温熱環境測り隊 報告 まとめ 新たな気づき

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私の温熱測り隊の測定目的が、

「夏に通風した家と空調だけの家の環境違い」

「夏の空調」

でした。つまり夏の事がもっと知りたかったので喜んで測り隊に参加させてもらうことにしました。そして提言11「家の性能は下がるので24時間空調をする」でした。↓

提言12・・・家の性能は下がるので24時間除湿する
予想はしておりましたがはっきりと数値ででると・・・。 ここから過去11個の提言をしてきましたが12個目の提...

この除湿結果について温熱測り隊内で報告すると、

「既往概念では湿気は快適性に影響を与え得る事は僅かであり、遥かに気温のほうが効果的」

との助言を頂きました。

少しゆっくり考えると、

提言11で書いたとおり、

家の性能も下がるし、同時に実は人の性能も下がる。

私が30代前半の頃は、夏の室内RH(相対湿度)なんて気にしたこともなく、気温さえ26°くらいなら快適でした。

ところが50代になると、真夏でも足元の冷えが気になるのです。

そこで年齢、性別、体重などの生態的条件が重要でその事を因子として考えない研究ではなかったかと・・・思い込んでおりましたが、一番の影響ある室温に関して助言どおり少し思慮が足りなかったと思いました。

既往の研究では、まず一定の人工環境をつくり、そこで室温、湿度を始め衣服や運動量、輻射、気流をパラメーターとして様々な被験者から申告をしてもらうのですが、このとき、着衣以外は室温が一番影響を与えるとの業界の通説です。

それは間違っているとは思いません。というより全くそのとおりだと思います。

しかし・・・何かを見落としている・・・そう・・・この

人工環境 ≠ 一般住宅室内

ではと気づきました。

暖房と違い冷房の難しさは・・・

冷気は拡散されにくく、人が接する下部に停滞しやすいことにあります。特に靴を履かない文化の日本ではここは敏感な部分です。一方

実験する人工環境は、室内の中にありその空間は完全に人工制御されております。

一方一般の住宅で夏期は、日射の影響が大きく且つ実験室より狭くまたエアコンを理想的な位置に配置することは、ほぼ無理です。あるスポットだけからみると快適な位置にエアコンを設置可能ですが、住宅内で同じ1箇所に何時もいるわけではありません。つまり実際の家は冷房時に温度のムラが必ず大きくなる時があり且つ人は同じ場所に留まることはありません。所謂非定常で且つ非定場です。

例えばダイニングでは温度差が少ないのに、リビングでは足元だけ冷たい空気や素材に触れているとか・・・。特に日射がはいる日中にその差が大きくなったりします。また夜間も冷房モードだけではそのような現象が起こります。これはインバーターによる冷媒温度を上下させて制御しているがゆえに高湿になるときもあり、するとエアコンの設定温度を下げる事によって更に増大されます。最近は冷媒温度の方を下げ風量を微風にする機種もあり、より冷気の停滞があると思われます。

ここでまた・・・人それぞれの影響、例えば年齢的な事で代謝の落ちた人は冷え性の予備軍だったりでダブルパンチです。特に「緑の家」の住人さんはその殆どが・・・裸足なのです。

これに測定中気づいたので、夏期でも床下暖房を行い同時に2階では冷房を行うモードのに変え・・・夏期でも床下暖房が気持ちがよいと感じたのです。これは湿度コントロールというより、家の温度ムラをなくす事が重要だったのではないでしょうか。

そう考えると再熱除湿がなぜ気持ちよいのか・・・。

これは湿度の影響よりもしかしたら、温度ムラが解消される事で気持ち良いのでは?と考え直すことになりました。

なるほどこれなら50代以降の住む「緑の家」の住人さんは、温度ムラがすくなくなる

「再熱除湿運転」が快適と口を揃えるのでしょう。

再熱除湿はご存じのとおり温風と冷風を混ぜて吹きだす特性上、吹き出す空気は空間と温度差が少ない乾いた空気です。だから室内でムラが出来るのは温度でなくRH(相対湿度)やAH(絶対湿度)。そして既往の研究では湿気に対する人の反応は鈍感で、湿気に多少のムラがあっても気づきませんし、違和感(不快感)はないはずです。

合点がいきます。これに気づいたときは・・・・

超高断熱住宅で「再熱除湿が気持ち良いのは、

湿気が少なくなることより、温度ムラが解消される影響が大きいから」

特に日本の住いは細かく仕切られているのでその影響は顕著になるでしょう。

確かにまだまだ快適性の評価で「湿度」は未知数ですが、私達は素直にデーター(申告も含む)を受け取る事を考えたいと思います。

条件に間違いなかったか?見落とした因子はないのか?
時間軸によってその因子が変化しないか?
人によって変化しないか?

特に人(人種、年齢、性別、体力)による受け取りの変化は、自分がある程度年齢を重ねないと気づかないことが多いと思われます。

研究者は素直な気持ちでデータと助言に向き合うことが新たな気づきに出会えます。

今度のこの裏付けを是非とって確認したいと思っております。

きっかけとなる助言を頂いた前先生には改めて深く御礼と感謝を申し上げます。

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