今年の建築学会論文から
室内おける乾燥感の個人差

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お肌の乾きが気になるといわれる冬期になった。特に家中暖房や全館空調の場合特に乾燥するとのご意見もある。その乾燥感について9月に行われた建築学会の発表会で面白い論文があるので紹介したい。

執筆者のファーストオーサーは高木先生で東北大学研究室である。研究目的はアンケートおよび実測調査により冬期の乾燥被害の実態を把握と季節変化の影響の分析とある。

夏にも実測など行っていて、昨年の発表では皮膚含水率と近傍の絶対湿度は有意な関係にあること、被験者によって皮膚含水率や乾湿感の程度は異なり、被験者の皮膚の特性等が影響していることが分かったとある。

なるほど・・・被験者の皮膚特性が影響する・・・らしい。今回の被験者の構成は表1のとおりであり、年代は9割が20代とほぼ若い人だけと思ってよい。また性別として女性が1人だけ。

同じ環境下でも乾燥を感じる人が3/4を占め、乾燥感を感じない人が1/4となる。同じ環境下、地域にくらす同じ年代でもこれだけの差が生まれる。もし年代や性別、職業がもっと幅広い被験者ならさらにバラツキが生じるであろう。

乾燥感は個人差が大きく、単純に皮膚含水率によって決められないことが下のグラフからわかる。例えば被験者Lさんの皮膚含水率は他の被験者と著しい違いは見られないが、ほぼおなじ含水率のDさんでは「どちらでもない」に対し「乾燥する」との回答で女性は一人だけなので女性との特性とはいえない。

これだけ似たような年代層の結果でも違いは顕著で、比較的遺伝による特性が同じと思われる親子でも父方又は母方の両方の遺伝をもつ親と子とでは違いが起こる事は想像できる。例えば家族といってもご主人は乾燥感は全くないのに奥様は乾燥するというご家庭もある。そこは大変理解できる。

「緑の家」では比較的RH(相対湿度)が高く維持できる。しかしこの季節に室内温度22度でRH(相対湿度)45%を超え始めると樹脂サッシ枠結露の心配があるため、やはり低湿度の方向へ換気によって誘導して頂きたい。冬期にRH(相対湿度)下げるのは簡単で換気量を増やすだけでよい。
また温度によって適切なRH(相対湿度)は違うのでそこは下グラフなどで換算してほしい。

22℃ならRH(相対湿度)45%、24℃ならRH(相対湿度)40%、20度ならRH(相対湿度)50%が同じ温度で結露する。26度ならRH(相対湿度)は35%。つまり26度で生活するならRH(相対湿度)は35%以下でないとサッシ枠で結露する可能性が高い。一方20度で暮らすならRH(相対湿度)50%以下となる。これは新潟県の平野部での条件であり、山間部寒冷地ではもっと低いRH(相対湿度)がよい。

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