東日本大震災(震度6弱)で福島県いわき市内の商業施設の照明器具が落下し、1人が死亡した事故で、福島県警いわき中央警察署は3月29日、舞台機構メーカー「三精輸送機」(大阪府吹田市)の設計当時の設計部長ら3人を業務上過失致死容疑で書類送検しました。
衝撃を与えるのは容疑が建築基準法違反でなく、過失致死と震度6弱である点です。
この事は住宅業界にも衝撃を与えると思っています。それは容疑が業務上過失致死容疑とそれが震度6弱の地震であったからです。
過失詳細は照明器具のを取り付けたフレームの適切な設計をしなかった疑いです。このフレームの吊りボルトの強度は、「懸垂物安全指針・同解説」(監修:旧建設省住宅局建築指導課)の基準を満たしておらずこれが死亡の原因とされて、若手の設計者による設計のミスを、上長である設計部長ら2人が見過ごし、この3人が書類送検されたとの事です。
住宅業界でたとえると、
建築士の資格を持たない人(工務店社長や若手営業マンなどに多い)が、家の間取りを決めて、確認申請書に記載する設計者は違う人の名前で家を造った。すると震度6弱の地震で家の一部が壊れ、よく調べると、必要とされる木部端部の羽子板ボルトや必要な金物がなかったので梁が外れた事が原因とされ、法律上の設計者だけでなく、そのプランに拘った工務店社長や若手営業マンが書類送検された。
と言う事です。
建築基準法では地震時の建物の安全性の最低限の確保となっていますが、明確に震度6弱とか、震度7とは表記されていません。これは震度という単位が気象庁の発表する地震の揺れの大きさの表現で、建物にかかる力の単位ではないからです。建物にかかる力は主に加速度で表されるため、建物毎個別に加速度計でもついていればわかるのですが、そうでなければ、近隣に設置された(市役所や消防署)加速度計から推測するしかないので、警察が刑事事件として立件は難しいと思われておりました。それが書類送検されたのです。
業界は衝撃でしょうが、私はよい事だと思います。日本は、特に建築業界は責任の所在が曖昧なことが多いため、未だに建築士の名義借り(実際の設計者でない人が確認申請上の法で定めた設計になる行為)が行われております。
確認申請上の設計者の欄に、打ち合わせしたこともない人の名や、会ったこともない人の名が書かれていたら要注意です。多分この時は殆ど人が浮かれていて、確認申請書に目を通す事はないでしょうが・・・。
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