確信!今のところ断熱材は0~50㎜まで。

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昨日の続き・・・

昨日東京で山辺先生にお会いして(講習会の終了後)スラブ下の断熱材をどう思いますか?と単刀直入に伺った。

講演会には同じ木構造の大家「大橋好光先生」もいらっしゃるのに、山辺先生のところへ一直線。

これには理由がある。

大橋好光先生にもホントはお聞ききしたいのであるが、大橋先生は著名な研究者ではあるが実務者ではない。研究者は自分の専門は無論、関与する分野についてはマスターであり大変詳しいがすこし専門分野からずれると途端に専門外的お言葉になる。これは仕方ない。

この点、山辺先生は実務が本業であり机上の空論にはならないことが一つ。また経験と実勢がものをいう経年変化(生物劣化)は経験豊かな実務者が一番しっている、そして技術者として最も大事なこと・・・住宅業界のしがらみがないこと。大変失礼ではあるが、山辺先生は御年70歳くらいだと思われる。そのくらい歳を重ねると自分の信念を他のしがらみで変えるようなことはしない。しかし先日もこのブログで申し上げたとおり、最近は業務上のしがらみに縛られたり(多くの構造実務者は顧客が建築同業者)、過去の自身の業務のしがらみに縛られたりする。よってはっきりとした見解を避ける・・・。

山辺先生はその点がないと直感で思い、この講習会には2か月前から申し込んだ。ホント私は手前味噌だが直感が優れていると思う。

さて・・・

山辺先生と何で意気投合したか?

もうおわかりだろう。

それは・・・

「べた基礎スラブ下の断熱材は使わない方がよい(無難)。」

ということ。
つまり、石油系発泡樹脂で作られた人工製品の断熱材が、石と石を材料とする無機質素材のコンクリートに挟まれて建物鉛直荷重を受ける構造材として使われたときに、石とコンクリートと同じ耐久性があると言えない(60年以上)ということ。

まず誤解がないように条件を整理したい。以下は私が考える使わない方が良い条件である(地域や諸条件は重要)。

  1. 北海道と東北北部は除く。
  2. 地面下に水路(みずみち)等が有ったり特別な条件は除く。
  3. スラブヒーター、蓄熱など積極的にスラブを温めるときは除く。
  4. 上2~3でも厚さは最大50㎜程度にする(普通の一戸建て)。

である。

1は本州と違って気温が低く地中内の生物活動が低いので生物劣化のリスクより断熱材無しのリスクが高いため。

2は特別な条件、例えば基礎下に水道(みずみち)がある場合は1と同様にリスクを勘案して決める。

3は蓄熱という特殊条件であれば、周囲環境の総合的判断で採用するメリットが大きい。

4は、
地盤の圧密沈下における長期沈下量の評価だが、山辺先生によると50㎜までは許容してもよいのではないか?(山辺の基礎講演から)
となると地盤と同様の条件であるスラブ下断熱材も50㎜まで許容してもよいと判断できる(浅間)。

これは私の考えだが・・・
4でスラブ下段熱材を50mmとしたときは、地盤の圧密沈下の量はできる限り0近くで抑えたい。そこで新潟県では殆どの家で地盤改良されるので、止む得ない条件の場合は50mm 入れてよいのではないかと考える。さらに一般的な一戸建て住宅の建物外形短編寸法を7000mmとした場合、断熱材が生物劣化などで片側だけなくなった時の最大で建物の傾きが
50/7000=7/1000の傾き
となり何とか許せる不同沈下ではないかと考える。これは10年くらい前からそのように考え、8年前に案内している。無論建物短辺が5000mmであれば5/7の比率で断熱材の厚さは減らさなければならない。

また山辺先生は構造的問題点ではなく環境的の次の指摘をされた。

「もしスラブ下に断熱材があっても、水が容易に基礎下に侵入しやすい敷地なら意味がない。水は断熱材の接合隙間から入り、その水の熱伝導率が高いので断熱材の効果は薄い場合がある」・・・一部浅間が修飾しているのでこのようなことをおっしゃっていたと思ってほしい。

このことも周囲環境による。実測ではスラブ下の断熱材の効果が覿面にあったとの論文も昨年ご紹介している。また水はけの良い土地はスラブ下水平に広がることはないのでこの問題はないとおもわれる。しかし水はけの悪い土地や崖地下では起こりえる問題である。

さらにI社さんのFさんもこの話題に参戦。

「現在すごい勢いで床下暖房が増えているが、そのためべた基礎スラブ下に断熱材を敷きたいとの要望が多い。」

仮にこの断熱材が将来建築学会で「ある厚さ以上の断熱材は土と同じ地盤とみなされない」と判断された場合、数多くの断熱材を既に採用された建て主さんがとても「残念」と思うはず(ここはそんな雰囲気だったので私の想像もある)。

そのとおりである。構造部材は慎重のうえ慎重を重ねて選ぶ必要があるのだ。

所で山辺先生から

「最近、浅間さんと同じ事言っている人がいたような・・・」

と言われた。

えっ・・・私は今までネット検索しても一切そんな事を言っている設計者はいなかった。もしかして当ブログを読んで誰かがこの疑問を広めているのか?ならこの「緑の家」のブログの価値はある。

確か私が基礎スラブ下の断熱材を憂慮しはじめたのは8年くらい前で、当時は国の地面の熱貫流率がドイツに比べ低すぎるところから始まったと思う。私はそのころから温暖地においてスラブ下の積極的な断熱材の使用には反対であったが、世の中の高断熱施工される多くの人達が、床下暖房の使用とともにここ数年間で「スラブ下断熱材は必要」と言っていた状況だった。そこで一昨年はこちらで、昨年はこちらの当ブログでしっかりとその事の注意喚起を行わせて頂いた。でもどうして今まで誰もその事がわからないのだろう。XPS、EPSには防蟻剤が入っているのでまず安心とか、メーカー圧縮強度は倍以上の余力があるとか、高速道路の路盤として実績がある・・・との理由で採用したとの事。高速道路って家なのか?また住宅のように不均等な荷重なのか?
私は何時も言っている、設計の優先順位は構造の安全性が一番で断熱性などは次であると・・・。だから出来れば断熱材は0mmで、止む得ない時に50mmまでとなる。

今年はこの検討が建築学会で議論される事を願いたい。もしかしたら構造材として認められるかもしれない。だから「今のところ」とつけた題名である。

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コメント

  1. Cialis より:

    ありがとうございました

  2. ぴか より:

    べた基礎ではなく、布基礎で支持力を十分に得られる場合には(または杭支持の場合)、床下の土間コンクリート下に断熱材を敷いて、床下暖房採用の場合の熱損失を小さくするために断熱材を使用することを考えてもよいでしょうね。ただし、シロアリ対策を十分にできる方法を考えなければなりませんが・・・

    • Asama より:

      浅間です。

      >ただし、シロアリ対策を十分にできる方法を考えなければなりませんが・・・

      仰せの通りです。
      ただ白アリ対策は布基礎でも出来ます。ただしイエシロアリの生息している地域はべた基礎の方がやはり侵入防止には良いでしょう。つまりイエシロアリが生息しているような温暖な地域とヤマトシロアリしかいない少し寒冷な地域とでは、基礎を分けても良いでしょうね。「緑の家」はその地域の環境を重視して一番ふさわしい基礎を計画するつもりです。だからべた基礎だけでなく布基礎も行うようにしたいと今考えております。

      実は・・・布基礎にする理由は、地面への熱の逃げよりもスラブ面状の水平方向の熱の逃げ遮断のためです。これは何回かブログで実測としてご紹介しました。