2014/10/03修正 画像追加
秋晴れのなか、2年目点検の「緑の家」に伺いました。そこで見た物は・・・
無数の新品ペットボトルの行進・・・
その数1000本以上・・・
これはある「緑の家」の床下におかれた新品のペットボトルです。まだ飲料水として飲めますが、用途は
・建物の熱容量の増大
・非常用の中水(トイレや洗い物)
で飲料用ではありません。
超高断熱(旧Q値0.7台)と熱容量のアップは、今や業界人なら殆どの人が支持するよい計画ですが、見事にマッチしている「緑の家」を拝見しました。
500本ずつ床下エアコンの吹き出し口近くにおいて、深夜電力で造った暖気又は冷気をこのペットボトルへ優先的にあて、蓄熱させております。
緑色の矢印がエアコンの吹き出される暖気(冷気)。
このペットボトル水利用の蓄熱を考えたのはこの「緑の家」のオーナーさんです。当初熱容量を上げるためにCBでも100個ほど置こうか・・・等の計画もあったのですが、CBは蓄熱以外ほぼ使い道がないばかりか、汚いイメージ(ボロボロ落ちる砂)がありましたので、躊躇していたときに、考えついた蓄熱方法がこちらです。
水は比熱が高いので蓄熱材として利用しても優等生です。
例えばコンクリートの熱容量は460kcal/m3・℃→0.53kw/m3・℃です。
水は1000kcal/m3・℃→1.1kw/m3・℃
と容積あたりではほぼ倍・・・
つまり水2m3はコンクリート4m3に相当します。これを通常の基礎の立ち上がりに換算すると56mとなりこれは小さな家の外周基礎に相当します。実際オーナーさんによると、
「立ち上がりと立ち下がりのスピードが遅くなったことがわかる」
との事。立ち上がりとは深夜暖房時の朝の温度変化であり、立ち下がりは暖房OFF時の温度下がりの事です。
何しろこのペットボトルの凄いところは、その表面積が大きい事です。表面積が大きくないと熱のやりとりがスムーズでなく、折角の大きな熱容量があっても生かし切れません。その点ペットボトルは一本一本が2Lなので0.08m2/2Lとなり全表面積は80m2にもなります。これはコンクリートではとても難しい大きさで、その表面積は3倍にもなります。
次に凄いところが、独立して2Lずつあるので運搬配置が普通に出来ることです。これなら毎日10本ずつ入れれば100日で終わります(汗)。また、万一災害が起きて断水した時は、全て非常用中水(トイレや洗い物)につかえるおまけ付です。飲料水は今までの災害経験からすると困りません。困るのは飲料以外の水が大量にいる事なのです。例えばトイレなら1回6Lは必要です。これは飲料用の数人分の量です。
床下が高いとこのように様々なメリットがあります。
高い床下・・・万歳です。
これを小屋裏ではできません。20KN(2トン)も小屋裏に重さがあれば、積雪相当で20cmで、これは金属屋根が瓦屋根になったことになるくらいですから、それなりに耐震性をアップさせないとなりません。オーナーさんが勝手に2トンの水を持ち込めないのです。その点床下なら耐震性には全く関係なく、地耐力算定時に余裕があればそれでOKです。スラブ配筋も通常有利に働きます。無論そのほか床下内使用率を1/2未満にする事は大事です。
そして・・・蓄熱以外の所では、
新築時にはなかった和室の座卓がおしゃれです。一枚物ながら末口のヒビをつなぐ小技がかえって良さを引き立てます。無論・・・無塗装とのことです。この表面が凄くなめらかなのです。どういう仕上げを施したのだろう・・・。
床下へ行く扉も・・・素敵です。まるで柱が2本有るような感じですが、
ポリ合板の扉が全く違和感がない。だから「緑の家」の標準扉として今だに存在している。
こんな感じで開くのです。こちらも建て主さんの希望で新築後に造りました。
コメント
西裏館のS様
コメントと昨日のお菓子などありがとうございます。
>座卓はさすがに却下されて、木工工房の方に塗って頂いたんでした。
それでよくわかりました。あのなめらかさは何かなと思いました。それでも床の間のケヤキ無塗装でもあのなめらかさが感動です。
両方とも木の肌触りは最高ですね。猿の頃からお世話になったDNAに刻みこまれている感覚なのでしょうか。
わざわざ有りがとうございました。
浅間先生、本日はありがとうございました。
壁の内部など、細部に至るまで確認していただき、お手数をおかけいたしました。お陰様で、これでまた安心して暮らせます。
どうもありがとうございました。
ところで、うろ覚えだったんですが、和室の座卓はオイル拭き取りでした。床の間の欅は周囲の反対を押し切って無塗装のままにしましたが、座卓はさすがに却下されて、木工工房の方に塗って頂いたんでした。訂正させていただきます。
それでは、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。