来週早々基礎の一発打込みが行われるので、アンカーボルトと型枠確認に昨日伺ってきた。
新潟県の人なら先々週ある牛乳メーカーが倒産したことを知っているだろう。私も愛用する「良寛牛乳」さんが累積赤字で先行きが見通せなくて倒産した。良寛牛さんは「otomo vie cent」と同じ出雲崎町ということもあり、私の家族全員がファンであった。カフェオレ、カプチーノに最適なミルクであった。残念である。
さて、小新西の家の現場である。
アンカーボルトのチェックは打ち込み前に行われる事も多いが、ヨシダハウスさんではここ数年必ず、打ち込む前日に依頼される。それは以前このアンカーボルトの予期せぬ不具合で、打込みが直前で中止されたことがあったので、同じ轍は踏まないとのことで打ち込み前の余裕がある日程で依頼される。
他の現場でもアンカーボルトがコンクリートの打ち込む直前に設置された現場はあるが、そのような現場では高い確率で他の不具合もでる。アンカーボルトのチェックで基礎に対する真剣度がはかれる。
現代の木造軸組工法(布基礎、ベタ基礎の上に土台が載る軸組工法)はこのアンカーボルトに不具合があると、大地震時には容易に倒壊することがわかっている。そんなことを知っているので、アンカーボルト配置、設置方法には最も注意を払う。例えばアンカーボルトが埋まっている長さで耐力が違う。ちょっと前まではM12アンカーボルトの長さが400mmにも満たないものが使われそのコンクリートへの埋め込みは200mmであった。今は最低450mmで埋め込み長さが250mm以上となる(「緑の家」では300mm)。仮に300mmの埋め込み長さの場合、その耐力は17.97KN(Fc21N/mm2時)あるが、200mmの埋め込み長さの場合、その耐力は9.3KN(Fc18N/mm2時)となり、「緑の家」の半分程度。これは長さだけでなく当時のコンクリート強度が18N/mm2で行われていたため、低くなるのである。9.3KNといえばホールダウン金物は通常固定できない。壁倍率3程度の耐力壁一枚の柱引き抜き強度は、10KNを超えるので建物重量の差し引きを考えなければNGとなる。当然2階からの引き抜きを追加で合わせて考えなければならないし、建物重量を正確に把握しなければならない。そんなこと既存住宅で計算できるのであろうか。
このことを知っているので安易なリフォーム、リノベーションは薦めていない。今から30年以上前の住宅はただでさえアンカーボルトが少ないのに、更に耐力も半分程度なら、補強するために適当に構造用合板を貼って耐力壁を設けたとしても、接合部やアンカーボルトの引き抜き強度が低くて、土台自体が抜け落ちてしまい大損壊する。耐震補強に大きなコストをかけても家は半壊する可能性が高いのである。そんな状況だから、耐震補強しても、現在の家の最低基準の耐震等級2以上なんてまず達成するこはない。
家で最初に作られるのは地盤面と基礎。地盤面は地盤改良以外なんとも出来ないし、基礎も実は同様で履歴不明な基礎は壊すしかない。今はコンクリート配合表や設計図書にコンクリート強度が記載される。それがのこされていない限りどんな強度のコンクリートで出来ているかさえわからない、加えてアンカーボルトを始め、鉄筋量等の最重要情報がなければ、ただの無筋コンクリート以下である。