やっぱり、原則は建替え・・リフォーム・リノベは慎重に 

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日本の人口が減ってきており、必然的に空き家も増えてくるが、その空き家を購入してリフォームなどして住むことは慎重に考えた方がよい。これは随分前から私はリフォーム、リノベは基本的に慎重にと申し上げている。そして今でもその考えに変化はないばかりか更にそう強く思う。

まず何故慎重にする必要があるかというと下の過去3回のブログを見てほしい。いずれも耐震性での問題指摘となる。

住宅の安易なリフォームやリノベーションに対し<br />・・・その1 アンカーボルト
このブログを読んでいらっしゃる方は、「緑の家」ではリフォーム・リノベーションがないと思われるだろう。 そう・・・そのと...
住宅の安易なリフォームやリノベーションに対し<br />・・・その2 既存不適格建築
このブログを読んでいらっしゃる方は、「緑の家」ではリフォーム・リノベーションがないと思われるだろう。 そう・・・そのと...
住宅の安易なリフォームやリノベーションに対し<br />・・・その3 基礎配筋
このブログを読んでいらっしゃる方は、「緑の家」ではリフォーム・リノベーションがないと思われるだろう。 そう・・・そ...

これらの建物安全性(耐震等級1程度)を理解してそれでもリノベ、リフォームがよいと考えればそれも良いだろう。私も11年前の2012年に築100年の「て・こあ」のリノベやその後の管理を始め、2020年に築130年の「otomo vie cent」のリノベを行い始めている。そして昨年から築31年の高断熱高気密住宅を空き家管理し始め、そこから新たに学んだことを昨日のブログでお伝えした。

リノベ中の築100年の「て・こあ」(2019年)


このことは新築住宅を考えている当ブログの読者さんからみると全く違う話題に聞こえるかもしれないが、実は新築住宅にも関与することもある。

14年ほど前の2009年に設計する全棟を超高断熱高気密住宅として提案しているが、その際、その当時「緑の家」が坪80万(現在100万以上)に対し、坪40万で作ることができるローコスト住宅メーカーも多々あった。その際に選ぶ建て主さんに申し上げていたのが、

「坪80万もする「緑の家」を建築しなくとも坪40万の住宅でも30年間住んだのち、新たに建て替えしたり住み替えして新しい住まいを再び坪50万でつくる選択肢もある(解体費150万、30年後の値上げ分250万、諸経費100万の計500万)。当然「緑の家」が35年経たときに同じ500万程かけて屋根、雨樋、サッシのメンテナンスしてその後30年ほど問題なく住まうことが出来る約60年ほどの耐久性がその前提条件となる。同じ光熱費の場合は当然「緑の家」がやすいので我慢しなくてもいい生活ができるが、30年後建て替えることができれば全て新しくなってそれも良いのではないか」・・・と。

それでも・・・

今回の旧拙宅の空き家の管理をしてみると、真夏の外気露点温度が24度を超える超高湿の季節に、エアコンを数時間ONするだけで、室内のRH(相対湿度)60%以下に保てることを実体験してみると、湿気を完全にシャットアウトする超高気密住宅のその素晴らしさは、空き家になってその維持管理の時でも凄い。

他方では・・・

昨日スタッフMが東京で耐震改修の講習に参加してきたのだが、その構造系の建築士の講師さんによると

1.耐震改修は反対しないし、むしろ賛成かも。

2.その際の耐震基準は大規模損傷があっても命だけは守るだけの性能

とのこと。つまり現在の耐震等級3以上の基準ではなく、耐震改修では等級1以上の基準としている事に注意したい(評価方法がないこともその原因)。逆にいえばそのくらいしか現実的に改修できない(コストがかかりすぎる)ということである。この場合であっても新築並みの予算がかかるとことを覚悟したほうが良いだろう。つまり・・・その建物によほどの想い入れがなければ、新築した方が全性能に対するコストパフォーマンスは良くなる。そこまで説明してリノベ、リフォームをこちらから薦めることは不可能だと感じる。しかも2025年から始まる4号特例廃止で大規模模様替えの時には、構造の審査が必要になる。その時に耐震の評価方法で大いに揉めることになるだろうから、今みたいに無審査だからスムーズにOKと言うことはなくなるだろう。

さて当事務所ではリノベ、リフォームを止め建て替えの実例が「小新西の家」、「鹿嶋市の家」、「松浜ヒルサイドの家」であり、今後は「月見町の家」、「高岡市福岡の家」・・・と既存の家を壊して新たに造る「建て替えプロジェクト」が続く。いずれも築25年から50年以内の建物を壊してそこに新たな高性能の家をたてる。現在の家を見るとそれぞれ勿体ないのだが、私もきっとそうすると思う。

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