2010/07/11誤字脱字が多くありましたので訂正しました。
拙宅の室内の内壁と天井は全て木です。この木の調湿作用に関係なくこれからの時期はいつも24時間エアコンで、気温が下がる明け方でも窓は開けません。それはある科学的理由があるからです。
梅雨明けの7月後半から8月のお盆過ぎまで所謂「真夏」ですね。この頃の明け方の気温は24度から26度で相対湿度も80%前後です(気象庁アメダスによる)。時には湿度90%あるときもあり、その時は朝露がびっしり町中についています。
さて、空気には湿気がありその湿気は「熱」そのものです。液体の水に熱を与え続けるとその熱で気化します。ですから湿気自体その気化熱を必ず持っております。そこで我々が空気の熱を考える時には、空気自体の温度(乾球温度)と湿気の量で表すエンタルピ表示(上図)を利用します。エジプトで気温39度でも日本の夏以上に暑く感じないのは、湿気がないから(=エンタルピが同じ)です。
エアコンで冷房する時はまさしくこのエンタルピの数値を下げる作業をしています。空気自体の温度を下げながら湿気も取る作業・・・、これで空気のエンタルピを下げております。
上図の表記の通り、昼の外気温が30℃湿度52%と、明け方の気温が下がった空気で温度25度湿度78%は同じ熱を持っています。空気の持っている熱が明け方でも全く変わらない→だから真夏の朝は蒸し暑いのです。気温は下がったように見えても熱は気化熱と姿を変え以前空気中に存在します。夏の朝昼晩と空気中の熱は変わりないことが多いのです。
一方エアコンで空調された家(部屋)は温度26度、湿度60%位です、すると熱エネルギーは先ほどの明け方の25度湿度80%位の空気より数段低いのです(上図参照)。だから朝に気温が下がったと思って窓を開けると、折角の熱が少ない空気を屋外にばらまいていることになります。つまりエネルギーの無駄遣いをしていることになります。
それを知っているから私は決して真夏の朝、窓を開けません。24時間空調を続ける事になります。
「自然素材を多用した家は湿気を吸い込むからカラッとしている」という広告をよく見かけますが、これは正しくて間違いでもあります。湿気を吸い込める間は、確かに湿度は下がりますが、飽和状態(これ以上吸い込めない)になった時は、もう湿気は吸い込めません。それは比較的早く梅雨の中頃には既に飽和状態になります。
また外気が乾いてくると溜め込んだ湿気を排出しますから、この時は高湿になります。だから窓を全開で通風を最大にしないと逆に不快な環境になります。この通風が日中の昼間にとれるかどうかがポイントです。最近は留守がちな家が多く、防犯上窓を開け放して外出は不可能な世の中になりました。また在宅時でも女性一人では何かと不安です。ですから市街地に建つ住宅は、通風が昔のようにとれません。そこでエアコンによる空調が活躍するのでしょう。
この乾き(笑)湿り空気線図は冬も活躍しますが、夏の冷房と通風を切り替える目安になります。明け方の気温が20度を下回れば湿度100%でもエアコン空調室内より熱は低いので、ここで24時間冷房はおわり窓をあけ通風モードになる。
新潟市やその近郊では海が近いですから、真夏の朝は思ったほど気温が下がりません。7月20日から8月18日ぐらいまで明け方の気温は24度から26度位です。 この時は朝でも家を閉め切って全館冷房がとても快適です。
こんな事をお勧めすると「CO2が沢山出る。贅沢!」などとご批判を受けそうですが、そこは家の性能と工夫でカバーしましょう。高気密高断熱の家で簾やよしずなど日射遮蔽が配慮された家は、とても小さなエネルギーで冷房が可能です。そして暖房に比べればなんと1/10の消費エネルギーですから、ここは文明の利器を活用し快適に楽しむ事をお勧めします。こちらは東北電力さんの冊子から抜粋です。東北地方は冷房の消費エネルギーは暖房の1/200ですか?北陸では以前の調査によると暖房比率は同じで、冷房比率は4%位ですから暖房から見れば1/10です。24時間冷房している拙宅の場合は感覚的に暖房の1/5くらいです(分母も変わりますが)。
さて最後におまけまでくどいようですが、新潟での真夏は、明け方が冷えた気温と思っても湿度が高く熱エネルギーは高いままです。ですので窓や一部の工法にあるような夏だけ床下換気口開けて外気を呼び込む事は???で、理解不能です。
明け方の気温が下がらず湿気が多いのは多分海に近い地域(島国)とモンスーン気候の特性でしょう。
コメント
coo様
コメントありがとうございます。
新築おめでとうございます。
夏の24時間家中冷房を一度味わうと元には戻れない魅惑の空気感です。(笑)
おっしゃるとおり、冷房費を減らす最大のものは・・・
24時間ONする「勇気」です。先ずは実行あるのみです。
次に・・・
①COPの高いエアコンで「冷房モード」運転。
②家中で行い窓は完全密閉。
③窓の日射を遮ぎる工夫を最大限行い、換気も少し絞り気味
だけで随分安く24時間完全空調住宅ができます。これでどんなに外が暑くてもへっちゃらです。最後に消費されるエネルギーに感謝する心!それだけです。食べ物と同じように感謝さえ忘れなければ未来は明るく快適です。
こんばんは。
今年の春に高気密住宅を新築した者です。
梅雨時からの空調をどうしたらいいのか分からずにネットで検索していて
ここに辿り着きました。w
24時間空調には抵抗があったのですが、
電気代が1万円を超えたら暑さを我慢することにして、
それまではここに書かれている通り、窓を閉めた夏を過ごしてみようと決めて、実践してきました。
結果、検針日までは後1週間ありますが、
この酷暑続きの夏日でもどうやら予算内におさまるようです。
周りには「留守でもエアコンつけているわけ!?」
「電気代が恐ろしい事になるよ〜!」
とあきれられましたが、
確かに高気密住宅での夏は、今までの一般住宅とは発想の転換が必要になるのだな、と感じました。
ここのブログを拝見してよかったです。
とても興味深く、かつ、参考になりました。
ありがとうございました。
m(_ _)m 全く同感です。
古い東芝の冷房除湿は冷たい空気を羽で上に持ち上げての冷房小風量除湿がメインでした。
更に風量を選べる(爆風モード)もあり大変良かったです。
しかしマニアックな人以外はきっと今の方が満足度が高いのでしょうね。
ご迷惑でなければエアコンの吹き出し温湿度が記録できる測定器をお貸し致しましょうか?測ってみると、どの環境で除湿が行われているか何となくわかります。
昨日から涼快モードをやめ冷房モードにしてみました。日中は雨だったためか、涼快モードのさらっとした快適さはなくなったの
ですが、エコ(ノミ-)のため我慢我慢、
設定温度まで下がると冷媒の温度が上がり、除湿能力はかなり落ちるようです。
高気密住宅の場合は昔のエアコンについていたドライモード
(風量弱で、冷媒の温度を下げてる)の方が良いようですね。
再加熱モードは、室内機の中で冷房と暖房を同時に行っていますから、冷房部分の表面積が1/2、更に熱を加えるので本来の効率の1/2程度にはなっていると思います。つまり同じ温度設定なら概ね倍の電気代が掛かると想像してます。
やはり出来るだけ再加熱モードに頼らない運転設定が良いようです。巷で言われる1℃温度を低くすると電気代が○×上がる事は、家中冷房する高気密高断熱にはそのまま当てはまりませんので、夜間2℃下げてもその分多く電気代がかかるとは言い切れませんし、負荷が急に高くなる日中は3台運転が良いでしょうが、夜間は3台よりも1~2台に負荷を集中させた方が効率がよいと思います。
冷房は暖房と違い奥が深いですね。
早速ありがとうございます、再加熱モードに入っていると基本的
には除湿器と同じなので1台300Wくらい消費しているのかも
日立さんより返答が来ました。
以下コピー
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日頃より日立家電品をご愛顧頂き、誠に有難うございます。
RAS-EJ22Tの涼快モードはカラッと除湿に近い運転を行います。
カラッと除湿は再熱除湿方式になり、再熱除湿は除湿した冷たい空気を
暖めることで通常の除湿時に発生する室温低下を防ぎます。
以上、要件のみにて失礼致しますが、
今後とも日立家電品を御愛用賜ります様、お願い申し上げます。
本件担当:エアコン事業企画部
*****************
と言うことで、「涼快モード」は再熱加熱モードになっているときがあります(効率が悪く電気代が高い)。ですのでもしかしてエアコンの設定を冷房に戻して且つ設定温度27℃→26℃と低くし冷媒温度を下げた方が逆に効率が良い場合があります。
特に冷房で寝室が寒くなるようなら、リビングの設定を夜だけ25℃にするのも試して見る価値がありそうです。つまり夜間は外気が低いので負荷が小さすぎそのためエアコンの設定温度を下げないと、冷媒温度が下がらず除湿しない(顕熱除去のみ)ため蒸し暑くなる事が考えられます。
因みに拙宅では24時間冷房を始めた6月15日から7月12日の28日間の電気料金総額は6618円でした。条件はエアコン6帖用1台24時間冷房、設定温度26℃~25℃、冷房面積32坪、照明も24時間点いているところがあります。後でブログに電気料金表をアップしておきます。
porukoさん
投稿ありがとうございます。
ちょっと気になりましたので、日立のエアコンの「涼快」モードが再加熱モードかどうかメイルで尋ねています。
しばしお待ちを・・・。
先ほどの書き込みを少し訂正します。
実際の電気料金表から1000wを1時間使った金額を算出すると
約25円でした。
我が家は月の空調費用が10000円なので日割りで約333円
一時間あたり約14円です。
電気料金14円では545Wを1時間使うことができます。
平均して545Wが空調のために使用されている計算になります。そうすると3台のエアコンはフル稼働で1000Wなので約半分は休んでいるようです。
545Wといえば人間が一人100Wの熱量を発生すると考える
と我が家は400W、その他冷蔵庫の排熱は夏はコンプレッサー
がほぼ動きっぱなしで2Aほど電流が流れているので200W
おっと、これもCOP値がよければ800Wくらいの熱量が発生
その他もろもろの排熱により545Wくらいの熱量はすぐに超えて
しまうのですがエアコンのCOP値の高さや気密と断熱性能でどうにかこれだけの電力でまかなえているようです。
私の家もどのタイミングで窓を開けるか悩む所でしたがこの表を見るとよくわかりますね。
我が家の空調設定は日立のエアコンの涼快モード28℃湿度60%付近で設定していますのでエンタルピ的にはちょうど上の赤い線の上でした。(カイロと同じと言うところが少し笑えます)
昨年度は今年ほど猛暑ではありませんでしたので朝は窓を全開にして外気を導入していました。エンタルピー的には損得なかったようで少しほっとしています。
今年の梅雨と猛暑では6月中旬がら窓は開けていません。
ちなみに密閉しだしてからの電気料金は17000円と空調無の
季節と比べると約1万円増加、1日にして約330円、1時間14円を空調に利用している計算です。
我が家の空調機は運転時に約300Wくらい消費するとして、
これが3台なので、だいたい1000Wと計算します。
1000Wを1時間使うと20円(ネット情報)、です。
そして運転の状況を見ていると、設定空調に到達するとたまに休止します。どのくらい休んでいるのかと考えると、3台連続運転
1000Wで計算すると1時間14円使っていますので
14/20=7/10 ほぼ7割がた動いていると言う計算です。(1日にすると約7時間止まっていることんになるのでそんなものかもしれません)
日立の涼快モードがどういう仕組みでの運転になっているかは少しわかりませんが結構電気を消費しているようです。
ちなみに冷房28℃モードでは除湿がされす、耐えられませんでした。
なるほど!
わかりました。
返信ありがとうございます。
子供の頃しか木の家に住んでないので木の家の住み心地が
わかりません。
宣伝してるから飽和するまでは良いのかなと。
飽和させなければ快適ではないかと想像しました。
ご投稿ありがとうございます。
>木の在来工法ではエアコン不要宣伝してるから効果有りそう。
とはどういう意味でしょうか?
可能性も有りですね。
木の吸水量と換気による持込水分量を比較すると1日サイクルでは誤差範囲で計測は無理ですから確かめられません?
木の在来工法ではエアコン不要宣伝してるから効果有りそう。
コメントありがとうございます。
申し訳ありません。
わかりません。
私の恩師によると吸湿、調湿はとても難しいそうです。
吸湿された湿気を急速に放出させるには(短時間サイクル)、その物質に熱を与えないといけないようです(ダイキンのデシカはシリカゲルを加温して急放湿させていますから)。
簡単にいうと関東の冬は乾燥しているとおもいますが、日陰でかつ風がなければ、やはり洗濯物が乾きにくく、熱(日射)を少しでも与えれば乾くスピードが急に上がりますよね(乾くとは湿っぽい物がカラッとする意味で濡れている物ではない)。きっとその物質と空気との接触境界の相対湿度に左右されるのかもしれません。つまり吸湿物質を直接暖めなくても、エアコンで除湿された空気は本来相対湿度100%なのでこれを早く暖め相対湿度をできる限り低くすれば放出スピードが上がると思います。
そう考えると仮にエアコンの再加熱モードでもトータルコストは深夜電力なので高くなることはないでしょうが、エネルギー消費は増えます。コスト、エネルギーそしてそれに見あう効果があるか?ああーむずかしいっ。
PS
吸湿が長時間になると今度はカビの問題が出ますし・・・。
教えて下さい。
木の調湿効果の速度は?
飽和するのは判ってましたがシリカゲルも同じです。
夜間電力を使用して木(シリカゲル)の湿度を下げ、
昼間に空気を除湿するのは成り立つのいでしょうか?