この家は、当事務所の設計ではありませんが、米杉の無塗装の20年以上経過した家です。
天然素材の木を塗装もしないでそのまま使った時心配するのが、「直ぐに腐るのでは?」とか「10年後はどんな感じ?」と思うでしょう。でも日本では無塗装でも木の外壁が一番長寿命なのです。
当事務所が使う米杉ベベルサイディング。一番上の写真の家もこれとおなじ外壁。価格は少し高いが最も良い外壁材。
最も薄いところでたった2mm。この薄さが腐らない木の不思議。このサイディングの8~10年経過した写真はこちら。
これからも木に塗装はしません!!
天然素材で一番優秀な「木」。その木を当事務所では基本的にそのまま使います。
塗装もしません。
上の写真の外壁は「米杉」という軟材では最も耐久性の優れた木です。この上にレッドウッドの心材(レッドウッドは小さくても直径1mですから普通は心材が殆どです)がありますが、日本では手に入りにくいので軟材(針葉樹系)ではこの米杉(ウエスタンレッドシーダー)が最高です。ですので軒の出がない外壁でも30年以上は全く問題なく使用できます。
そもそもこの米杉(ウエスタンレッドシーダー)は屋根に使えるほど耐久性があるのですが、さすがに日本では屋根に使う事は法律の面でも、耐久性でも難しいです。
こちらは近所にある日本の杉材無塗装の20年後です。田舎ではよく見る外壁ですね。これは雨板と呼べれてます。厚さはたった7.5mm程度と極薄の外壁材ですが、これでも40年は大丈夫です。木は薄い方が腐りにくいのです。
そもそも古来から日本の木の外壁は無塗装でした。これは以前も理由が述べたとおり、日本がモンスーン気候と呼ばれる高湿高温の夏期があるためです。
夏期の朝や夜、高湿環境のため木はたっぷり湿気を吸い込むため木が膨張していますが、日中の太陽が直接外壁に当る部分は、木の温度は50度にもなり過乾燥状態になります。自然素材であるコットンの下着を洗濯して干した時と同じく、木も高湿膨張→乾燥縮みます。この連続収縮現象では普通のペンキはあっというまにひび割れがおこり剥がれます。このような気候でない北米や欧州ではこのような伸縮がないので今でも木にペンキの建物が多いですね。モンスーン気候でない北海道も古い木造でペンキ仕上は現存しております。
また浸透性塗料(自然系オイルや染色剤)は、この割れが少ないのですが、木の表面に膜を張らない特性が仇となり、紫外線劣化により木自体が浸食され数年で表面と共に色が落ちます。周囲を見渡すと新築時は綺麗な色の木の外壁が数年でまだらになる事を皆さん見ていらっしゃるのでわかると思います。
だからどちらにせよ剥がれるなら木に塗装はしない方が最初から良いのでしょう。最終的に木の外壁は、天然の木の幹の色になり上のような色に落ち着きます。浸透性塗料を塗っても数年寿命が延びる程度ですから、そこに数十万お金を使うなら、私は日本の杉を米杉に換える事に使います。米杉の耐久性は日本の杉より優れており、屋根さえあれば50年以上は問題なく使えるでしょう。
以前紹介した30年以上経つ米杉の無塗装の外壁の家。軒の出がないのに全く問題ないのは、屋根に使う米杉のシングル材を外壁に使っているためでしょう。
ここで宣言です!!
これからの家は木の外壁が標準です。
これは国内の省エネ関係者には大変有名な西方さん(西方設計)も数年前からそのような事をアナウンスしてますし、西方さんの事務所も木の外壁(無塗装)なのですね。拙宅も木の無塗装の外壁で、屋上庭園まで同じです。
当事務所は3年前にこれからは超高断熱の家が主流と宣言し、今年は「木の外壁こそこれからの家」と宣言します。
これで当事務所の今後10年間のお勧めする家がはっきりしました。
1.より高い基礎で床下暖房
2.超高断熱 Q値0.9W/m2k、C値0.5cm2/m2以下
3.無塗装の木の床と無塗装の木の外壁
今年と来年だけはここに太陽光発電がおまけとしてお勧めです(買い取り価格42円以上で)。
さて、お盆のまっただ中、今日もそんな木の外壁の家の設計作業をしてます。今年はお盆休みはなしでCADしてます。住宅の景気が冷え込んでいる中、とてもありがたい事です。