構造の4はお待ちかねの省エネ等級6越えのG2ーG3中間断熱性能の荷重増加が構造系分野で発表されていた。環境系分野でないことがポイントである。私としては環境系で発表してほしいと感じる。
発表者は民間の法人であるが共同研究者に国交省国土技研さんとあるので、実質この内容が近い将来改訂される建築基準法の4号建築の壁量の根拠の一つになるだろうと思う。私は5年以上前からこのことを下のようなブログ記事で伝えてきた。
建物に加わる地震力は建物の重量に比例して大きくなる事は周知の事実。よって等級6を超えた付加断熱を有する等級7(G3前後)超高断熱住宅の家の重量は重くなっているので、それを加味した許容応力度設計で構造計算しないと、正しい耐震性は評価できないのである。当然超高断熱でなくとも、大容量の太陽光発電パネルを屋根上に設置しても荷重は増える。環境と構造を同時に考える「緑の家」は当初から重くなった荷重で構造計算しているので問題ないが、自身で構造計算もしくは荷重設定していない建物では、構造計算をする人に一般的な荷重で計算されてしまい(プレカット付属の構造計算など)、正しく評価できていないことが十分考えられる。固定荷重はその設計者でないと正しく把握できないと考えている。
さて論文の結論を先に・・・
となる。8から15%のアップとは大きい数値である。しかも下で説明する統計のサンプルが等級5~6が半分を占めているから、等級6を超える建築物は8ではなく15%に近いとアップと思ったほうがよい。構造計算をしている人ならわかるが、8%分足りなかいら損傷が8%増えるくらいだろう・・・ではない。木造軸組み工法は何度も言っているが基本的にピン構造である。このピン構造の大前提は、接合部が先に破壊されないことであり、ピンの接合部が先に破壊されると一気に崩壊まで至ることがある。ある一線を越えると突然耐力が0になるくらいの感覚である。とはいっても構造②で説明した通り実際は雑壁や下地があるのでそこまでの心配はないだろう。但し最近多いスケルトン建築ではこれが期待できないので注意が必要。
さて内容を改めてみると、
とあり、UA値0.4から0.6が半分を占めているが、この等級5~6程度の断熱性なら外壁は付加断熱をしなくとも達成でき、また天井もGW300㎜もあれば十分であり荷重増加は少ない建築物である。したがって得られる結果は荷重増加は少なめとなる可能性が高い。
調査結果を見ると、軽い建物(屋根はガルバニューム、壁はモルタルやタイル壁を除く外壁)のほうが荷重アップは大きい。現在モルタル外壁で瓦屋根の建物は少ないことから多くが軽い建物に属している。
下はそのデータとなる一覧表であり、UA値0.4w/m2k以下のように高性能になればUA値0.4を超える等級6程度の建物より、天井の重さで1.75倍、壁の重さで2倍となっている。一方太陽光発電はUA値にあまり影響を受けておらず1.1倍になっている。
論文にはないが、私の経験からいえばUA値がずば抜けてよい等級7クラスの建築物は、それぞれ作り方に個性があり荷重を平均的に考えることが難しい。つまり超高断熱住宅は、設計者が個別に天井や壁の重さを与えて計算する許容応力度設計を行うことが重要である。