「 2009年11月27日 」一覧

エネルギー問題と建築士

日本の家庭は他先進国から見るとエネルギーを使わない優等生。

これは昨年ブログにも書いている。

だから地球規模の温暖化防止対策を日本の家庭が努力しても効果は薄い。

それはわかっている。他先進国との比較も大事だけれど、

比較ではなく、自分の感覚を研ぎ澄ましたい。

高気密高断熱住宅に住んで約20年。

Qt値が約1.8w/m2kの性能だけれども、それでも暖房費は大きい。

また、暖房の燃料はつまるところ殆どが化石燃料とウラン。

しかしこの二つは日本にはほとんどなく全て輸入。

だからもっとエネルギー消費をなくしたい。なぜなら・・・

暖房や給湯はエネルギー損失が大きいと感じる。

心が感じるのである。

だから、もっとQ値を高くし、損失をなくしたい。

給湯で捨てている熱を回収したい。

そう思ってSSプランを造った。

ドイツは暖房に相当エネルギーを使っているから

パッシブハウスがある・・・と聞いた。日本の家庭は優秀だし、

標準が関東(温暖地域)だから、

そう力を入れなくともよいのでは・・・という。

比較ではなく、エネルギー資源がほとんどないこの国住んでいて

冬、日射がない新潟だからこそ もっと暖房エネルギーを

減らしたいと感じるのである。

エネルギーは準寒冷地に住む我々には一番重要な問題。

豪雪地、新潟では凍死という死の恐怖を拭い去れない。

心が寒さから開放され豊かになるためにも

この恐怖を住まいで遠ざけたいと感じるのである。

その昔、東北や北陸では凍死者(冬を越せない者)が大勢いた。

夏が越せなかったという人は少ない。

この感覚は、冬でも路上生活できるほど寒くない、

冬に日射に恵まれた関東の人にはわからないかも知れないが、

「理解」はできるはず。最初から思考を停止させてはいけない。

島国日本。今後の世界情勢を考えると、

家はその島国の中で自立可能なように日本にある資源で

日本の人は暮らしていけるように目標を立てたい。

自分で使うエネルギーや資源は、

全て身近なところで間に合えば、とてもそれは豊かである。

50年以上使っていただける長期住宅を考えるときに、

避けては通れない問題である。

ただ単に太陽光発電等の電気が主流になるだけの

予感では、我々建築士は仕事をなしていないと言える。

この国を引き継ぎぐものに、目標や光を指し示したい。


リビングは要らない!そのとおりです。

そのとおりとすんなり受け入れられる家族論でした。
今日、上野住宅建材さん主宰の講習会での「家族論」は、少なくとも拙宅にはぴったりのお話でした。その内容とは

1.リビングなんていらない。

2.プライベート仕切り、及び個室必要なし!!

3.超個室化万歳&個と世間がつながる家!!

4.家族に団欒は空想!!

5.ラボ付住宅は重要!!

と普通にこのまま聞いたら「アホですか?」と思うような内容です。
しかし拙宅は実はこのとおりのプランで、そのまんまです(笑)。

実は今まで拙宅のプラン又はお手伝いした家については公開してませんでした。建築士なのにこんな非常識なプランを考える人に設計などお願いしたくないだろうな と思ったからです(お手伝いした家についてはプライバシー問題)。
ところが・・・今日の講師の南先生のお話で、この考えのほうが生活に対し正直にプランしていると考えが変わりました。

拙宅は
1階はサブキッチン付き土間10帖+たたみ6帖で、この空間がラボ(研究室)になっています。庭から巾2.6mの開口部でほとんど段差なし入れる空間です。玄関は通りません。月2回ほど妻が友人と大勢で(8人以下)手仕事をするときはここを使います。ですので普段はここを使うことはありません。だから断熱区画を施してあり、この部屋だけ寒くしたり暑くすることができます。
他に1階は風呂、洗面所、トイレ、クローク6畳でトイレと風呂に戸があるだけで、洗面所に戸はありません。

2階は32帖ワンルームです。ここにメインキッチンが設置され、大きなダイニングテーブル2.1m×1.1mがドンと置いてあります。このダイニングテーブルは数年に1回位置が変わります。そのほかパーティションで妻ベットと娘部屋が軽く仕切られ、ここも1年に1回は配置替えがあります。個室はありません。
リビングはなく、ダイニングの横にちゃぶだいがあり、そこに長さ2.2mのソファーベットが2台が並びます。食事はこのちゃぶだいかダイニングテーブルで、その時の事情でどちらかになります。
少人数(友人4人程度)の集まりがあるときはこの2階の空間で行います。無論、妻ベットや娘の部屋が見えてます。また、本や物が多いながら適材適所にしまわれている不思議な空間です。またこのダイニングから屋上菜園に直行でき、食事にあわせパセリや飾りつけ葉っぱを取ってきます。

部屋の壁は全てシナベニア。「緑の家」の定番の白い壁ではありません。しかし明るいのは、海に面して大きな窓があるためでしょう。狭いながらも居心地は最高です。

隠すことができない家なので、思いやりが自然に生まれます。着替えているときはそちらに行かない配慮とか、静かにしてほしいそうなときは、1階のラボへ行くなど・・・。

内容の1.のリビングはないですし、2.の個室はありません。
3.4.の超個室化というのは、ご飯を食べ終わったそれぞれ好きな場所で好きなことをします。だから個室「化」であって個室ではなく、間違ってもリビング?に集まって団欒などありません。で、各人の外とのつながり(携帯、メール、ネット、外出)は個々の自由です。5.のラボも重要です。これは手仕事の会を主宰している妻の空間です。普段は使いませんが、いつ人が尋ねてきてもよい空間となってます。最後に超個室化に旦那の個室化かラボが必要です。私の場合はそれが自宅外の事務所で、好き勝手なことができます。超個室化万歳です。

どうですか?今日の勉強会の内容のとおりですね。
この家で19年間暮らしてきました。あるときは全く仕切りがなく、ダイニングにベットが置いてある状態でよく人を招いてましたし、あるときはクロークにベットがあったりしてました。つまりそのときに応じて間仕切り位置を変化させてきました。
こんな家を薦めることはタブーだと思ってましたが、これが変化に対応できる家と今日実感しました。リビングがなければ団欒ができないと思っている方は、それが空想だと思ってください。リビングは名ばかりで、家族同士無言でも一緒にいる時が団欒なのです。子供が小さいときはダイニングであったり、寝室であったりしてその時(年)に応じて変化してます。ここがリビングと言う概念は捨てたほうが、きっとよい家ができます。きっと・・・。そしてリビングと部屋数がないのは、コンパクトな家になります。逆を言えば40坪以下の家では使わないリビングは無駄です。

とこんなことを建て主さんに薦めたら「アホですか」と言うことになると今まで思っていましたが、今日からは堂々と勧めてみます。
これが現在の核家族の日本人に合っている気がします。特に優れているのは無駄がないためローコストででき、変化に対応可能だということです。元々日本人の会話は「めし」を食べるときだけであって、リビング(居間)という部屋で会話はありえないでしょう。

こちらは1から5とり入れたI邸。リビングはなく、こだわりのラボ兼ダイニングスペース。2階ながら直接外からの出入り可能

そうそう、広い庭も絶対に必要です。これは今日のお話でありませんでしたが、講師の南先生の家の「蛍が飛ぶビオトープ」は大変有名ですから・・・。

最後に誤解しないで頂きたいのは、この家族の根底に信頼と愛情がなければいけません。好き勝手ばらばらではなく、各個人を認め合って尊重する姿勢があるから可能なのですね。