ある「緑の家」のオーナーさんからドレーキップ窓の枠内に水が何故溜まるのか?との疑問を投げかけられた。
私達建築士は、60年前から普及したアルミサッシ時代の引き違い戸レールからそのような納り見ているのでまず気にならなかった。つまり・・・
「サッシの下枠にあたる部分には水が溜まる仕様が普通と考えていた」
それはもしかしたら誤りなのかもしれない。
まずドレーキップの水が溜まる部分とその理屈を下図に示す。
このように機構上仕方が無いと思っていた。
これはドレーキップだけではない。一般に多い外開きサッシの場合はこの逆さまになり、障子上枠に水が溜まるようになっている。上の図を逆さまにして室内と室外を反対にすると・・・
実は引き違いサッシも同様でレールに水が貯まることになる。更に引き違いサッシはこのレールに溜まった水を封水として暴風時の水の侵入防止しているから、雨あがりにレールに水があるのは極当たり前の仕様なので有る。
しかし極めて水に強い(腐蝕)アルミサッシや樹脂サッシが販売されるまでは水が長期溜まる部分があるとそれは欠陥になる。つまり早期に腐蝕するからNGであったはず・・・。
では水がたまる事に対し極めて弱いウッド(木)のサッシはどのようになっているのだろう。
最近使用してその水切れに感心した伊達の家ウッドサッシでドレーキップの断面を見ると、実によく考えられている。
それも当たり前。木できている枠内に水を溜めることなどは御法度で、直ぐに腐朽してしまう。よって如何にウッド部に水を停留させないかがサッシ設計の肝となる。
この図はサッシの下枠あたりの縦断面図である。ピンク色は窓を伝わった水で、そもそもこの水が停滞せずに下まで流れるように要所要所に水勾配がついている。しかも・・・仮にパッキン上に溜まった水がありそのまま窓を開けても、その水はきつい水勾配で直ぐに窓外に排出される(緑色の線)。よって同じドレーキップでも枠内水が溜まる事はない。
さらに・・・
木部内にある気密パッキンで挟まれた空間には水が入らないので、水抜き穴がない。
「えっ・・・普通はあるの?」
そう、メーカーを問わず普通はここに水抜き穴がある。下はある樹脂サッシの下枠縦断面図である。
このように樹脂枠の内部に水の流れる通路があり、そのため気密パッキンで挟まれたところには水抜きのため小穴が空いている。つまりこの部分は大気に開放され厳密には気密部分とは言えないことになる(小穴なので僅かな隙間だがこの事は以前読者さんから指摘があったところ)。一方クネアズードの木製サッシは・・・
全て木部の外で水を切る納りとなっている。気密パッキンは2つとも有効に働く。
このように樹脂サッシやアルミサッシでは軽量化、低コスト化のための製造法上の中空部分に水を流す溝を設けている。これは一重に素材が水に強いため出来る事で、樹脂サッシやアルミサッシのメーカーの甘えかもしれない。中空の枠内に水がたまり、長期的にはゴミなどから汚れ、カビがつきやすいので出来ればこのクネアズードのような納りになってほしい。
確かにクネアズードの木製サッシの価格は樹脂サッシの数倍するので一概に良いともいえないが・・・。
サッシメーカーは無論、私達技術者は謙虚に現象を受け止め更によい方法に進化させなければならないと考える。
コメント
この水滴が、内に開いた時室内に滴れるので、あまり窓を開けたくないと感じています。開ける時は雑巾持って窓の下部拭きながら開ける感じです。
やまだ様
コメントありがとうございます。
そうですね。ドレーキップの欠点はこの室内側への水垂と内側カーテンの設置場所を選ぶと言う事ですね。
ドレーキップのような内開き機能はあくまでもメンテナンス時用で、通常は開けないか、内倒しで通風だと思います。