新潟県における大地震の想定④ リノベーションはNGか。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2025年から運用される予定の耐力壁の壁量(一般)。ピンクの数字は現行の基準量であり、現在の多くの家の仕様である屋根はスレートで壁はサイディングの総2階の耐力壁は1階で1.4倍も増えている。

2025年から建築基準法の耐震基準は大きく変わる。上の図が2025年から運用される木造住宅の耐震壁量である。ここで注意したいのは上の図は太陽光発電パネルを設置しない従来の家での数値である。

この表は国内で最も住宅が多い関東で建てられていた家の仕様(屋根はスレート、壁はサイディング、総2階)で、2024年と2025年の壁量を比較すると・・・

なんと1階、2階で約1.4倍も増えている。この2025年耐震基準改正の主の理由は「ZEHが多くなり太陽光パネルを屋根に設置で建物が重くなったその部分を補足する耐力壁量アップなど」であるが、実はこの「など」の方が「主」とも思える程、ZEHでない仕様でも耐震性をアップしている。

次に太陽光がある建物の同じ表を下に置く。

2025年から運用される予定の耐力壁の壁量(ZEH)。ピンクの数字は現行の基準量であり、現在の多くの家の仕様である屋根はスレートで壁はサイディングの総2階の耐力壁は1階で1.5倍となるが、太陽光無しからみると1.1倍弱しか増えていない。これって・・・。

さてこの表を比較すればわかるとおり、今回の建築基準法の壁量改正がZEH(太陽光発電パネルの重さ等)が原因で変わったというより、ZEHを表面上の理由として実は「現在の耐震性が低くて改正したいのである」・・・その正当な理由として太陽光パネルや断熱材、ガラスが増えたということに見せてはいるが・・・どうなのだろう※。※サッシがペアガラスになったので外壁の重さが変わったとしているが、通常のサイディングならペアガラスより重くそれが50年前より増えているような・・・

つまりリノベーションで耐震改修もおこなった今年の既築住宅は、来年から再び耐震改修しないと2025年に規定する震度6強(過去50年以内に国内で起きた震度7以下)で倒壊を免れる最低の基準に達しないことになる。これは大きな問題であるし、更にリノベーションを安易に薦めることは出来なくなった。

何度も説明しているとおり、基礎の配筋もわからないような家の耐震性を現在の建築基準法程度にしか上げることが出来ない。これは基礎を補強しても同様で、基礎も基礎下も建物全部ばらさないと誰も保証は出来ないのである。全部家をばらすくらいなら、素直に新築にした方が早くコストも安い。そのくらい今の耐震設計(平成28年以降許容応力度設計の改訂)は変化しているのであり、それに合わせるように来年から建築基準法の壁量算定基準も強化される。そうなるとこの2024年までに行ったリノベーションし耐震改修された住宅は再び耐震性において既存不適格建築物になってしまい、更なる耐震強化をもう一度行う必要がある。

今回の「リノベはNGか?」との題目理由がここにある。

また様々な条件が加わり下のとおり42通りもある壁量算定で2025年度からは計算する事になる。

これでは大変なのでエクセル上で計算させたのが下の図で、これを使えば簡単ではある。現在リノベしているならこれに今からでも当てはめて行わないと来年4月からは既存不適格建築物になる。

上の表と同じく太陽光無し、総2階のスレート屋根、外壁はサイディングで同じ数値の1階で41、2階で22となる。

昨年木造建築では著名の山辺の耐震改修セミナーでも、一般的なリフォームの耐震性はあくまでも倒壊しないことだけが目的となると前置きがあった。そのとおりだと思う。つまりリノベやリフォームの耐震性は大きな地震があったらそこでもうその建物は終わりという前提の性能で有り、その改修でもよいかと建築士は建て主さんに伝えなければならない。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする