2010.08月号の日経ホームビルダーの記事はすばらしいです。この本は業界紙ですが、建て主さんの方が購入して一度目を通されることをお勧めします。是非、建て主さんには言えない業界の裏側情報(本質)に一度触れて下さい。
何がすばらしいか?
業界人がわかっていてもあえて建て主さんに言わない事がずばずば書いてあるのです。拍手です!
画像は故意に荒くしてあります。是非「購入して」読んで下さい。
赤線はオーブルがなぞったもの。この発言は、「瓦屋根は雨が降れば大体瓦下に漏れている」と言うことを体験的に知っている業界人の発言です。雨は下地材で食い止めると言うことです。
・屋根の防水(雨漏れ防止)は実質下地材が担っている。
これは以前当ブログでも何度もご紹介しております。屋根の防水は、屋根材ではなく下地材で担っている。だからどんな屋根材でも下地材が同じなら雨漏りしない耐久性は同じ。
つまり、焼き瓦でも金属でも、雨漏りは実質下葺き材で防いでいます。だから耐久性は下葺き材できまり、屋根材では決まらないのです。瓦だから100年雨漏りがしないということではありません。その事を業界の携わる人なら大概知ってますが、建て主さんには
「焼き瓦一番耐久性がある」としか伝えません。決して雨漏りが長期間しないではなく耐久性があると言うのです。勿論、間違いではありません。耐久性だけを見れば焼き瓦がトップで100年腐らないでしょうが、これと雨漏りが100年しないとは別のことなのです。無論大部分の雨は表面材で受けますが、少しでも雨が漏れれば瑕疵となる現在の法律では、下地材が重要なのです。つまり雨漏りは下葺き材で決まると言うことをわざと伏せて奨める表現が「耐久性のある屋根素材」です。特にハウスメーカーにこの傾向が大きいようです。
しかし建て主さんは 屋根の耐久性=防水性 と考えますよね。
・ロフトがある屋根は、屋根通気が必要
ロフト、小屋裏利用や勾配天井の家が多くなっています。当事務所では平らな天井から勾配天井に変わっただけでプランは全く同じでも金額が40~50万アップしますと伝えてます。
ところが低コスト住宅でも小屋裏利用のため勾配天井にしますが、金額のアップは殆どありません。ではなぜ当事務所は金額がアップするのでしょうか?
これは・・・
屋根下に通気層を設置するからです。小屋裏利用の勾配天井は、小屋裏空間がありません。小屋裏空間は湿気を排出する大事な空間で、長期優良住宅ではある一定の換気性能を計算で証明しなければなりません。そのくらい大事な空間ですが、勾配天井の場合はこの空間がなくなるので、これに変わる通気層を屋根下に設けるのが良識ある設計者です。すると屋根は2重構造にならざるを得ず、手間と材料が2倍かかります。それで同じプランでも価格画アップするのです。この情報はもう10年以上も前にこのコラムでお伝えしています。
しかし巷の低コスト住宅では、この屋根下通気を計画しません。コストアップになるから省きます。法律でも必ず設けなさいとはありませんから。するとこの日経ホームビルダーさんの記事のような事が起きやすくなります。
昔のログハウスはこの屋根下通気層がないため、屋根がぼろぼろになった経緯があります。ネットで検索すると今でもあります。それくらい重要で、今のログハウスには屋根のてっぺんに棟換気が小さいながらも付いてます。小屋裏がないのに、この経緯を知らない屋根通気層がない低コスト住宅の10年後がとても心配です。多分ロフトは簡単だからと思って
建て主さん曰く
「ロフト利用したいがコストは?」
建設会社
「オプションでありますよ、そんなにコストアップしません。」
と簡単に答えるのです。
とても怖いことです。
オーブルデザインが取り付ける屋根頂部の大きい棟換気部材。アップで見ると無数の蜂の巣のような穴が開いており、そこから湿気や熱気が排出される重要な部材。ロフトにはこの位置にしか通常通気層出口とならないため、棟換気があるかどうかで屋根通気層がある家かどうかわかる。
まだこの今回の紙面にはおもしろい事が書かれてます。これは「その2」でご紹介します。