冬期の乾燥感とは?査読論文から

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何時ものとおり論文中の赤字線は僭越ながら私が書込み。お許しを。

何時もの査読論文から「乾燥感」に影響のありそうな主たる因子が「絶対湿度」であるとの論文を見付けました。

温熱環境測り隊6で説明したとおり、

岡山市と新潟市の冬期のAH(絶対湿度)(露点温度)は変わり無いとのデータを示しました。

この論文では皮膚の乾燥感である皮膚の水分含水率の変化がAH(絶対湿度=露点温度)の変化に一番影響を受けているとの結論です。

そうなると、新潟での乾燥感と、岡山市での乾燥感にはあまり違いがないと思われますが、それは早合点で、論文の実測の被験者は全て学生でしかもデスクワーク時のこと・・・。日常を会社で過ごしたり、日差しの強い屋外へ出入りがあったり、はたまたストレスの度合いが学生とは違ったりと・・・。

必ず何時もそうですが、特定の条件下での結論が全てを網羅していることはありません。特にこの生物が体全体で感じる温熱感は、あまりにも条件が多く統一が難しいと思われます。もしかして・・・実測が行われた関西居住する人と北陸では違っているかも・・・?

前置きが長くなりましたが、論文を見てみましょう。

まず前書き(目的)です。

乾燥感と皮膚の含水量が同意については既往の論文を見ないと・・・。

次に実測条件と方法です。ここからわかりますが被験者は特殊な人(学生という一番生体が活性化している年齢でストレスもすくない人で、大学の研究室が中心という特殊環境)と言うことがわかります。

次に結果です。綺麗に近似線形が表われており、特に絶対湿度との相関はR2で0.6以上。

綺麗な相関が見られる。

結果のなかには被験者Aが1年経て再び被験者となり前年との比較という興味深い内容もあります。

確かに相関しているが、明らかにその角度(特性)が違っている。つまりそのくらい生物は環境や自身の体によって感度が変わる事をしめしているのではないか。

この論文でも述べられていますが、全く同一の傾きになることはない・・・。つまり同じ人であっても測定年が違っていれば大きな相関関係は変わらなくとも、傾きなど特性の変化はあるとこのことと受け取りました。

これは重要です。生物はそんなものと思います。もし学生でなく、代謝の悪い、反応の緩い高齢者ならAH(絶対湿度)よりRH(相対湿度)の相関が高いかもしれません。また、北海道に居住している人や、子供、体の弱っている人も同じ傾向とは限りません。更にいえば、人種の違い(白人なのか、黄色人種なのか、黒人なのか)もあるかも・・・。ただどの人も絶対湿度に対する相関がありそうだ・・・と言うことはわかります。

マスコミ媒体が伝えやすいRH(相対湿度)ではなく、絶対湿度の方に影響を受けやすいので、今後は絶対湿度予報も必要か?

実はこの件で

次回の温熱環境測り隊7で少しまとめたいと思っております。

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