燕市 吉田の家 設備工事から考えること

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昨日吉田の家の内装工事などのチェックと設備の打ち合わせを行ってきた。

背中周辺がまだ正常ではないので、ゆっくり動いていつもの倍の時間かかって内部を見る。各業者さんが疑問を聞いてくるが、体調=精神なのか中々頭がスピィーディーに回らずご迷惑をかけた気がする。特に床下エアコンが初めての設備屋さんだったので、エアコンの設置位置を説明すると、不審そうな顔。

確かにそんなところにエアコンを設置して何が起こるの?吹き出した温風を床下に?と言いたいことがよくわかる。しかしそこを説明すると長いのでまずは正確な位置での設置だけをお願いした。

ところでこの床下エアコンが何故もてはやされるのか?についてようやく研究・評価レベルで認知されるようになってきた。特に基礎断熱との相性が一つの理由であることも・・・。下のブログをご覧頂きたい↓。

大変な疑問・・・基礎断熱の熱損失 その3 床下エアコンの時
12年前(2009年)に書いた床下暖房が何故必要なのかを示した図。 まず最初に・・・この12年前の昔(2009年...

そこにあるとおり床下暖房は基礎断熱の欠点を補うことが一つの理由である。つまり冬期において基礎断熱すると1階の床の表面温度が床断熱時より下がるのである。下がる理由はその図を見て頂ければ一目瞭然。床下内に熱源がないので当然である。それを解消できる方法として床下エアコン暖房が選択されている。

では基礎断熱を止めて床断熱にしたらどうか・・・。そうそれで床温度の低下は解決できる。そのことは下のJJJチャンネルでも少しだけ触れられている(動画の9分40秒くらいから)。↓

https://www.youtube.com/watch?v=wYzkQY-zW6E

では何故そんな基礎断熱を多くの高断熱高気密住宅を得意とする工務店さんが行っているか・・・。これについてはJJJチャンネルでも触れられず世間でもあまり話題にならないが理由は単純である。

基礎断熱は超高気密の数値(私的にはC値0.9以下)を出すことがどんな工務店さんでも安定的に可能だからである。気密工事部位として床断熱の取り合いが最も難しいし、ミスが多く出やすい。その床の気密工事は内部間仕切り壁と配管の貫通部分がキモとなる。内部間仕切り壁は、大工さんに頑張ってもらえばほぼ問題ないが、設備の貫通は時に大工さんや監督さんの目の届かない部分となる。また2階の天井の気密工事にはこのような設備の配管の貫通が1階床の貫通に対して1/4以下である。そしてその全てがほぼ電気配線であるため、電気工事の人にしっかり伝えれば気密工事は心配ない。これは住宅の電気工事は通常一人の職人さんが専業で行うからミスがでない。ところが給排水設備はほとんどが複数の人によって行われる。給排水工事の親方に伝えても、実際作業する職人さんがミスや手抜きをすればそれまでである。しかも設備貫通部分は間仕切り壁内部(PSを含む)で行われるので、できあがり後のチェックは壁を壊さないと出来ない。仮に先行配管で大工さんが気密処理をすれば良いのだが、UB周辺と玄関は床断熱であっても基礎断熱になってしまい、複雑に絡みあう納まりがほとんどであるのでやはり難しい気密施工となる。これで気密測定してC値0.9以下の超気密施工を満たさなければ出来上がった間仕切り壁、又はUB下部を壊さないと直せない。これは一般住宅の床下は40cmの空間しかなく且つ配管もあるので床下側から目視や修繕がほぼ不可能のためである。

そんなリスクが基礎断熱にはないのである。そこで25年くらい前から気密に拘りがある高断熱高気密に取り組む工務店の多くが基礎断熱を採用したのである。

「緑の家」では、床下が最低100cmもあるので目視や修繕も出来るが、床下内を収納として使いたかったこと、及び設計事務所の特性上、不特定の工務店さんでも安定して気密性能を確保する必要があったため、迷わず基礎断熱を採用したのである。

これらの理由を知っているのは私より上の世代である60才以上の高断熱高気密住宅を30年前から苦労して供給してきた人たちだけ。間違った方針を繰り返さないためにも改めてここに紹介させて頂いた。

ということで・・・気密工事が安定してできれば床断熱も普通におこなうのが「緑の家」である。その床断熱代表例がお勧めする土間キッチンである。

1階床はコンクリートで床下が無いので実質床断熱と同じ考えかたで出来ている。冬期にお邪魔してこのコンクリート床を裸足で歩いたが、冷たさは全く感じられなく、まるで床暖房しているかのような感触であった。これなら床下暖房の必要性がほとんどないと思わせる程である。つまり超高断熱で適切な空調計画がされれば、床下暖房及び床暖房がなくとも床面は快適なのである。下はその土間キッチンの紹介実例である。

https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/category/2017%e5%b9%b4%e3%81%ae%e3%80%8c%e7%b7%91%e3%81%ae%e5%ae%b6%e3%80%8d/kamiyamanoie/

土間キッチンなら先ほど申し上げた、1階床の気密工事はコンクリートという気密が容易に確保出来る素材のため不安定さがない。一方気密工事の重要性が25年前と雲泥の差がある昨今では、床断熱でも気密工事は安定する可能性は高いので、どちらを選択するかはその家の総合的な判断でよい。

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