日本の今までの住宅は短命でよく30年住まえればOKだった。これは住宅支援機構の過去の調査からも平均建て替えとして30年以下となっている。ところが、「緑の家」をはじめとする住宅が現在目指しているのは、長期使用できる住宅である。これはある意味時代に逆行しているのではないとふと思う。
まずはデシカの話。新潟県でデシカを使用している「緑の家」の真夏のデータを頂いたので掲載する。家族の間と床下の温湿度である。当然デシカ以外のエアコンは稼働させていないので、デシカと2人住まいのデータである(データ測定中に時折来客があるとのこと)。ご入居はこの春である。
家族の間はRH(相対湿度)の平均で39%ととても低い。床下内も50%でとても良好な環境となっている。床下と家族の間でRH(相対湿度)が10%近く差があるのは床下の温度が2度くらい低いためだけではなく、AH(絶対湿度)は+2g/m3ほど床下が多くなる。ここから床下内から湿気の出る原因があると考えられ、通常コンクリートの基礎からの放出水分と推察できるが来年またデータをいただけばはっきりするだろう。
次は寿命の話。
身の回りの日用品(家電製品からスマホまで)は数年から長くても10年のスパンでモノづくり行っている。これには明確な理由があり、長く使えると買い替え需要が少なくなり、製造メーカーとして売り上げが減り困るからであろう。例えばスマホなど2年くらいで電池がヘタってくれなければ買い替え動機になりにくい。よって電池寿命をあえて延ばす設計をしていないと感じることが多々あるとかんじる。急速充電も本来電池寿命を縮めるが、そのほうが双方の利害が一致するので、さらなる急速充電が可能なように考えられている。冷蔵庫もエアコンもTVでさえ内部消耗部品の品質はさがり、10年持てばOKのような基準でつくられている。つまり買い替え需要を期待して、特にスマホは各社がライバル社の動向伺いながら良い塩梅で製品を世に送り込む。
実は住宅部品自体も同様な現象である。例えば昔は半世紀は問題なく使えた便器は、機能便座と便器一体型便器が大手メーカーシェアーのほとんど占め、多くの人がそれを選ぶ。この時この一体型の便器の寿命は10年から15年となり、15年周期で買い替えとなる。エアコンはもっとひどく、近年はエアコンの使用時間が長くなったので、6から9年で壊れることが多い。昔なら使用時間が多少多くても10年以上稼働していた。
まだましなのがUB(ユニットバス)とキッチンなのであろう。これは電気を使わないことから、可動部が扉だけに限定されるためここさえ問題なければ30年以上の耐久性が期待できる。逆をいえばこの2つの製品は短期買い替えを期待できない時代と逆行した部材となる。ところで・・・近年の流行のタワマンを神戸市では建てられないように規制したらしい。その規制した理由の一つに、「老朽化による廃墟になる恐れがたかい」とのこと。富裕層が買い所持するタワマンだから心配なにのではないかと思う節があるが、少し古くなって安価に販売されるようになったときに問題となりそうだ。タワマンの解体費用は特殊なので多額になり、4/5の住民合意がなければ解体できないらしい。現在の法律では解体費用を積み立てることはしていないことが問題となるとのこと。以前なら土地が値上がりして最悪その土地を売って解体費用を作るそうだが、土地の価格があがるのか・・・。
最近はソーラーパネルに使う蓄電池がどうなっているか知りたい。ほとんどの電池の特性上急速充電すれば、劣化は早くなり、最大容量を目いっぱい使っても劣化が早くなる。急速充電とはいかに受け入れる瞬間電力を多くできるかであるが、メーカーや機種によって1kw/hに満たないものから7kw/hになるものまである。一方EVの世界では普通に50KW/hもできる機種もあり、家庭用充電池の急速充電と一桁違うのである。これはどのように考えるのか・・・。住宅用蓄電池が馬鹿にされているのか、それともできるかぎり長持ちさせようと制限しているのか・・・。私はこの住宅用蓄電池に興味が今のところないが、通常の家庭用電源の上限は6kw程度でまたソーラーパネルの発電もそんなものだからMAX7kw/hあればよいのだろう。過去にはプリウスの初期型で蓄電池の劣化に苦い思いしていたが、近年のEV程度まで性能が上がればまずまず(それでも充電に30分待つことは無理)。この大容量と高速充電技術がなぜ住宅用で安価にならないのかが不思議である。
私が管理している太陽光発電は10年経過し、当時の発電効率の悪いパネルとパワコンでも晴天なら6.5kw/hを発電する。これが今の蓄電池で一般的なコストならマックスで3.5kw/h前後しか受け入れられず、残りは売電となる。高い製品を買えば7kw/hまで受け入れできるが、コストが釣り合わない。この差があるから住宅用蓄電池にはいまだ興味が向かないのである。ほんとに非常用の場合は、発電はメンテナンスさえ怠らなければ半永久寿命のエンジン式発電機でよいとおもっている。
コメント
追記です。
自分の考えも述べずに失礼しました。
私自身は、これまでのサイズ展開を踏襲しつつ、室外機に対して1番小さい室内機の組み合わせが機械部品に無理がないのかな、と考えています。
wata様
コメントありがとうございます。
>儲からないと言われる家電でいまさら細かく商品開発するとも思えないので、制御をアグレッシブに変えたりコスト面で室外機の組み合わせを見直しているのかな、と思っているのですが、浅間様はいかがお考えでしょうか。
最近は日立以外のエアコンを使用しておりませんので他メーカーの商品展開は知識がなく何とも言えません。
>またエアコンの選定方法で変化がありましたらご教示ねがえますでしょうか。
以前と変わりありません。COPからAPFでの評価が中心になってから(15年ほど前から)エアコンの性能アップ(COP)はほとんどなく、いわゆるヒートポンプの性能向上は既に頭打ちですから、どのメーカーを選んでも大差がなくなりました。よって自身の好みで選んでよいと思います。
>私自身は、これまでのサイズ展開を踏襲しつつ、室外機に対して1番小さい室内機の組み合わせが機械部品に無理がないのかな、と考えています。
インバーターがあれば現在は2つもあれば十分だと思います(個室用冷~2kw、一般用冷~6kw)。また「無理がない」=「壊れにくいエアコン」なら大賛成です。エアコンの内部機関について詳しくないので何ともわかりませんが、施工がもっと簡単なら今の寿命でもよいのですが。
浅間様
いつも勉強させていただいております。
最近のエアコンの選び方についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
以前の家庭用エアコンは、各社とも実質4段階ぐらいのサイズ展開(例:6~8畳、10~14畳100V、14畳~200V、20畳~)だったと記憶しております。
ところが最近のカタログを見ると、最大能力が畳数に応じてきれいに階段状に並んでいたり、室外機の分け方がメーカーやモデルでもバラバラだったり、10畳200Vが設定されたりされなかったりと複雑になったように感じます。
儲からないと言われる家電でいまさら細かく商品開発するとも思えないので、制御をアグレッシブに変えたりコスト面で室外機の組み合わせを見直しているのかな、と思っているのですが、浅間様はいかがお考えでしょうか。
またエアコンの選定方法で変化がありましたらご教示ねがえますでしょうか。
浅間さま、エアコンの機種選定で迷っております。日立住設エアコンのXJ,ZJシリーズの再熱除湿の除湿量について、カタログの除湿量は200V14畳の1460ml/hしかなく、100V6畳の除湿量を日立に問い合わせても”不明”とのことでした。
・エアコン畳数の違いでどの程度の除湿量(低下)が見込めるか?
・再熱除湿の除湿量だけ考えるならば大きめサイズを買った方が良いのか?
お手隙の時にアドバイスいただけますでしょうか。
xxykxx様
コメントありがとうございます。
>・エアコン畳数の違いでどの程度の除湿量(低下)が見込めるか?
わかりません。ただ無理やり推測すると最大の冷房能力によって変化するとおもいますから、そこから推測し使える熱交換器を半分とすると22型(6帖用)だと40型の30%少なくなりそうです(Xシリーズ)。
>・再熱除湿の除湿量だけ考えるならば大きめサイズを買った方が良いのか?
その通りだと思います。こちらは機器の性質から当然そうなります。特に14帖200Vタイプはバランスの良い機器ですので、迷ったらこちらを選べば後悔は少ないと思います。
浅間さま
ご回答ありがとうございます。
除湿量を優先させてXJシリーズ200V14畳を購入しました。
冷暖房能力のみでしたら100V6畳で十分なのですが。。。