今夏は簾(すだれ)を科学する。その1

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TEXT スタッフM

室内からは簾があっても外部は丸ごとしっかり見える。この特徴を持つことが簾が愛される理由。

夏の窓際といえば「簾」・・・。

「緑の家」の外観といえば、基礎が高くて簾と大きめの庇があること。

「緑の家」ほど正式に簾を薦めている設計事務所や工務店はないだろう。

昨年は住宅業界に少しは参考になるであろう「土縁は夏のためにもある」という提言をした。この夏はこの日本の文化でもある簾をスタッフMが少し科学的に検証する。

簾と最近流行の外部ブラインドとは何が違うのだろうか?

外部ブラインドは羽が等間隔に設置されており、羽を自由に調節することができる。羽を開いた状態では、窓からは均等に区切られたはっきりとした景色が見え、羽を全閉すると視界を完全にシャットアウトすることもでき有効開口率を変化させる事が出来る。簾はそのような調整はできない。下のような模式図である時簾の有効開口率は33.3%に固定される。

簾は外部ブラインドに比べて一つ一つの隙間は細かい。また、自然素材であるため曖昧な間隔と太さで構成されている。このため、景色がかすれて見え、窓から見える景色は絵のような雰囲気を持つ。

これほど視界が確保できる簾は、どれほど日射を防げているのだろうか?

尚、このページでは直射光のみを扱う。

図(左)想定する簾の断面 。図(右)計算をわかりやすくするための模式図。

図(左)のように断面の直径4mm、中心の間隔6mmの葦でできた簾を想定して考えてみる。
この間隔は実際よりも広いが、実物は均一ではなく細い葦が混ざっているため広めに設定した。

図のように円で表現した場合、隣り合う円の内接線の仰角(水平からの角度)は48°となり、この仰角(水平からの角度)より太陽高度が低いと日射が簾を通過する。ただし、これは簾に対して直角方向から日射がある場合。簾に対して斜め方向から日射がある場合、日射を遮る限界仰角(水平からの角度)は直角方向の場合より小さくなり、日射は通過しづらくなる。

そこで、日射の方向と簾が日射を遮る限界仰角(水平からの角度)の関係を計算する。計算をわかりやすくするため、断面を図(右)のような対角線が円の直径と同じ4mmとなる一辺2√2mm(約2.8mm)の正方形で考える。これは簾が日射を遮る限界仰角(水平からの角度)が円の場合より小さくならないよう、日射遮蔽に対して厳しい条件で設定。中心の間隔は円のときと同じ6mm。

日射の入射する角度の変化とともに、簾の日射を遮る部分が変わっていく。

簾に対する日射の方向が変化すると、図のように簾が日射を遮る限界仰角(水平からの角度)が変化する。

これを計算すると、

この式では、δは0°から90°の間であるため、δが大きくなるほどcosδは小さくなる。ℓとwは簾の葦とその隙間の大きさであるため一定と仮定すると、tan--1(ℓcosδ/w)はcosδが小さくなるほどγが小さくなるため、δが大きくなるほどγは小さくなる。

簾と直角方向からの角度δが大きくなるほど、簾が日射を遮る限界仰角(水平からの角度)γが小さくなることがわかる。

その2で、この日射の方向と簾が日射を遮る限界仰角(水平からの角度)の関係を実際の太陽の動きとあわせて考える。

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