2017年 建築学会の論文梗概集4 
エアコンの省エネ性表示の崩壊か?

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今期の論文の目玉・・・

恩師ラボの論文です。

全ての図等はこの論文からの切り取り。

家庭用エアコンで既に5年くらい継続して実測を行っている新大の赤林ラボですが、今回の発表も先回に続いて私には衝撃的です。

まず最初に・・・

引用論文に勝手に矢印や赤線を引いてしまう振る舞いをお許し下さい。

赤い矢印環境条件で、図1の大きさをそれぞれのエアコンで使うと、JISで規定されたCOP算出条件とほぼ同じくなる。

この論文梗概では、ME社とP社のエアコンのCOP実測からシミュレーションするAPFとカタログに記載されたAPFの比較を行っております。

APFをご存じない方に説明すると、APFとはエアコンのカタログに大きく記載されている省エネ性を表す数値です。これは・・・

あるエアコンの一定の条件特性からCOPを数点実測し、そのCOPを特定式に当てはめ導びかれる東京都における年間の冷暖房効率の平均値(平均COP)のことです。ですので実測で導いた冷暖房効率ではないことをまず把握下さい。無論地域は何度も言いますが・・・東京都です。

現在の家庭用エアコンのAPFは7をこえ、7.5以上になる機種さえあります。

今回の論文で赤林ラボでは、数点のCOPではなく数百点以上の実測によるCOPマトリクスから算出されるCOPを使い、カタログAPFと同等の条件でのAPFを算出した結果・・・

カタログ値の半分程度のAPFになっており、その乖離は著しいものとなっております。

その原因はカタログ定格COPと実測された同条件のCOP(特に低出力時)が大きく違っていることが原因と思われます。

この図2から・・・

実COPから算出される実APFがこんなに低いとは・・・

この結果を真摯捉えると・・・

APFが示す省エネ性はあてにならず、そのカタログ値を鵜呑みにしてエアコンを選ぶより、そのエアコンの特性(日立なら再熱除湿に特化した)で選んだ方が納得して使う事ができるのではないかと最近考えております。

数年前から何度も私が申している、定格値の半分程度の出力値が一番よいCOPになると言うことには今回の論文でも変わりありませんが、私のエアコンの選定方法は昨年と今年の論文でなにか吹っ切れた感があります。

エアコン選びは大は小を兼ねない。断続運転時にCOPが極端に悪化する。

何かもう「ふざけるなー」的な感があるエアコンの省エネ表示方法・・・

早急にJISの改善がされなければ設計者がキチンとした選定はまず不可能・・・でしょうね。とは言っても複雑な評価になったらそれはそれで困る事もありそうですが、現状より実態が乖離しないように2020年の省エネ義務化の頃を目標として改善するべきと思います。

この全文を理解するにはある程度のエアコンの基礎的知識が必要ですが、興味のある方は下に置きますので一読ください。

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