「 2010年03月03日 」一覧

自然素材の新潟の家 基礎工事の設計と監理 ②

当たり前でしょう。と言う事が実は住宅建設現場では行われていなかったりする作業があります。それが基礎工事にも・・・。

 これは基礎工事の中で最も緊張する時で、生のコンクリートを型枠に打ち込んでいる写真です。生のコンクリートはミキサー車で現場に運ばれ、そこから最近はこのようにポンプでコンクリートを圧送し、ミキサー車から離れている型枠に生のコンクリートを打ち込みます。生のコンクリートが流れる圧送ホースが15mを超える事も普通にあります。この現場でヘルメットを被っていない事はさておき(この管理は現場監督の仕事ですね)、このように大勢で一気に打ち込みます。実はこの本打ち込み作業の前にとても大事な事があります。その作業は10秒で済むのですが、殆どの現場で行われていないと思います。
それは・・・コンクリートを捨てる事です。

上の写真でホースからでているのはコンクリートのようですが、何となく捨てているように見えませんか?そうですね。捨てているのです。しかしこの捨てているのはコンクリートではなく、「ノロ」と呼ばれる多量の水で薄まったコンクリートです。これは本作業のコンクリートを流す前に、この長い圧送ホースの内部に水分の多いコンクリートを通す事で、流れを良くするためです。これをしないといきなり詰まったりします。
もちろん水分の多いコンクリートですからコンクリートとして使えません。だから敷地内の邪魔にならないところに「仮捨て」しているのです。最終的には撤去します。
しかしこの作業を省き、そのまま水分の多いコンクリートを基礎に混ぜ込む事が普通に行われています。「小雨時の現場と変わりないよ」とうそぶく人もいますが、天候によるものと人為的に混ぜ込む事は全く違います。

「嘘でしょう?」とお思いかもしれませんが、「本当です」。

基礎のコンクリートが打ち終わった日に、この「仮捨て」されたコンクリートが敷地内に見当たらないときは殆ど、基礎に混ぜ込んでしまします。勿論この水分の多いコンクリートは不良コンクリートです。「仮捨て」は面倒だし混ぜれば同じコンクリートという感覚で現場は行っていますが、強度を必要とする基礎部分ではあってはならない事と思います。
基礎はやり直しや監理が一番大変な工種です。私どもでは、基礎コンクリート打ち込むその時に立ち会います。それは最初が肝心でこのような些細であっても行ってはいけない事を指摘する事で、現場の雰囲気はピリッとし監理がしやすくなります。

最近はこのように様々なブログで情報が得られる事ができて建て主さんはとてもラッキーですが、どんなに耳情報を得ても100棟以上も現場を監理経験してきた設計者と同じように現場はみられません。ですので有資格者の工事監理※を建て主さんが選ぶように法律で決められているのです。例えば建て主さんやその場にいないとコンクリートを打ち終わった後の洗い水のコンクリートと、最初の捨てコンクリートの痕跡の違いとか見分けはつきません。

※・・・小さな建物には義務ではありません。