夏にエアコンを使えば数年後にその内部で99%の割合でカビは発生する。それを避けることはほぼ不可能である。内部掃除をしても手が届かない所で限界はあるし、現在の複雑になった機器内で普通の人が隅から隅まで掃除できるはずもない。
エアコンの内部カビが人体に影響を及ぼす確率が高ければ、もうエアコンは使われていないか、何らかの根本的な改善が施されるであろうが、エアコンが一般家庭に普及してから半世紀以上経過しているにも関わらず根本的なカビ解決はなく、エアコンはなくなるどころか現在は最もなくてはならない家電製品となっている。
大多数がエアコンを自分で掃除する事はなく、毎年業者さんに掃除してもらうケースは大変希なことを思うと、エアコン使用におけるカビリスクはある程度やむなしと暗黙の内に感じているはず・・・。なぜならエアコン販売時にカビのリスクの説明はないし、自動車の販売時に交通事故がどのようなリスクをもたらすかの説明もないことから明らかなように、ゼロリスクがないことは大多数の不文律である。
ところが最近、欧米や一部の国内意見でもカビリスクは一切許さないという考えにときおり触れることがある。カビも人には害があるがカビを一切許さないとなると、ビル内より60倍もカビ胞子が多い公園、森、林などへもいくことはできない。これについては2007年にブログで論文を掲載している。コメントに「比較対象が会社研究施設ではカビが少ないのではないか?」には同意するが、仮にそうであったとしても、森や公園が多かった事は事実。また一般の建物、特に一番多くを過ごす会社のエアコンがいつも掃除をしているとは限らない・・・というより掃除しているエアコンの方が私の身の回りでは少ない。元々日本はその気候的要因でカビと同居していたこともあり耐性も違うと想われ、欧米で心配されるカビ汚染問題とは少し視点を変えないといけないと私は思う。「緑の家」の高いメンテナンスを誇る床下も同様で、目で確認できるところ以外のごくわずかなカビは許容しているかもしれない。さらに年月の経た木の外壁のシルバーグレー色はカビであるから、日本での木の外壁はカビとの共存となる。
COVID-19が話題になってから絶対感染はしたくない、させない、という「ゼロリスク」を求める考えが、様々な問題を起している一つだと感じる。カビもそうだしウイルスも同じだが、人が誕生する前から地球上にいた生物と遺伝子だから今後もゼロにする事は出来ないし、祖先が危険なウイルスはなんとか駆逐、隔離し致命的でないカビやウイルスが残っていると考え、今回のCOVID-19は人と共存していくことが現実的であり、罹患した人を隔離する規定の「指定感染症」から早く外すか、対応項目の見直し必要があるのではないかと個人的には感じる。
この数ヶ月事務所の来客時のお茶は全てペットボトルになっている。従来ペットボトル飲料をお客様にそのままだすことは丁寧ではない、お茶は自分で入れてこそと思ってお湯を沸かしておだししていた。また環境のためレジ袋を有料化したのに、増えたペットボトル飲料の印刷フィルムと蓋は樹脂製である。あまりにも矛盾に満ちた判断で皆が右往左往している・・・。
次世代の人に私たちがしっかり説明するために、この半年のデータから明確な方針を決め国、研究機関が丁寧にアナウンスする事に期待したい。