改め・・・透湿防水シートの選定

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まず単語の統一から。以前は防風透湿防水シートと呼んでいたが、JIS規格の呼び名に合わせて防風透湿防水シート→透湿防止シートとする。GWに接して使う場合は防風性が大変重要だけれども、「緑の家」みたいに樹脂製板状の断熱材の場合は、防風性の必要は無いので、今後は透湿防水シートとする。

なぜ一度結論が出た透湿防水シートの選定を再び話題にしたかというと、コメントであったとおり再びタイベックハウスラップが手に入るようになったためである(理由はコメントのとおりだと思う)。タイベックハウスラップが廃盤になったのでやむなく決めたタイベックシルバーだったが、今後どうするのか改めて明示する。

標準はタイベックハウスラップ等として、ご要望があればタイベックシルバーにしたいと思う。

タイベックシルバーより更に防腐防蟻剤(界面活性剤)に影響を受けないとのデータがある海外メーカーの透湿防風シートも高価であるが販売されている。通常の透湿防水シートより3倍以上厚く4倍ほどの価格、更にJISの透湿防水シートの透湿抵抗値をクリアーしていないので少し不安なことがある(但し瑕疵担保個別包括3条認定取得済みのため透湿防水シートとして使用しても保険は適用)。そのシートの構成や防水の原理はしらないが、これら高級品を含めほとんどの透湿防水シートは、表面に塗布された撥水剤があるおかげで水を浸透させないとのこと。つまり液相である水クラスター分子レベル以下の隙による防水(ポリエチレンフィルムやアスファルト、金属板)ではないため、湿気を通過させる以上、水分子より大きな穴がないと成り立たない。仮に液体でもクラスターが小さくなってしまったとときに(界面活性剤作用を含む)、撥水効果の小さな素材なら透過してしまう。つまり透湿性を重視した透湿防水シートは撥水剤によって成り立っている。撥水剤が何らかの原因でなくなれば、透湿防止シートの役目はなくなりただの紙(和紙でも同様に湿気はよく通過する)になる。簡単に言えば、一般的に湿気(気相の水)を通過させる障子紙では湿気を通過させるので結露が見られない。しかし、水を表面にかけると裏側まで簡単に通過するが、市販されている防水スプレーを塗布し紙が垂直面であれば、ある程度の圧力までは液層である水を透過させない。これが透湿防止シートの本質である。とどのつまり現在の透湿防水シートは撥水剤によって担保されているだけであり、撥水剤の効果がなくなれば水は内部に浸透する(それが防腐防蟻剤の事件となる)。

2階は31年経過した透湿防水シート。1階は既に新たなシートと交換。通気層内外で2層貼り。

拙宅の自宅で31年間使用した透湿防止シートは、その撥水剤の効果がほとんど消えてしまい、ただの破れにくい紙になっているとの解析結果をメーカーから先日もらった(メーカーの意向で非公開)。これをもらっても私は落胆はしていない。そんなものだろうと当初から薄々わかっていたためである。だから「緑の家」では27年前の設立当初からプラスチック系板状の外断熱材(スタイロフォームやカネライトフォーム、ネオマフォーム)の上に透湿防水シートを貼っていたのである。これがもし木質やグラスウールのように水を吸い込みやすい素材だったなら落胆はするだろうと同時に・・・恐怖さえ覚える。プラスチック製の断熱材なら多少湿っても内部まで影響することはないから窓上さえ大丈夫なら問題ない。窓上だけは、透湿防水シートのない時代と同様にやはり庇で防御するのが良いと思っている。

どんな高級透湿防水シートが発売されても撥水剤という化学物質を吹き付ける程度で防水性を担保しているシートなら、防水の寿命は30年だろうと現在の市販品では感じるので、わざわざ高い物や実績の無いシート使う必要はないとの結論。だからタイベックのハウスラップを使用したいと思う。当然その施工はタッカーなど使用せず、できる限りテープ貼りとして針穴からの浸透水も可能な限り防ぎたい。

ちなみにだが・・・

撥水性のなくなった透湿防水シートとGWの組み合わせは、夏型結露の対して相当不利な条件であるが、拙宅の実績では特に問題なかった事を付け加えさせて頂く。これは先ほどあげた高級透湿防水シートのカタログ内にある夏型結露の仕組みを表すポンチ絵が、室内側が低温になる事で発生すると表されているが、多くの論文では、雨水壁内浸入の蒸し返しか、通気層がないことが主原因であることが専門家の間での定説となっている(つまりそのメーカーが正しい情報発信しているとは思えない)。

よって拙宅だけの事例だけで申し訳ないが(しかし相当過酷な条件であった)破れなければなんとか最低の役目は果たしているといえる。(役目とはGWに重要な防風性である。ここで冒頭の「『「緑の家』は防風性も求めない」につながり、「緑の家」にとって透湿防風シート自体は昔と違って大きな役目をもつ部材ではなくなる。つまり透湿防水シートを省き、板状断熱材の防水処理で2次防水層を形成できる。)その点タイベックハウスラップの31年後の強度劣化はほとんどなかった。

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