体の変化と床下暖房そして小さな24時間の暖房空間。

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最近、私は寒がりに拍車がかかっている。冬期は事務所で最も高齢である私に事務所の室温を合わせている。当然低断熱の事務所であるが、それでも24時間連続暖房するとそれなりになっているので、現在は23.5度から24度のエアコン設定が多い。

2014年竣工の「緑の家」のサーモグラフィー。床の温度が他の部分より2度くらい高い24度と最も理想的な温度。

実は5年くらい前までは設定温度が22度でも問題なかったし、寒くても23度くらいの設定温度であった。自宅でも同じで最近の設定温度は高めとしている。これは・・・40歳台よりも更に体の代謝が低くなったのだろうと推測する。その点、床下暖房の家ではこの対応が簡単に可能。ここで勘違いしたくないことは、一般的な住宅性能の家では床面温度が壁、天井温度はむろん、室温より数度低くなる傾向があり、この低くなったところに着衣量が最も少ない状態である足が接しているため寒く不快になる。床温が室温と同じか数度高ければとても快適感があるのが経験上わかっている。そこで床下暖房が活躍し、上写真のように常に室温よりわずかに高い温度を維持できる。床下暖房は代謝が落ちた人には至福の暖房方式となる。

人が多少寒くても暖房温度を下げたいと思う理由は、殆どの人が暖房費の低減が目的だろう。だから少し我慢してしまうのであるが、私はできる限りそれをしたくない。寒ければ温度を上げるし、暑ければ下げる。これによってストレスはとても少なく仕事も趣味もはかどる。

・・・であるが、全く冷暖房費を気にせず室温設定をするほど裕福な暮らしはできない。そこで最近感じるのが、狭い空間での冷暖房である。otomo vie centのアトリエ棟に寝泊まりする事が多くなり、そこで感じたのはコンパクトパッケージによる無駄のない冷暖房。

otomo vie centのアトリエ棟2階は断熱材は入ってない築60年以上の古い建物。これを前オーナーが30年ほど前に軽くリフォームし、トイレをつくり窓をアルミサッシペアガラス(6mm空気層)にしてクロスを貼って仕上げている。そこを昨年軽くリノベしてキッチンとUB、洗面をつくり木の内壁と床に張り替えこの2階で生活出来るようにしている。この2階の居住部分の延床面積は30m2(18.5帖)ととてもコンパクト。殆ど断熱材のないこの空間の断熱性能は旧Q値で約4w/m2K。この算出は12月~1月の電気使用量に対しエアコンだけで暖房行なって24時間温度一定にしているので、そこから逆算した数値。簡単に表現すると1月の22度の内外温度差をつくるのに2.7kw/hの暖房量が必要である。そこで使用しているエアコンは2.8kw(冷房出力表示)となる。但し低温暖房能力が5kw以上ある最高位機種(最高機種はインバーターで出力調整範囲が広く高い)を選択している。もし最高位機種でなければ、4.0kw(冷房出力表示)のエアコンを選ぶことになる。

そんな10帖用エアコンで24時間暖めたときでも快適感は高い。超高断熱の「緑の家」にはとおく及ばないが、寒くて困る冬ではなく寒くない冬を過ごすことができる。これはこの18.5帖に、キッチン、洗面脱衣所、トイレ、就寝、食事・・・とこの暖房空間からほぼでなくても生活できるから。そして何か寒いなと感じたときにはエアコンの設定温度を1から1.5度あげて10分も経たない間に暖かいと感じるくらいダイレクト感があるため。これは30年ぶりの体験で、30年間暮らした高断熱高気密の寺泊の家では、長期休暇で留守にしていてもエアコンは消すことはなく暖房を続けているが、温度はいつもより2度くらい低くしておく。そこで久し振りに帰宅したときに温度を2度あげるのであるが、1階と2階合わせて54帖ほどの空間を2.2kw(6帖用エアコン)と3.0kwのFFストーブで目一杯暖房しても、温度が2度しっかり上がるまで1時間かかり、壁床温度まであがるのには数時間かかる。この間は流石に肌寒い感がある。しかしotomo vie centの18.5帖の空間ならコンパクトで、近い所に暖房機があるので10分で快適が感じられる空間になる。

子育てが完全に終わり、連れ合いと2人だけの生活ならこんな方法で冬を過ごすこともありか?と思わせる。ここで大事なことは、18.5帖で生活出来る空間は完結させるが、その他に寒くても必ず雨風がしのげる車庫、土間(ニワ)やアトリエ的な空間があることが肝心。人には必ず何かしら仕事や趣味がある。これが出来る空間とある程度物を収納できる倉庫的空間が必要である。この空間が確保出来れば、冬以外の3シーズンはそこも活動空間として広く使えるし、18.5帖のコンパクト空間でも最低限度の身の回り品のみで生活でき窮屈で仕方ない感は少ない。このotomo vie centのアトリエ棟2階も洗濯機は置かない。洗濯機は冬に普段使わない母屋にあり、洗濯するときだけそこにいく。最近の洗濯機は一度スタートボタンを押せば乾燥まで自動でおこない、更に取り忘れで次の朝に行ってもしわ伸ばし程度のわずかな乾燥温感状態は可能であり、特に離れていても問題ない。子育ての終了した世帯の洗濯物は一日一度廻せば終わるくらいの量で、たかがしれているのである。このために大きな騒音がでる洗濯機を暖房している生活空間に入れる必要はない事がわかったのである。
古い日本民家でも同じような感があるが、決定的にちがうのが生活スペースが全て24時間暖房空間に内包されることが肝心で、寒いと感じる家はトイレ、廊下やお風呂と寝室が暖房空間外でありこれが大変なストレスになる。一方玄関は寒い外に出るときの場所なので暖房空間外でもよい。

今は布団の上げ下げがある別荘的生活スタイルだが、ベットならあと2帖程度広くした21帖にでもなればよい。この21帖に、キッチン、洗面脱衣、トイレ、就寝、食卓、パソコンコーナーそしてUB(風呂)を納めれば・・・断熱材がない建物でも暖かい生活を無理なく過ごすことができる。ほぼ無断熱材の家でこの1月に24時間24度を維持する暖房費用は1.8万。これを高いとみるか、妥当とみるか、安いとみるかは価値観が関わるだろうが、築60年の無断熱材住宅で寒くない冬を感じることができる。そういえば私が勝手に友人と思っている高性能な小さな家を薦めている設計事務所主宰の建築士さんがいるが、その主張と良さを今とても実感できている。

otomo vie centのような無断熱材の家でも暖房費を気にすること無く、タイムリーに温熱操作がある程度でき、かつ無駄に暖房している感(人のいない空間まで暖房する感覚)が全くしない。これはこれで素晴らしいことである。

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