政府もそのような数値で示す性能評価システムを法律で決めてます。どうして「凄く断熱性がよい」とか「むろん高断熱だよ」というあいまいな言葉で納得するのでしょうか?技術者から見ると不思議です?
Q値を示さないで「エコ住宅」とPRするのは果たして本当にエコなのか疑ってしまいます。せめて断熱性を表すQ値と気密性をあらわす実測C値くらいを載せましょう。それが建て主さんに対するエコ評価の誠意ですね。・・・と思ってます。

あっ・・・それから、薪ストーブがエコかという事も正確ではないですね。木がカーボンニュートラルだからという理由だそうですが・・・。
仮に日本国中が石油や電気暖房器具を全て薪ストーブにしたら20年で国内の木を使い果たします。それだけ日本の家で多くの暖房エネルギーを使ってます。現在使わないで破棄している木を使う事はエコですが、それより暖房が少なくて済む超断熱のほうがエコとして正しいですね。


新潟の家 自然素材の「緑の家」の超断熱 Q=0.98W/m2kの小屋裏と窓

今月末構造見学会を予定している超断熱の緑の家は、小屋裏断熱材が施工をほぼ終わりました。ネオマフォームという最高性能の断熱材が180mm敷きこまれてます。これをグラスウール(セルローズファイバー)で換算すると450mmにもなります。設計者もびっくりです。450mmといったら足のひざ下が全て埋まります。もし輻射熱をもっと遮熱したい場合は、この断熱材の上にアルミホイルのような金属テカリがあるシートを貼れば完璧です。

そんな断熱材が敷きこまれても、小屋裏は美しいままです。整然と並ぶ垂木(屋根を支える細い木)は、23cm間隔と一般の2倍の量で施工されます。これは軒の出といわれる、外壁から突き出た屋根の長さが110cmもあり、これを支えるためですね。神社なども軒の出は大きく、垂木が細かく入っている事を思い出しますよね。この長さで夏の暑い日差しが家内部に進入することを防いでます。超断熱では大切な要素です。

さて今日はいよいよ窓の取り付けが始まります。
一部木製の3層ガラスサッシで、内側からメンテが可能なサッシと、オール樹脂サッシのLOW-Eアルゴンペアガラスのドレーキップ窓(内倒し内開き)、引き違い窓の3種類だけを使ってます。ドレーキップ窓を最初に使ったのは既に20年前。夏の夜、開けてあった窓を閉めるとき、普通の開き戸では、一度網戸を開けてから閉めなければなりませんが、ドレーキップ窓はそのまま閉められます。つまり引き違い窓を閉めるように、網戸に付いた虫が入ってきません。そして家の中から窓周りのメンテができます。デメリットは、内側に開くことでスペースが取られることと、雨上がりに窓を開くと、水が床に落ちる場合があることです。

さて窓の性能が大切な超断熱ですが、エクセルシャノンからエクセルウインドスーパーという製品が販売されております。図は全てエクセルシャノンさんのホームページからです。下の画像は、サーモグラフの画像で、色で温度をあらわしてます。
ガラスは真空ガラスという凄いガラスでガラス面温度が壁並みに近づいています(脅威的です)。しかし枠部分は少し温度が上がったものの、以前依然低いままでその面積も大きいことがわかります。何とか枠の断熱改善ができれば夢の窓Q値0.9以下が実現できそうですね。シャノンさん!がんばって安価で発売してください。


太陽光発電パネルによる売電価格 続報!!

数日前のブログにコメントを頂いて、電気を買い取る東北電力のお客様相談室にうかがいましたら、コメントでご指摘いただいたように48円で契約した方は、10年間48円で買い取るそうです。来年契約した方は多分42円(予想)で、その次の年の方は36円(予想)と徐々に下がるようです。
買い取る東北電力さんは、年度により個々に違う単価で買い取るのですね。
イヤーびっくりです。太陽光をつける予定の方なら今年でしょうか?

コメントを頂いた「通りすがり」様には感謝と当方が返信したコメントに対しお詫び申し上げます。  o(_ _)o


新潟の家 エアコンマニアのエアコンの選び方と実情 2009秋

朝日新聞社のネットに
「エコポイント」対象でもある省エネ型の家庭用エアコンについて、経済産業省が省エネ性能の調査に乗り出す。」
と昨日掲載されました。
http://www.asahi.com/business/update/1019/TKY200910190158.html

簡単には、エコポイントがつく省エネエアコンなのに省エネにならない事例があり、これではエコポイントを付けるの意味がない。とのことです。

過去のブログや拙者が3年前に書いた論文ではエアコンは、取り付けるシェルター性能に見合った機種を設置しないと効率が落ち、COP、APFや部屋の大きさで選定するだけでは必ずしも省エネ効果がよいといえない。」と結論をまとめています。ようやく市場でも問題が提起されたようです。エアコンマニアとしてはうれしい報道です。

そもそもユーザーがエアコンを選ぶときは、まず設置する部屋の大きさを考えますよね。8帖なのか、12帖なのか?それから価格や性能、機能を選ぶとおもいます。このとき最初の選定条件である部屋の大きさ(断熱性能による負荷)が間違っていたら、正しい性能を発揮できませんよね。

この部屋の設定条件は1964年に冷房中心で取り決めからほとんど変わっていないのがそもそも問題です。当時の部屋の設定は南側の部屋の設定で断熱性はほとんどありません。そういう部屋で使ったときのCOPが一番よくなるように調整し販売されてます。しかし最近のマンションや高気密高断熱の一戸建てでは5倍程の断熱気密性能があり、小さな部屋機種でも充分冷えますし、北側向きの部屋でも同様です。

仮にJIS9612に規定された平均的な?部屋条件(暖房)でQ値を算出すると、
2600W/20度/10m2=13W/m2kとなります。
個別暖房ながら現在のⅣ地域次世代基準の5倍近い基準です。

しかしユーザーが購入する量販店で店員にエアコンを聞くと、まず間違いなく設置部屋に応じたエアコンを勧められます。いかに断熱性能がよくても店員さんは、カタログ上の冷房推奨設置面積を薦めます。なぜか?

1.大きい部屋機種ほど販売価格(儲けも)が高いため。

2.小さな機種を薦めて万一冷えなかった(暖まらなかった)場合、責任が販売店に来る。

3.ユーザーの使い方が不明のため安全率を高く見る。

4.冷房時の部屋面積で決めたほうが、クレームにならない

この4つの理由でいかに断熱性能や遮熱性能がよくても推奨機種を薦められます。つまり最近のマンション内にある12帖リビングのエアコンを購入しにいくと、店頭では冷房12帖(暖房16帖迄)のエアコンを勧められ設置することになります。しかし本来は断熱性能がよく、6帖用でも充分なのに12帖用のエアコンですから、12帖用の大きすぎる性能のため、エアコンのインバーター制御範囲を超えてON、OFF運転が始まります。するとエアコンのCOPが急に下がり、本来の省エネにはならない範囲で多く使うことになります。

また、付属機能が多くなりすぎていることも問題です。例えば「再加熱除湿」を使うと大幅にCOPが下がり省エネではなくなります。もともと除湿とは弱冷房のようなものですから、ある程度冷風が出ます。この冷風が気持ちよくないので、メーカーは本来外に排出する熱を再び室内に戻し使います。すると熱交換機の半分が使えなくなるので効率が下がます。もちろん潜熱も熱ですからそれを室内で排出する自体負荷を増やし、省エネルギーとはなりません。再加熱除湿はできるだけ使わないほうが省エネになりますが、カタログには記載されません。
また加湿できるエアコンも同じように本来の性能を削いでます。また加湿も少量で他の方法で加湿したほうが効率は高いと考えられます。

エアコン業界はカタログ推奨の大きさを自ら変えるつもりはなさそうです。というのは、

1.現時点の推奨面積のほうが機器が大きくなり、高く売れる。

2.現時点の推奨面積のほうが冷えにくいというクレームが少ない。

3.効率が下がっても付加価値で差別化をはかり販売アップにつなげたい。

ということです。1.の多く売れるということはメーカー業界にとって重要で、販売点側と利害が一致します。そこで国が実態調査に乗り出したということですね。省エネの補助金という御旗を翳せば、業界も協力しないわけには行きません。

もっとエアコンが進化してどのように使っても高効率を維持できるなら必要ありませんが、エアコンの効率が最大になるように、ひとつひとつ性能の違う家に設置するためには我々建築士がアドバイスしなければならないでしょう。また、エアコンの設置はいまや100%に近いわけですから、建築新築時にその条件で最も効率よく動くエアコンを設置しておけば問題は少なくなるでしょう。
いずれの場合でも、エアコンメーカーはもっとCOPに対する情報(部分負荷率ー外気温)を開示してほしいです。そうすればもっと最適なエアコン設置も可能です。

 有効なアドバイスが受けれない方は、今は写真の東芝PDRの6帖用エアコンがお勧めです。6帖から20帖くらいは問題なく冷える(暖まる)と思いますし、効率が高い範囲が広く、本体に消費電力量を表示して、省エネを可視化させております。またコンパクト(規定寸法)ですので、設置条件が広がります。
新築時はパナソニックのCS-X229A(設置フリー)が最高性能ですので最適ですね。ちょっと掃除音が大きいですけれどまあ許せます。


新潟の家 家をつくるポイント メーカー選びのポイント


上の写真は現在施工中の超断熱の長期優良住宅です。その2階から小屋を見上げて写真を撮ってます。
ご覧とおり、2階の天井上に28mmもある厚さの合板を貼ってます。綺麗ですね。これだけでもデザインになってますが、これは耐震等級3の性能の家を造るために必要なものです(広いプランで)。

さて、実質今年から始まった長期優良住宅は、その対応年数を80年から100年位と考えて施工されています。
ここ15年で家造りは大きくかわりました。15年前、断熱性はあまり重要視されておりませんでした。ですので、そのころに建築された家は、残念ですがほとんど断熱性がきちっとありません。暖房にお金がかかる結露しやすい家です。なぜこのようなもったいない家造りになったのでしょうか?それは当時、建築主さんにとって情報不足が原因だったといえるでしょう。今はネットがあり、ありとあらゆる情報が手に入ります。しかし・・・
 たぶん家を造るにあたって、建て主さんは間違った情報収集される方が多いと思います。普通の建て主さんは「今」の家の情報を大事に集めるでしょう。しかし大事な情報は過去の情報です。
家は他の「物」と違って簡単に取り換えることはできませんし、買い替えることも活発に行われません。多くの人が長い「ローン」を組み、数十年間も新築時のお金を払うことになると思います。つまり建て家は、できるだけ長い間その機能(性能)が社会の流れと同じような価値を見出されなければなりません。例えば今から15年前に断熱性能ない家を造った人は、現在の家の性能と大きく違い劣ってます。問題なのはこの劣った性能を、リフォームで何とかしようとすると、何と1000万以上かかってしまいます。新築時に行っていれば200万アップくらいで済んだのに・・・。
建築士はその高い専門を生かし、せめて15年くらい経っても、15年後の家と遜色が無いような性能の家を提供する誠意が必要ですし、少量の金額で性能アップできるように考えて計画する義務があります。これを考えていないと、10年間無料でアフターしようが10年経って時代にそぐわない家は「造りっぱなし」と変わりありませんね。
資金上やむなく低価格住宅しかできない建て主さんは仕方ないですが、数坪減らせばよい家が手に入る資金のある方にはそう申し上げたいですね(拙宅は資金不足だったのでが、どうしても高気密高断熱で建てたかったので当初は24坪と小さくしました。今は36坪くらいまでなりました。超断熱でも増築は可能です)。せめて12年まえから高気密高断熱住宅を勧めていたメーカーかくらいは調べたほうがよいと思います。誠実な情報を建て主さんに提供しているかどうか・・・。

さて、毎回申し上げておりますが、これから必要な性能は
「超断熱Q=1.0以下」です。
来るべき石油枯渇、取り合い値上がり、でエネルギー価格は倍になるでしょう。その時もお日様さえさせば、暖房など一切いらないそんな性能です。
また
「超高床1.4m」によるメンテナンス性、
「窓の交換」のしやすさ
も予算が取れれば取り入れたい仕様です。

もちろん自然素材のインテリアと高基礎は標準ですね。

オーブルデザインは過去の家のデーターや取り組みを全てHP、ブログ、掲示板上で公開してます。これは建て主さんに対する建築士の「誠意」です。
また、過去にお手伝いさせて頂いた建て主さんへの「責任」でもあります。
どうして他メーカーが同じように公開しないか理解できませんし、建て主さんも「自分の家」だけは違うと思っているのか、過去の家造りのデーターに関心がありませんね。

環境住宅「緑の家」は今見ても全く「誠意」ある12年前の性能。例えば全て高気密高断熱や高基礎によるメンテナンス良好やコンクリート強度など、これら13年前の仕様はすべて今の長期優良住宅の基準を上回っております。全棟、全棟です。どの建て主さんにも正しい情報を発信できたと思います。手前味噌ですがすごいと自負できます。

1998年作成 緑の家の特徴
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/midorinoie/midorinoietoha01.html

1999年作成 住宅コラム
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/15.html

1999、2002年作成 住宅コラム ある中堅県内メーカーチラシから
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/20.html
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/53.html

1999年作成 住宅コラム 一年でかわるチラシ
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/11.html

2001年作成 住宅コラム ○井ホームへの苦言
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/01.html

2001年コラム 住宅コラム チラシについて
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/28.html

2000年 住宅コラム 設計工事監理契約
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/38.html

2001年 掲示板 基礎高
http://arbre.green.coocan.jp/?m=listtop&p=46


新潟 住まい 自然素材「緑の家」のナチュナルガーデン計画

よく見かけるフェイクストーン(擬似石)ではなく、本物の自然石(ごろ石)を得意とする「緑の家」の外構計画ですが、ようやくナチュナルガーデンの工事が始まりました。
外構や庭は、家の顔ですね。ここがしっかりとしていると不思議とどんな家でもかわいくなります(と思う)。

外構がとれない町中心部の家でも、玄関前に手をかけている花や木々があるだけでその家の住人のやさしさが感じられます。

当事務所が本格的にグランドデザインしたナチュナルガーデンが着々と進んでます。

自然石のラン張りで広場を造ります。石は黒っぽい物を選んでますが、乾いているときはこのようにグレーです。来週から木や周りの水場、水盤工事が始まります。ワクワクです。

最初にこの自然石積みの外構を提案したのは2001年で拙宅のアプローチです。評判がよく既に10棟以上の外構に採用されています。既に10年迎えようとしているが、その表情は益々よい感じです。日の陰ったところは少し緑コケが生え、日の当たるところは、石の間のコンクリートが少しざらつき、ますます周囲の緑と調和します。時々ごろ石が外れたりするけれど、接着はプロでなくても日曜DIYでできるものよいですね。
とにかく素材は本物に限ります。最近は、コンクリートのアプローチ階段が標準ですが、当事務所はこれも本物と思ってます。つまり本物とは表面だけを飾っていない素材で、削れたとき同じ素材が出てくるものと考えてます。これは年月が経てばそれなりの表情を見せてくれます。


新潟の家 長期優良住宅で耐震等級3の家 SSプランが上棟中


出勤途中の風景で火曜日の早朝の朝焼けです。
遠くに靄がかかり幻想的です。この季節になるとよく見られる風景ですね。つい車を止めて撮りたくなりますが、この張詰めた空気までは撮れませんね。

SSプランのK邸の屋根形状は南側に大きい部分があります。この所に太陽光発電約3.6Kw を載せます。

上の写真は小屋裏部分です。床が既にありますね(2階ではありません。小屋裏です)。
この床が28mmの厚さがあり、2階をワンルーム空間にしても、耐震等級3が取れるポイントなのです。今回は32帖ワンルームが可能です。更に写真では床が光っています。この光っているものが、気密シート兼ベーパーバリアです。そしてこの上に約20cmのネオマフォームという建築材料中最高の断熱性を持つ素材を敷き詰めます。
よくベーパーバリアを省略する高気密高断熱施工がありますが、これは地震等があると気密性が大きく落ちることが知られてますが、このようなポリエチレン製の気密シートがあれば、ゆれにずれに追随しやすいので気密性が落ちにくいです。ピシッと綺麗に張られてます。

さて、お待ちかねの背の高い基礎ですね。下の写真はこの基礎の中を撮ったものです。基礎内部の半分は設備室(床下暖房)、残り半分は収納です。
大工さんの角刈りと鉢巻・・・見るからに職人!最高に似合ってます。

四角い穴は「人通口」と呼ばれるメンテナンス時に人が通る穴です。応力のかからない1/4のところにあります。50cm角ありますが、まだこの余裕。たいした基礎です。

床の高さ(中央の木の上が1階床)が土台(コンクリートの上にある木)より高いところにありますね。ここがポイントで土台と筋かいのメンテナンスが容易に可能です。長期優良住宅ではメンテナンスの容易さが重要ですね。


新潟の家 超断熱SSプランの家が上棟 情報収集で価値のある家造りを

皆さんは20年後を考えたことがありますか?

Q値1.9W/m2kの拙宅は築19年目に入りましたが、当時は高気密高断熱住宅なんてマニアックな会社しかお勧めしてません。
無論大手メーカーなど高気密高断熱ではありませんでした。しかし拙者はそのころから10年以内(2000年頃)までにはきっと、新築住宅はほとんどが次世代基準の断熱であろうと予想してました。20年経って高気密高断熱でない家は、今どのように暮らしているのでしょう。

数年遅れて12年後(2002年)、ほぼ注文住宅の大半が次世代断熱基準(←気持ちとしては高気密高断熱とはいえない低い性能・・・)になりました。
ほぼ予想は当たりました。予想を当てるのは実は簡単です。正しい情報を集め分析し、用意周到にシミュレーションを行えばほとんど予想がつきます(汗)。
ハイブリッド車(プリウス)の爆発的ヒットも予想通りです。水素などの燃料電池車はその技術的ハードルから眉唾物と考えてました。

さて、今後20年後社会はどう変わっているでしょうか?
きっと間違いないのは、エネルギー価格の高騰でしょう。不安をあおるつもりはありません。ただ、エネルギー自給率がたった4%と先進国で韓国と共に最下位である日本は、来るべき原油取り合いのころには、やはり原油価格は今の2倍で買うことになります。つまり、電気にしても灯油にしても価格が現在の2倍を覚悟する必要があります。もしかしたら10年後に早まるかもしれません。

20年後は昔と違い所得が今の2倍になることは考えられませんし、エネルギー問題が一気に解決するような新エネルギーは今のところありません。従って今できることは、エネルギーを使わなくても良い生活に準備を進めることです(せめてエネルギー需給率50%に)。これが解決しなければ工場の海外移転も少子化もやむ得ないでしょう。

準備のひとつが太陽光発電だったり、電気自動車や、ハイブリッド自動車、小水力だったりしてます。これらも急には増やせませんから、政府は理由はCO2削減というお題目で今から準備し始めていると思ってます。

さて一番高価な買い物である住宅ですが、
今後の推進として高断熱住宅がどのCO2対策にも提案されてますが、この位の断熱(次世代基準)では、CO2は減るどころかかえって増えます

新潟県を含む寒い地域での断熱として超断熱くらいで無いと、将来のエネルギー高騰を考えるととても性能不足です。
Sプランの床面積を3坪減らして減額してでも超断熱SSプランをお勧めすることになります

そのSSプランの家が上棟しました。

この段階で既に綺麗な構造です。構造が綺麗なことは、構造に無理がないばかりか、仕上がった時のプロポーションも美しくなります。上下の柱ができる限りそろい、横の木(梁)も大きく統一されてます。基礎は高く頑丈です。まだ写真ではわかりませんが、これから外壁厚30cmに向けて施工が始まります。


修正!!新潟で太陽光発電の売電買い取り価格48円をいかす方法。

2009.10.13 内容修正 仮定で勘違い部分ありました。申し訳ありません

太陽光発電にご興味のある方はまずはこのホームページをご覧ください。↓
http://ecolifejp.fc2web.com/reform/hukyu_seisaku.html

なかなかはっきりとした公平で主張あるホームページです。
某大手ハウスメーカーのHPでは、やたら難しく解説して太陽光発電パネルで元が取れるかなどという解説では、オール電化やエコキュートと組み合わせるとういう荒業(私はこれは詐欺に近いと思います)で算出してます。これでは太陽光パネルの恩恵ではなく、オール電化の恩恵です。太陽光パネル設置の元を取る計算は単純で、
設置価格+メンテナンス費用=発電した電力の価格
しかありえませんね。
EX.太陽光パネル設置費が200万でメンテナンスが年平均1万かかり、仮に発電した電力を全部電力さんから買うと8万かかる場合、200万/(8-1)=29年ですね。単純です。この発電した電力の単価が上がれば、29年が20年になったり、10年になったりします。

そこで電力の価格(売電)が今年の春に「太陽光発電の売電買い取り価格が倍の48円になる」との報道に驚き喜びました。が、・・・
上のHPでの解説をよむと、何となくちょっと萎みます。その理由は大きく2つ。

1.買取価格は年々下がり5年後には24円と今の買取価格と同じ水準に下がる。

2.電力会社が買い取る電気は、使用した電気と発電した電気の差額分のみ。

と言うことです。
1.の買取価格は年々下がりまずは今年は48円/Kwhですが、来年は42円、そして年々下がり5年後には25円そして11年目には13円(RSP法では11円/kWhに設定)となるシナリオもありえるとしています。13円/Kwhといえば今の電気代が24円/kwhなので半分。これでは元は到底取れません。是非政権のCO2 削減政策が推し進められるようにと思います。

2.の買い取る電気はほとんど以前と変わりないのでしょうが、使用した電気と発電した電気の差額のみという事は、仮に発電した電気量が年間3000Kwhとしても3000*48=144000ではありません。この仮定で昼間に1000Kwhを使ったとすると(3000-1000)*48=96000となります。
つまり太陽光が発電する昼間に電気を全く使わないようにすれば、どんどん売電されますが、発電と消費が同じぐらいになる冬季や真夏では、買取価格が上昇しても関係ないということになります。
そこで注目したいのが「冬季」です。図のとおり、家の断熱気密を「超断熱SSプラン」までに引き上げれば、冬季であろうとお日様があれば暖房が必要なく、太陽光パネルで発電された電力は、ほとんが余剰となって売電されます。超断熱を先に考えなければいけないところはここにも理由があります。もしこれが長期優良住宅程度の次世代断熱基準であると、その温度上昇は8度ですのでもう7度は暖めないといけません。その電力が必要なのでせっかく高く買い取ってくれるはずの電気を消費してしまいます。もったいない、自分で使えば27円(やりくり8)ですが、余剰として売れば48円です。その差21円/kwhです。

図は月平均1万程度の電気料金を支払う住宅で太陽光パネル4.16KWを設置した場合のシミュレーションです。シャープのHPでの入力で設置場所は金沢(なぜか新潟がない)場合です。
すると48円の高い値段で買い取って頂ける部分は、最低で見ると赤丸のところだけです。全発電量の8%(342Kwh=16416円)で従来の単価買取より年間8200円お得になります。倍に買取金額が設定されてもたった年間8200円だけです。これではいくら売電価格が高くなってもペイできる期間に影響は少ないですね。ここで最低とは、夜間まったく電気を使わない時の仮定ですので、夜間の使用量が多い家は48円の部分が増えます。逆に最高で考えれば、昼間まったく使わないと仮定し、
4019*48=192912円
この状況であればペイするのは早いです(ありえないないですが)。

上の比較はまったく現実的ではないので少し現実的に考えます。
但し太陽光発電の買取金額は48円/kwh固定で仮定します。

太陽光発電を考える多くのお宅が深夜電気を使うはずなので例えば
やりくりナイト8で夜使う電気量を昼間の1/2としてと仮定します。
細かい点は丸めて考えます。
(売電はその瞬間の発電量と使用量の差額集計ですね)

A 4481/2=2240・・・2240*8円=17920円/年支払い 深夜の分
B 4481/2=2240・・・2240*27円=60480円/年支払い 昼間の部
C 4019-(4481/2)=1779・・・17799*48円=85392円/年 受け取り

D 4019-(4481/2)=1779・・・17799*27円=48033円/年支払 昼間

太陽光発電を導入した場合に支払う金額
A+B-C=-6992円・・・ほぼ電気代ゼロになります。

太陽光発電を導入しない場合に支払う金額
A+B+CD=126413円・・・月当たり1万ですね。

差額は126413-(-6992)=133,405円/年となります。
年間メンテナンス費用を月平均1万とすると123,425円の利益
60万*4=240万(実質の設置費)とし、
2,400,000/123,405=19.4年・・・約20年でペイできます。

次に昼にまったく使わない状況で利益を考えます。
E 4481*8=35848円・・・深夜電力だけの請求
F 4019*48=192912円・・・発電売り電力金額
E-F=-157,064円 (約16万受け取り)
2,400,000/157,064=15.2年・・・約15年でペイできます。
   何度も申し上げますが48円/kwh固定の場合です。

そこでオーブルからの提案は、売電価格が買電価格より大幅に高い4年間は、太陽光発電中(昼間)はなるべく電気を使わないほうが設備費を早くペイできます。ですので、新潟県で長期優良住宅基準程度の低い断熱性能である次世代断熱基準の家の冬季における昼の暖房は、灯油のFFストーブを使用して(灯油単価80円以下)電気(エアコン)を極力使わず、深夜の23時から7時まではエアコン暖房でという方法この4年間は良い。ということになります。
超断熱(SSプラン)住宅ではそんな難しいことをしなくても、昼間の暖房費が少ないので大丈夫です。早くペイ可能です(それは当たり前か?)。


新潟の家 自然素材とエコ、そして超断熱の長期優良住宅の見学会

10月31日(土)と11月1日(日)の二日間「緑の家」SSプランの構造見学会を行います。詳しくは左のリンクバー「見学会」をクリックください。

この構造見学会は、国の長期優良住宅普及促進事業で定められた現場施工途中見学会です。簡単に申し上げると、「100万の補助金を出す代わりに、他の皆さんに長期優良住宅の良さを広めてください」ということで、途中見学会を行いなさいと聞いてます。

長期優良住宅の現場見学会は、先日ご案内した建設会社約30社(57会場)もありますからわざわざ長期優良住宅の家のためだけにお越し頂いても何も感動はないでしょう。しかしこの見学会は違います。なんと壁厚が30cmにもなる超断熱材や、1階の床高さが地面から1.5Mもあり、その下半分が設備メンテ空間、半分が収納室、将来窓だけを取り外しできる構造と今まで見たこともない高性能な家が見れます。内部は全て自然素材ですが、これは完成にならないと無理なので今回は構造だけをごらん頂ければこの家のすごさがわかり、近未来の家が見えてくるでしょう。
駐車事情によりご予約となりますが、その予約範囲3時間内ならいつでも結構です。
スタッフ一同お待ちしております。


新潟の家 水の節水 節水機器の取り付けでどう変わる?

緑字2009.10.13加筆

外構としてナチュナルなガーデンを提案中のK邸の工事がようやく始まりました。庭で使う石を何個もサンプルを取り吟味される建て主さん。いつも庭と家は一体ですと申し上げております。ナチュナルガーデンと一体になる家を想像するとワクワクします。

さて、
よくご紹介している「黄色表紙の査定された建築学会の論文集」は、信憑性や公平性が高い論文集です。建築学会の学術講演で発表される論文は年1万を超えております。その中で、査読と呼ばれ精査された論文だけが載ることのできるものが写真のような黄色表紙の論文です。
論文を学術講演で発表するなら誰でも申し込めばできますが、この文集に載って初めて論文としてのお墨付きが与えられる(年間500論文・5%くらいでしょうか?)といっても良いでしょう。

さて、今日の話題は「水の節水 節水機器の取り付けでどう変わる?」です
昔は「空気と水はタダ」といわれるくらい水は日本では豊富な資源でした。特に田舎では家の横を流れる小川で洗濯、野菜洗いをしていましたし、トイレはぼっとんトイレがほとんどだったので、飲料水のみ上水を使っていたため(風呂?)そのようなことになったのかもしれません。が、高度成長期以降首都圏の水不足から節水が始まり、最近では環境問題の旗手として取り上げられることもある水は、誰もが限りある資源と感じるようになってます。空気の浪費は今でも勿体無いといはいわれてませんが、水の浪費はほとんどの人が勿体無いと感じるはずです。

今話題?の独立行政法人の中で昔からある有名な建築系法人である建築研究所の発表した論文に「戸建住宅における節水機器の使用効果に関する研究」があります。
この研究では標準的な住宅において、節水機器を取り付け前後にどのくらい使用水量がかわるかという調査を2006年から10ヶ月間行っております。

その結果は・・・
劇的に水量が減る機器と、あまり変わりない機器の2つに分かれました。その結果が表8です。まず設置した機器ですが

台所・・・食洗機(標準使用水量10Lの卓上型)

洗面・・・特に設置機器なし

トイレ・・・節水型トイレ(従来約10Lに対し節水型6L)但し設置件数50%

洗濯機・・・斜めドラム型洗濯機(従来約110L以上に対し斜めドラム型は69L)

浴室・・・節水型シャワー(メーカー試算で従来品に対し15%の節水)

です。

大きく節水が達成されたのは洗濯機です。その効果は従来の39%(6割削減)までに下がりました。これ以外の機器ではさほど大きな効果はありません。特に期待した節水型トイレでは96%しかなりませんでした。但しトイレは半数しか節水型に変えてません。よって加重平均らしいですので92%とはいえませんがそう多く違わないでしょう(但し用途別詳細な解析ですと78%となり、節水効果は確認できる)。また食洗機の効果も思ったほどではありませんでした。この筆者考察では、もともと節水意識は皆さん高いので、普段から気をつけており、くわえて食洗機を使っても汚れた食器を入れる際に予備洗浄を蛇口で行ってしまう傾向があるので・・・としています。洗濯機器以外小さな節水でですが、小さな節水を足すことで大きな節水につながるので、やはり効果はあります。この論文から
もし節水を・・・とお考えの方で洗濯機器もそろそろ20年だから・・・というご家庭では「ドラム式洗濯機」をお勧めします。また、洗濯機の変え買え予定が無い方は、風呂の回数を減らしシャワーにするのが効果的です(汗)。これはグラフを見ると浴室で使う水量が4割も占めており、その大きな要因が浴槽へのお湯はりです。


新潟県での長期優良住宅普及促進事業100万円の補助金の申し込み数

全国の長期優良住宅普及促進事業(100万円がもらえる)の申し込み数は9月30日現在で1327戸となっています。長期優良住宅を造るだけで何もしなくても100万もらえるこの制度。エコカーの最大補助金35万?の補助金の3倍にあたるこの制度に、一時は申し込みが殺到すると思われましたが、9月現在で1327戸ととても少ないですね。多分2月6日まで完成が条件ですから、今月で実質申し込み終了となります。そうなると国は50億円、5000戸の予算を組んでいるのに多分半分以下の約2000戸位ですね。これはとても深刻な話です。というのは・・・
長期優良住宅は、補助金だけではなく、税制上の恩恵も置けられ、直接の補助金100万+80万位の優遇で約200万近く建て主さんに費用面で恩恵がある制度です。また、その構造が公によって優れているとお墨付きももらえ安心、快適な家です。この長期優良住宅にかかる費用は普通に地震に強い家と高気密高断熱の家をいつも作っている仕様の家であれば、書類費用35万+アルファーです。この費用を差し引いても150万以上のお得感がある家で、申し込まない理由がありません。
申し込みが少ない理由に、「長期優良住宅が技術的に面倒。だから積極的に薦めない。」という業界内の話をあちらこちらで聞きます。この間のセミナーでもそんな会話が飛び交ってました。でも技術的にはたかが性能評価の耐震等級2以上で省エネルギー等級4(次世代断熱基準)です。この性能はいまや大手で当たり前の基準です。そうそう大手で建築する場合はこの補助金は受けれません。この補助金の実質の目的が「小、零細建設会社」の支援による経済効果の後押しだからです。だから県単位で年間50戸以上供給する「中建設会社、ハウスメーカー」は枠外となります。

申し込みが少ない理由に景気が悪く市場が冷えている事もありますが、やはりそれよりもこの耐震等級2以上で省エネルギー等級4(次世代断熱基準)の技術ハードルが高いのでしょう?でも耐震等級2以上でないと実質「地震に強い家」と広告できません。この耐震等級2の下の等級1は地震で倒れない最低基準の家ですから、地震に強いと言ったら間違いなく「誇大広告」です。
何とか耐震等級2を取れるようになって頂きたい、そんな家を建て主さんに提供してほしいと、同じ建築士、設計者として応援します。

上は新潟県の長期優良住宅普及促進事業(100万の補助金)に申請した事業者名です(9月30日まで)。11月までで全58件。さすがに新潟県はまじめな建設会社が多いです。
こちらに載っていない会社さんは、補助金の要らない方か、耐震性が低い、又は高気密高断熱に興味ない方かな ??
オーブルデザインではこの募集期間に該当する家が1件しかなかったのですが、多棟あるのに申し込みは1件と言う会社さんも不思議です。


新潟の家 超断熱Q1住宅(同等以上)が必要な理由

2009年10月6日グラフ追加、2010年3月20日緑字加筆

9年ほど前に改正された断熱基準である「次世代断熱基準」。これが現在の大手ハウスメーカーの断熱基準となっています。ところがこの基準であると、家の暖房費は以前のお住まいより費用が嵩むことが調査で確認されています。
その理由は、次世代基準の断熱性能で家中暖房を行った場合、性能が低すぎて(次世代断熱でも低すぎる)エネルギー消費が大きくなるためです。今までお住まいの家はほとんど断熱性が考えられていないため、それが逆に暖房費を少なくしていました。つまり限られた部屋の暖房と、間欠暖房と少しの我慢で暖房費が少なかったのです。ところが次世代断熱基準の家でこのような暖房を行うと、結露の発生が避けられません。家中暖房が前提の次世代断熱基準で間欠部分暖房では、結露して欠陥住宅になってしまうからです。
そこで家中暖房となりますが、当事務所の「緑の家」の断熱基準(次世代基準より1.4倍くらい高い性能)をもってしても暖房費がある程度かかります。30坪くらいの家で23度暖房を家中に24時間して年8~9万くらいの暖房費です。

下にQ1住宅で使うQPeXという簡易熱計算ソフトで色々な断熱の家のシュミレーションをしてみました。まずは緑の家のSSプラン超断熱の家です。さて、シュミレーションで大事な事は設定条件です。少しでも条件を変えると結果に相当影響の及ぼすものもあります。今回は窓からの日射は全て有効で考えます。実際は、カーテンや、他の建物があるので、これより暖房費が掛かります。
超断熱SSプランではその断熱性能高さと床下暖房の効果で設定温度は20度(昼)、18度(夜間)で充分快適。すると暖房費が年間約1万円←ほとんど暖房費用が要りません!!

Sプランは設定温度22度(昼)、20度(夜間)。すると暖房費が年間約7万円←暖房費用が月平均に1万程度です!!先ほどの経験値より1万くらい多めです。


次世代断熱基準の家は断熱性能が悪いので設定温度24度(昼)、22度(夜)。すると暖房費が年間約10万円です!!

設定温度がそれぞれ変わるのは、断熱性能や暖房方法の違いにより快適感が違うためです。次世代基準の断熱性能でも夜間22度は、少し設定が現実的ではないですが、このソフトではこれしか設定できませんので御容赦ください。

いずれにしても、次世代断熱基準に比べ断熱性能が3倍だから暖房費が1/3になるのではなく、もっと少ない1/7になる感覚です。このグラフで見てもわかりますが、2次曲線ですね。これに温度ムラ、体感も加わります。また表より、新潟県の冬ではQ値が0.3以下で無いと無断房住宅にはならないとわかりますから、「無断房住宅」というPRでは「誇大表示」ですね。

その暖房費の差額はSSプランとSプランで6万/年となり、25年でペイすることになります。しかし電気料金1Kwh=25円としましたが、来るべき石油枯渇危機となるときに、果たして25円/Kwhでないでしょう。少なくとも1.5倍程度に高騰するはずです。すると15年でペイする可能性がありあます。
如何ですか?超断熱。間違いなく今、お勧めです。

PS
図中、自然温度差がSSプランで約8.5度とあります。これは暖房をまったくしない時に外部との温度差のことで、あくまでも平均ですから目安です。真冬でも日が窓から入れば25度くらいの自然温度差は簡単につきます。たった1.5kwの熱量があれば20度温度差がつく家です。


新潟の家 国体と海上自衛隊の船


海上自衛隊の多用途支援艦「ひうち」です。
先週から近所の寺泊港に停船しており昨日は内部も一般公開しており、自転車で見に行って来ました。その独特のグレー色の船体は迫力があります。

そして機能的がそのままデザインされている船は力強い美しさがあります。これは家にも言える事で、有名な建築家コルビジェの「デザインは機能に従う」という言葉通りです。船体を囲う普通の船より厚い鉄板の継ぎ目は、溶接ががっちりされている事が遠目にもわかります。

何から何までグレー色。唯一大切なバルブと消火栓だったでしょうか?色があったのは・・・。

見覚えのある照明器具です(ある家でつかいましたね)が、やはり細部が全くちがい無骨頑丈。・・・別物でした。

昨年同じ舞鶴地方隊在籍の自衛隊船「あたご」がおこした事故がありましたが、それはとても残念な事ですが、このように自衛隊の方と直接触れる機会があると、日本の国を命をかけて守るという使命を持った自衛隊には、とても感謝です。

 

寺泊では国体のカヌー競技をしてますので、その一環で自衛隊船の公開となったのでしょうか?

 

 

 


新潟の家 CO2を25%削減に対し設計者でできること!!② コンパクトな家

CO2を25%削減に対し設計者でできること!! 断熱区画に続いて第2は「コンパクト」な家です。

これからの家は50年以上の寿命をが当たり前に考えなければなりません。そのような長期を考える場合は、住み替えや世代交代した時になっても「価値のある家」となっていなければなりません。
先日の南雄三さんのお話の中にありましたが、「建てて流通にのりにくい家の構造として「二世帯住宅」がある。」ということでした。確かに2世帯住宅は、部屋数が多く特殊な形態であることはまちがいないですね。家業が農家のように、その土地にいなければならない特殊な事情のある方は、逆に2世帯住宅のような大きさの家が良いです。しかし農家以外の家族にはやはり特殊な大きさの家となります。特殊な家は価値が少なく、壊されやすい傾向があり流通にのりにくくなります。
では価値のある家はどのような家にすればよいのでしょうか?いろいろなケースがあり一概に「これ」と言えませんが、オーブルデザインではその中でもコンパクトな家が価値が今後長続きすると考えてます。
コンパクトと言っても建物の居室部分がコンパクトなだけであり、敷地や居室以外は広いほうが良いですね。目安は敷地できれば100坪(妥協しても75坪)以上、居室以外の納屋兼車庫が9坪以上(どんなにつ少なくても6坪)はほしいです。居室部分つまり家は4人家族くらいなら30坪以下で充分です(大きくても38坪)。もちろん住居部分以外に床下収納のような大きな物置は必要です。

なぜ30坪以下がお勧めなのか?無論長い人生スパンを考えた場合、家が大きいとそれだけメンテナンスや維持にに大きな費用がかかります。このメンテナンス、維持の中には、毎日行うお掃除も含まれます。お掃除ひとつとっても居住が小さいほうが楽ですよね。
さて、敷地100坪の大きさは市街地(特に新潟市)ではまず無理という価格になると思います。だから価格の安い郊外を選ぶことになります。子供の学区で多少問題のある時期もありますが、郊外の広い敷地の家はそれを考えなければとても贅沢な環境を得ることが可能です。そして高齢時に都市部に引っ越すことになりますが、この時郊外の家を手放すこともあるでしょう。この時には敷地が大きい分売れる可能性が飛躍的に高まります。
なぜ高齢になったとき都市部へ引っ越すのか?それは高齢時には車などの手段は使えませんし、各支援を受けやすいところである市街地こそがふさわしいのではないかと考えます。歩いていけるところに全て揃っている市街地は、高齢者こそふさわしい環境です。そのときは大きな敷地では負担も大きいですよね。豊かな共同庭があるテラスハウス(個別庭付き低層共同住宅)などが良いのではないかと思います。

話が飛躍しましたが、一戸建てを作るならコンパクトな家はお勧めです。何しろ暖房費をはじめとする光熱費が少なくなることは間違いありません。つまり住むだけでCO2削減に貢献できます。また、敷地にたくさんの緑でもあればその効果はより高くなります。
図は実際のプランです。敷地がこのくらいあれば理想的です。居住部分は30坪、車庫11坪。1階は一部屋で2階は2部屋(仕切りで3部屋可)とシンプルです。但し床下に収納、2階に納戸があり確実にしまえる空間を備えます。家の3倍以上もある庭や菜園、素晴らしい環境ですね。小さい部屋がたくさんあるより一軒丸ごとで考える空間のほうがいいですね。そのために断熱性能は非常に高く無ければ意味がありません。これは昨日お話しましたように、大手ハウスメーカーの基準である次世代断熱基準程度では、かえって暖房費が嵩み(CO2発生が増える)ます。家の広さより家の性能アップ、そして郊外の安い単価の広い敷地確保という選択肢もありますね。。
先日「トトロの家」のモデルとなった家(東京杉並区1929年築)が残念ながら消失しました。この家は床面積が21坪しかないのにここまで80年以上実存できたのはその建物に敷地との調和があったのではないか(愛される家には広い庭がある)と想像します。つまり価値がある家(敷地と家の一体化)ということです。ちなみに敷地は260坪ですからここまで大きくとはいきませんが・・・。あっ・・・無論家の素材は本物の無垢材ですね。


新潟の家 CO2を25%削減に対し設計者でできること!!① 断熱区画

「2020年までに1990年から見てCO2の25%削減しよう」という目標を日本が国連で表明しました。これは現在のCO2を25%削減するのではなく、大体現時点から約40%の削減であるといわれてます。だからすごい反響があるのですね。
いろいろなご意見がありますが、CO2削減は子供たちもためにも重要なことです。できるだけ応援、協力を行っていきたいと思います。
さて、家の設計者ができることは・・・。限られてますね。しかし何か行動します。

新潟の家で一番エネルギー消費(=CO2排出寄与率)が多いものは、暖房と給湯で、それぞれ1/3づつを占め2つで2/3にもなります。節水や節電より暖房と給湯の対処にウエイトを置かなければいけません。
残りの1/3は照明、調理、通信、娯楽です。これは建築屋さんの分野ではないので他の技術者にがんばってもらいましょう。
暖房エネルギーが1/3あると認識すると、高気密高断熱技術は家の熱を逃がさない技術としてCO2削減の良い手法と考えられそうですが、実は誤解があります。
一番取り組みやすい暖房エネルギーを削減するのは、「寒さを我慢する」事です(汗)’’。
19年前に建てた拙邸(高気密高断熱Q値1.9w程度)でもわかりますが、高気密高断熱の家は、既存家一軒あたりの平均暖房エネルギーより多くかかる傾向があります。 えっっ・・・と思われるかたも多いと思いますが事実ですね。いろいろな論文もありますので探して見てください。建築学会では知られた話です。
なぜ多くなるか?
それは、家の各部から逃げるエネルギーは、断熱の悪い家より格段に少ないのですが、家全体を暖めるシステムのため逆に増えるのです。断熱の悪い家は、寒さをがまんして居間とか台所しか暖房しません。寝る前に個室を少し暖房しますが、夜は暖房しません。少しの暖房空間で我慢します。でも高気密高断熱住宅は、24時間暖房が前提ですので、多くの家で家中24時間暖房します。そして24時間家中暖房しても、以前の家より少しだけ多く電気代がかかる程度なので快適さを優先して暖房します。だから暖房エネルギーが増える傾向があります。一度24時間家中暖房の快適を知ってしまいますとなかなか寒さ我慢生活に戻れません。

何か手を打たなければ40%削減は、快適さを犠牲にして「寒さを我慢する」という戦前の暮らししかありません。これは望みませんし、これでは設計者として失格です。そこでご提案しているのが、超暖房のSSプランと「断熱区画のある家」そして「コンパクトな家」です。

今日は「断熱区画のある家」をご紹介します。日本の断熱に関する法律、性能や施工方法は上の写真の「住宅の省エネルギー基準の解説」という本に書かれてます。その中で下の図は、「断熱構造とする部分」として紹介されている図です。これを見ると通常、外気と直接接する壁や天井、床を断熱することになってます。ここがエネルギー浪費のポイントとなります。

家を建てるとき、ほとんどの人は家族が全員いる事?が前提でプランします。つまり子供やご高齢者の部屋も必要として考えることが普通です。しかし、最近のご夫婦の一生を考えると子供と同居していたり、高齢者と同居している期間は、全体の半分にもならない事がよくあります。55才を過ぎた頃には50坪以上の家にご夫婦だけという家も多いのではないでしょうか?そうなると家では普段使わない部屋が半分くらいできることになります。使わない部屋も24時間暖めないと、結露やカビなどの被害が発生するために、人がいなくても暖めることになります。それが大きなエネルギー消費増を招きます。
一方断熱区画は「LDKと寝室と風呂、トイレ」と「子供室、客室、予備室」と断熱的に分ける家です。ひとつの断熱区画は最大30坪(100m2)以内として計画します。もし「LDKと寝室と風呂、トイレ」で30坪を超えるなら、「LDK」と「その他の部屋」に更に分けても良いでしょう。こうすることで、仮にSプランの家を作っても以前より暖房費が上がる事はなくなります。
次次世代断熱基準を作るときには、この断熱区画の計画を盛り込んでほしいと思います。どうでしょうか?東大の坂本雄三先生(次世代基準を取りまとめた先生)・・・。

あっ、、、肝心のCO2の40%削減には、SSプランの断熱性能がまず必要です。残念ながらSプランをもってしても「我慢」しないと40%削減は不可能です。SSプランの家なら暖房用エネルギーは1/4(Qpex試算)です済みますし、この性能であれば、給湯エネルギーを増大させる浴槽のお湯はり入浴が少なくなるでしょう。高性能家では夏と同じようにシャワーだけで冬でも全く問題なく利用できます。つまり浴室も暖かいので、わざわざ浴槽であったまるという行為が減ると思います。

太陽光発電パネルが良いのでは?というご意見があると思いますが、CO2排出=エネルギー消費ですから、まずはエネルギー消費を少なくする事(超省エネ住宅)が王道です。効率よくエネルギーを造ること(太陽光発電パネル)が最初の対策ではありませんよね。