パッシブな暖房で考える伊達の家 4 超高断熱と構造の関係

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日頃から住宅の設計で一番大事なことは

「構造」の安全性

と申し上げております。

ここで「緑の家」が超高断熱住宅を造るにあたり気を付けていることは・・・

超高断熱化は家の重量が増える事の認識です。このテーマはちょっと建て主さんには難しい内容なのでスルーしてくださっても結構です。

細かいことは無視して考えると

地震力Pは P=KW の水平力で置き換えられます。

この時Kは重力加速あたりの地震における揺れの加速度比で、Wが建物の重量となります。

つまり地震力が建物にあたえる損害・影響は、

1.建物が重いほど、

2.揺れのスピード(加速度)が大きいほど

大きくなります。

ここで揺れが大きいほど大きな力になることは体験上理解できますが、もう一方の建物の重さに比例して大きくなる事は忘れがちです。

また自然に起こる地震での揺れ方は一般的に制御出来ませんが(免震建物は例外)、建物の重さは人が制御出来る因子で、

大きな地震が来ても軽い構造物なら決して倒壊しません。

例えば新築途中の家・・・。

大きな地震が発生した地域での新築途中の家が倒壊した話は殆ど聞かれません(無論筋かい等の耐力壁設置後)。これは施工途中であって家の重量が軽いためです。施工途中の建物倒壊は強風が原因となることは有っても地震が原因と言うことはまずあり得ません。

それだけ建物重量が大きな要因と言うことをまず理解してください。

 

さて・・・

超高断熱が世の流れとなり、高い意識で家を建てようとする方の中には、外壁の厚さが400mmもある建物も計画されております。以前の住宅の外壁の厚さは150mmでしたからその2.6倍の厚さになったわけです。

厚くなれば当然外壁の重量も増えることになり、計算してみると

一般的なサイディング外壁時において

150mm時の外壁重量が 内部仕上げを入れて500N/m2

400mm時の外壁重量は、内壁下地をいれて660N/m2(グラスウール24kg品30cm時)

になります。

外壁が通常の家で200m2有ったときの地震力の差は32000N=32KNにもなり、

150mmの普通の断熱材を使ったプランをそのまま超断熱仕様にしただけで、壁倍率4という高耐力壁を一つ(約1m)以上増やさなけらばならない事になります。

壁厚300mmを超えている超高断熱住宅を薦めている会社で、このような事を考えて設計をしているまじめな設計者が・・・いると信じたいですが・・・。

因みに・・・

「緑の家」のA、Bグレードなら断熱材の性能がGW(グラスウール)の2倍あるので、半分の厚さでも性能は同じくなり重量も軽く出来ます。

例えば厚さ120mmのフェノバボードで80Nアップ(断熱材50N+下地30N)、60mmで25Nアップ(断熱材25N+下地0N)ですみますから、

400mm時(付加断熱材300mm相当)とほぼ同じ性能のAグレードで 580N/m2でOkです。

この場合、地震力は16KN増える事になり先ほどのGW断熱材の400mm壁仕様の半分ですみます。

さて問題は許容応力度設計で構造計算しない超高断熱住宅です。許容応力度設計しなければ壁の重さが地震力に影響する事を理解していないと思ったほうがよく、家の温熱性能はしっかり考えるけれど、耐震性能は知らないよ~と宣言しているようにも捉えられます。

 

また・・・最近使われる事の多くなったトリプルガラスのサッシの重さを知ってますか?

通常のトリプルガラスのサッシは単純にガラスの重さでサッシの重量も決まります。

つまりシングルガラス時代は・・・100N/m2くらいですが、

トリプルガラスは 300N/m2で その差3倍です。

こちらも許容応力度設計で構造計算している人ならわかりますが、普通の外壁の重量を超えないのでその場合は加算必要がないと思われます。但し構造計算しない壁量計算の仕様規定の場合は、その規定当時はシングルガラスサッシが基本なのでどの重量が基本となって法律が出来たのか曖昧でわかりません。となると基本は全て許容応力度設計における構造計算で、且つその理屈を設計者が把握する事以外問題があるととの認識です。だからこそ過去に申し上げたとおり設計と施工の兼用は無理かも・・・とか、餅は餅屋に・・・になるのです。

因みに伊達の家では、外壁ALC厚さ37mmと断熱+下地+内部仕上げ分625N/m2としております。これは木の外壁2倍の重量になります。

 

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